JAF Grand Prix 「FUJI SPRINT CUP 2011」

「D'STATION KeePer SC430、総合3位表彰台で有終の美を飾る!」

 2011年のSUPER GTシリーズも全戦が終了し、レースとしては年内最後の走行となる「JAF Grand Prix FUJI SPRINT CUP 2011」が静岡県の富士スピードウェイにて開幕した。

 このレースは通常のシリーズ戦とは異なり、フォーミュラ・ニッポンとSUPERGTという日本を代表する2つのレースが同時に開催されるという珍しい企画。SUPER GTは、通常セミ耐久とも言える距離を2名のドライバーが交代でマシンを走らせるが、このイベントはそれぞれのドライバーがひとつのレースを走り切るスプリントレースとなり、スタート方法もスタンディングスタートとなる等、まるでフォーミュラカーの様なルールのもと、各チーム共にドライバー、マシンの真の実力が問われる事となり、シーズン戦とは違った楽しみがあるレース。

 レーススケジュールもシーズン中のレースとは異なり、金曜日が練習走行と予選となり、土曜日と日曜日にはそれぞれ1レースずつの決勝レースが行われこの2つのレースの結果により総合の順位が決まるというレース。

 決勝のドライバーも、土曜日と日曜日それぞれをチームが決めて事前に申請する事になっており、「LEXUS TEAM KRAFT」は土曜日の決勝を脇阪、日曜日の決勝をクートと設定。

 今年は予想外に厳しいシーズン送る事となった「LEXUS TEAM KRAFT」だが、今年の締めくくりとなるこのレースで良い結果を残し来期への弾みをつけるべく、チームは万全のタイミングでサーキットへと入った。

公式練習
11月11日(金) 9:30~10:30

 まずは迎えた金曜日。ついに…このレースまでもが……またまた雨の走り始めとなった公式練習。

 予選まで走れるチャンスはこの1時間のみとなる事から、ここでキッチリとクルマを作れるかが最大のテーマ。まずはセッション開始早々、寿一がコースイン! 路面のコンディションを確認しながら走行を続けるが、無線からは「コースのあちこちに川があり、ハイドロ起こして危ない」との連絡が…それでも寿一は総合7番手あたりのタイムをコンスタントに記録しながら走行を続け、残り20分程でクートへとドライバー交代。

 変わったクートも最悪のコンディションの中クレバーにマシンをコントロールしながら周回を重ね、予定していたプログラム通りにセッションを終了した。基本的にマシンのバランスは良いとの事だが…あまりに雨がキツく、セット変更の成果すら確認出来ないレベルでの走行となってしまったが、予選に向けてはマズマズの走りだしとなった。

公式予選
14:20~14:40

 まずは第1レース予選。この予選は土曜日に行われる第1レースに向け行われる予選であり第1レースを担当するドライバー達によってアタックが行われる。「D'STATION KeePer SC430」の第1レースドライバーは脇阪。セッション開始と同時にレインタイヤを装着してコースインした脇阪は雨の影響で温まりにくいタイヤへ入念に熱を入れつつセッション終了まで走り切る作戦。ウォータースクリーンで視界不良になる事を嫌い、前車との間隔を取りつつアタックラップへの準備を進めるが…

 なんと急激に雨脚が強くなり、コース上には再び何本もの川が出来る状況。各車めっきりタイムも落ち、無線からは「暫く様子見ないとムリやわ」との連絡が…ペースを落とし、再び雨脚が弱まる事を期待するが…結局セッション終了まで回復する事は無く、脇阪はまともにアタックを出来ないまま総合13番手で予選を終える事になった。

 マシンのバランスは決して悪くない事から、第2レースを担当するクートへの期待は俄然高まるが…残念ながら雨脚はその後も更に激しさを増し、レーシングカーがコースを走れるコンディションでは無く、15時20分、大会審査委員会より「残りの全ての走行をキャンセルする」とのアナウンスが発表された。

 そして…迎えた土曜日朝の第2レース予選、雨は夜半に上がったものの路面は完全なるウェット状態。15分間とされた300クラスの予選ではラインが乾かずクートはインターミディエイトタイヤでコースイン。

 慎重にタイヤに熱を入れつつ路面が乾いて来るのを待つが…15分は微妙な時間、タイヤ交換の時間を考えるとドライに熱を入れる程の時間は無く…セッション終了までコースにステイする事とするが、グリップダウンと路面が反比例するかたちとなり、結果12位で予選を終える事となった。

11月12日(土)
第1レース決勝(22Laps) 15:15 スタート
 前日の雨の影響で急遽朝に設定された第2レースの予選。走行時間と路面コンディションの関係から、クートのポジションは12番手に留まったが…マシンの状態は非常に良く、第1レースに向けては明るい兆しの走行となった「D'STATION KeePer SC430」そして迎えたその第1レース、今回第1レースを担当するのは脇阪。

 脇阪にとっては久しぶりのスプリント、久しぶりのスタンディングスタートとなるがマシンの状態は今シーズンベストの出来、予選は雨のタイミングで思う様なポジションを取れなかったが…予選13番手からどこまで順位を上げるか?

 1周のフォーメーションの後、シグナルグリーンを待って全車一斉にスタート!久しぶりのスタンディングスタートからか…脇阪は一瞬遅れたように見えたが1コーナーで発生した混乱をうまくクリアし、1周目のストレート前をなんと9位とポジションを上げ通過!続く2周目には7位とあっと言う間に6ポジションUP!周を追うごとに区間ベストを更新する走りでタイムを上げる脇阪は5周目には#24をオーバーテイクし6位、続く6周目には#23をオーバーテイクし5位、そしてついに10周目には#6をオーバーテイクし4番手まで浮上!

 まさに…面白い程のオーバーテイクショーを繰り広げる脇阪だが…いよいよ表彰台圏内となるとそう簡単にはオーバーテイク出来ない。この時点で3位を走行するのは同じSCを使う#36アンドレ・ロッテラー。去年までの脇阪の相棒でもあり、お互い手の内を知り尽くした仲、14周を過ぎた頃には脇阪がアンドレの背後にピタリと付け「ロックオン」

 その差1秒を切った間隔でテールtoノーズの戦いとなるが中々前に出る事は出来ず、17周目にはサイドbyサイドで場内を湧かせるが…抜くには今ひとつ。ここで脇阪は一旦クールダウンしアンドレの走りをチェック。

 そして満を持して迎えた最終ラップ、Aコーナーから100Rでピッタリと#36の背後に付け、迎えたヘアピンのブレーキングで鋭くインに切り込み、ついに3位浮上!なんと・・終わってみれば怒濤の10台抜きで3位表彰台をゲット!脇阪らしい走りで今季最高の結果で第1レースを終えた「D'STATION KeePer SC430」であった。

11月13日(日)
第2レース決勝(22Laps) 15:25 スタート

 土曜日の興奮も醒めやらぬ富士スピードウェイ。怒濤の10台抜きを演じた「D'STATION KeePer SC430」は基本的なメンテナンスを受け、最高な状態のまま12番グリッドへと並べられ…定刻の15時25分、アンドレ・クートがステアリングを握りレーススタート!

 アンドレにとっても久し振りのスタンディングスタートとなり、スタート前は若干緊張の素振りも見せていたクートだが…・さすがにマカオGPの王者、シグナルがオールレッドからブラックアウトしたと同時にロケットスタートを決め、1コーナーまでに数台のマシンをオーバーテイク!1コーナーで発生したクラッシュもうまくかわし、なんと1周目のストレート前を7台抜きの5位で通過!

 その後もクートは前日の脇阪のレースの「デジャブ」かと思うような走りで前車を追撃!続く2周目には#32をあっさりとオーバーテイクして4位、そして5周目には#1をオーバーテイクして3位と、アッと言う間に表彰台圏内へと順位を上げると、ポールポジションからトップを快走する#100とそん色のないタイムで、前を行く#46をチェイス!

 7周目から18周目までは、TOPの#100~#46~#35の間隔が1秒以内で等間隔となり、まさに膠着状態。19周目になると前車が詰まっている関係で思うようにタイムを上げられないクートの背後には、ついに#36も迫り、3位&4位争いが熾烈な状況となるがそこはベテランのクート。絶妙にマシンをコントロールして#36に隙を与えず、ついに周回は最終ラップ!

 #36はさすがに同じSC勢だけあり、1秒以内のタイム差で食いつくが…クートは不安の無い安定した走りで3位をキープ!このまま抑え切り2日連続の3位表彰台もいよいよ見えたか?という13コーナーで#36は強引にクートのインにマシンのフロントを入れ、結果接触!溜まらずスピンしたクートは冷静に再スタートを切り、最少のロスでコースへと戻るが残念ながら順位を大きく落とす事となり、結果6位でチェッカーを受ける事となった。

 最終ラップでのアクシデントが悔やまれるが…マシンは非常に良いペースで戦闘力の高さを証明できたレースになったと思われる。このクートの6位と土曜日の脇阪の3位表彰台の記録を合わせ…なんと「D‘STATION KeePer SC430」はJAF-GP総合の3位を獲得!苦しみぬいて表彰台が遠いシーズンを過ごしたが…最後の最後の大舞台で見事3位表彰台を獲得!と、有終の美を飾るレースとなった

チーム監督飯田章(代行チーム代表:橋本祥之)
第2レースのクートの接触は大変残念でしたが…第1レースでの脇阪選手の怒涛の追い上げと#36 ロッテラー選手とのギリギリバトルなど、今週末の2人のドライバーは、今シーズンのベストレースを見せてくれたと思います。結果に結びついてませんでしたが、後半はマシンの調子も良く、それを皆様にやっと証明する事が出来たと…少しホッとしています。来シーズンはもっと良い成績を出しますので、引き続きご声援宜しくお願い致します。

脇阪寿一
今回持ち込み状態のクルマの状態が良く大変満足してましたが…予選は天候に左右され僕もクートもあまり良くありませんでした。ただ…レースの方はマシンの好調により、僕もクートも今年一番と言えるレースが出来たと思っています。今年はここまで…色々とあって本来持っているスピードを結果に結びつける事が出来てませんでしてたが…今回総合3番手となれた事で皆さんにも少しは伝えられたのではないかと思いますし、自分が最もリスペクトするロッテラー選手とクリーンなバトルが出来て、久し振りにレースを楽しむ事が出来ました。

Andre Couto (アンドレ・クート)
今日のマシンはもてぎのレースから更に進化しており、今シーズンで最も良い状態でした。とてもバランスが良く、とても速く、スタート12位から一気5位まで順位も上げられ、その後も前を行く2台と同等のタイムで追走し、更に上位を狙いましたが…・ラストラップで同じLEXUSの#36にリア部分をヒットされ、堪らずスピンを喫してしまいました。その時点では表彰台を逃し残念でしたが、すぐにリカバーして6位フィニッシュを果たした事で、なんと総合の3位表彰台となれた事は大変大きな喜びでした。シーズンの最後に良いレースが出来て良かったと思います。

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