F1第12戦ベルギーGPの決勝はフェラーリのキミ・ライコネンとフォース・インディアのジャンカルロ・フィジケラがレース序盤から一騎打ちの様相を呈し、2チームによるスピード勝負となった。44周のレースはライコネンが制し今季初勝利。2位はフィジケラ、3位にはセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が入った。トヨタはティモ・グロックが10位、ヤルノ・トゥルーリはリタイヤ。ウイリアムズの中嶋一貴は13位だった。
決勝日のスパ・フランコルシャンは晴れ、気温17度、路面温度は32度でレーススタートはドライコンディションとなった。フォーメーショラップを終えフロントロウについたジャンカルロ・フィジケラは柔らかい方のソフトタイヤを装着、一方のトゥルーリは固い方のミディアムタイヤを選択、後方のマシンでもタイヤ選択が分かれることとなった。
レースはPPのフィジケラがクリーンスタートでオープニングラップのトップを守ったが、後方ではクラッシュが多発する波乱の幕開けとなる。長いケメルストレートを抜けた先の6コーナーでジェンソン・バトンが他車の追突からクラッシュ。ルイス・ハミルトン(マクラーレン)、ハイミ・アルグエルスアリ(トロロッソ)、ロメイン・グロージャン(ルノー)もここで戦線から離脱し、クラッシュしたマシンの処理のためにここでセーフティカーが導入される。
またこの周は全体的に接触が多く見られ、2番手スタートのトゥルーリもウイングにダメージを負って緊急ピットイン、その後再走を果たしたがレース中盤にリタイヤとなった。
セーフティカーが退き仕切り直しとなったレースは5周目から再開。すると2番手のライコネンがリスタート直後にフィジケラをパス、トップに躍り出ることに成功する。その後ライコネンはファステストラップをマークしながらリードを徐々に広げ、フィジケラを2秒ほど後方に置きながらレースを引っ張っていった。トップ2の後ろでは2〜3秒の間隔でクビカ、グロック、マーク・ウエーバー(レッドブル)らが続く。
レースは12周目に入ったところでクビカとグロックが1回目のピットイン。トップを形成するライコネンとフィジケラは14周目、ハイドフェルドも同じ周、ベッテルは16周目にピットインを行った。27周目、上位陣が1回目のピットをほぼ終えると先頭にはライコネンが立ち、すぐ後ろ1秒差の2番手にフィジケラが続く。3番手のクビカは6.5秒後方となり、以下はベッテル、ハイドフェルド、バリチェロが続き、レースはライコネンとフィジケラによるトップ争いがいよいよ本格化していった。
中盤に入ってもトップ2台はそれまでのペースを維持し、およそ1秒のギャップでレースは推移していく。そのまま両者は後半2回目のピットインを同時に迎えると、ここでフォース・インディアはフェラーリとまったく同じタイムでフィジケラをコースに戻し、両者一歩も引かず再び一騎打ちのバトルにもつれ込む。後方ではピットストップの攻防でベッテルが3番手を奪い、BMWのクビカとハイドフェルドは4、5番手となった。
レースは最後までライコネンとフィジケラが0.8秒〜1秒の接近戦を展開するもついにポジションが入れ変わることはなく、12戦目にしてようやくフェラーリが今季初となるトップチェッカーを果たした。一方、ライコネンとの勝負には敗れたもののフィジケラは2位でフィニッシュ、フォース・インディアに30戦目での初表彰台をプレゼントすることとなった。3位はレッドブルのベッテルで、BMWの2台も4、5位に入った。レース終盤に白煙を吹くトラブルに見舞われた7番手走行のバリチェロは、なんとかチェッカーまで辿り着き貴重な2ポイントを手にしている。