全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第1戦鈴鹿は16日、38周の決勝レースが行われ、予選6番手から抜群のスタートを決めたアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)が優勝を飾った。2位は小暮卓史(NAKAJIMA)、3位は中嶋一貴(PETRONAS TOM'S)が入り、Fニッポン初戦で表彰台を獲得してみせた。
午前に続き、快晴の下迎えた全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第1戦の決勝レースは気温23度、路面温度35度というコンディション。迎えたスタートでは、初のポールスタートとなった山本尚貴(TEAM無限)がわずかに遅れ、小暮、塚越広大(DOCOMO DANDELION)が先行。さらに後方6番手からロッテラーが飛び出し、一気に塚越の前に出る。
しかし、直後の1コーナーではなんと塚越と山本が接触してしまい、山本はスピン! さらにこの混乱にジョアオ-パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が巻き込まれ、マシンを破損した山本は最後尾まで落ちることとなってしまった。
序盤のレースをリードしたのは小暮。次いでロッテラー、塚越、伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)、大嶋和也(Team LeMans)と続くトップ5となる。小暮とロッテラーの2台は一気に塚越以下の差を突き放していく。そんなトップグループの一方、まず最初にピットイン/タイヤ交換義務づけを果たしてきていたのは一貴。4周を終えた時点でピットに向かい、作業を行う。さらに、遅れたオリベイラも6周を終えてピットで作業を行ったが、結果的にはこの早めのピット作戦が、このレースでは“正解”となる。
トップ2台が大きく先行する中、中団グループでも接近戦が展開され観客を盛り上げていたが、中でも活きのいい走りをみせていたのがルーキーのアンドレア・カルダレッリ(KONDO RACING)。アレキサンドレ・インペラトーリ(SGC by KCMG)をかわし、さらに小林崇志(HP REAL RACING)と8番手を争っていたが、10周目のスプーンで2台は接触! ともにバリアにクラッシュしてしまうこととなった。
3番手、4番手を争っていた塚越、伊沢のDOCOMO DANDELION勢は、13周目に伊沢、14周目に塚越がピットに向かうが、ここで塚越はやや時間がかかってしまい、伊沢が先行。しかし、伊沢の前には早めのピットを行った中嶋一貴が走行。伊沢と塚越の間には同じく早めの作業をおこなったオリベイラ、さらに伊沢の後にピットに入った大嶋が入ってしまうことになる。
大きくリードしたトップ2台の中で、先に動いてきたのは2番手ロッテラー。21周を終えた時点でピットに入り、PETRONAS TOM'Sは15.1秒でロッテラーを送り出す。翌周には首位小暮がピットへ向かうが、小暮は右リヤタイヤがうまく入らず時間がかかり、まんまとロッテラーがトップに浮上する。
ピットを遅らせていた平手晃平(TEAM IMPUL)、国本雄資(Projectμ/cerumo-INGING)らが作業を終え全車がピットストップを終えてみると、トップはロッテラー、2番手に小暮、3番手に中嶋一貴が浮上することになり、トムス勢にとってはしてやったりの展開となる。ロッテラーはその後のラップタイムでも2番手小暮の追随を許さず、そのままチェッカー! 今季開幕戦勝利を飾ることとなった。
2位は小暮、3位には伊沢の追撃を完全に振り切った中嶋一貴が入り、フォーミュラ・ニッポン初レースで嬉しい表彰台を獲得。4位は伊沢、5位は大嶋、6位は塚越の追撃を抑えたオリベイラとなった。
勝ったロッテラーは「週末の調子を考えると、今日は勝てるなんて思わなかったよ! スタートは素晴らしかったし、チームが頑張ってくれてマシンは素晴らしくなっていた。チームに感謝したい。震災で大変な時期だけど、これだけのファンの人たちがサポートしてくれたことにも感謝したい。日本の皆さんに勝利を捧げたい」とコメント。3位の一貴とともに笑顔で舘信秀監督と握手を交わしていた。
