DTM第4戦ザントフールトの決勝においてアウディがレギュレーションで禁止されているチームオーダーを発したのではないかとの疑いにより、ドイツのモータースポーツ統括団体DMSBによる調査が行われており、決勝結果はいまだ暫定扱いとなっている。
DTMオフィシャルサイトが掲載したDMSBの声明によると、DMSBはチームオーダーに関してアウディのチーム、ドライバーたちにさらなる聴取を行うとのことだ。
ザントフールトのレース終盤にマティアス・エクストロームが同じアウディドライバーたちを抜いてポジションを上げていったことに関し、レーススチュワードは調査を開始した。エクストロームは35周目にアレクサンドル・プレマを、37周目にオリバー・ジャービスをパスし、ウイナーのゲイリー・パフェットから1.431遅れの2位でフィニッシュした。このことから、パフェットとドライバーズタイトルを争っているエクストロームにできるだけ多くのポイントを与えるため、アウディの僚友たちが協力したのではとの推測が持ち上がった。
DMSBの声明によると、レース終盤のエクストロームのオーバーテイクはチームオーダーによるものである疑いがあるとして、スチュワードはリザルトを暫定扱いにしたという。DTMのレギュレーションではチームオーダーは禁止されている。レース後、DTMのエキスパートが、エクストローム、ジャービス、プレマのデータをチェック、スピード、加速、減速、無線、ビデオ、ラップタイムなどを検証したという。DMSBは、このデータを元に、7月31日のオッシャースレーベン戦の前にチームとドライバーたちに話を聞くということだ。
アウディ・モータースポーツのウルフガング・ウルリッヒは、レース当日、チームオーダー説を強く否定している。
「マティアス・エクストロームは今日とても速かった。そのために終盤、トップ集団に加わったのだ。今日彼は正しい戦略を用い、最初のスティントを長くとることで、(終盤)前のマシンよりも状態のいいタイヤで彼らより速く走ることが可能になった」
「終盤、彼はゲイリー・パフェットよりかなり速かった。08スペック車を駆る我々のドライバーたちはかなり早めにピットインしたので終盤にタイヤに苦労した」
「そういう状況の中で彼らは自分たちより速いペースで走行している同じブランドのドライバーを邪魔するようなことはせず、不必要なリスクは冒さないというのは、アウディでは当然のことだ」
「これを要求するようなチームオーダーはない。戦略はモータースポーツで重要な要素だ」
当然のことながら、メルセデス-ベンツ・モータースポーツのバイスプレジデント、ノルベルト・ハウグは、異なる見方をしている。
「ゲイリー・パフェットが素晴らしい勝利を挙げた。ウエイトが追加されているにもかかわらず、パーフェクトなドライブ、パーフェクトなピットストップが発揮され、Cクラスもパーフェクトだった。しかしながら我々のライバルたちがチームオーダーを発したことで、真のリザルトが歪められてしまったのが残念である」