フォーミュラEの初代ポールシッターを決める戦いを制したのは、グループ3で出走したニコラス・プロストだった。
定刻より1分遅れてスタートしたフォーミュラE開幕戦の予選。じりじりと陽光が照り付ける、非常に暑いコンディションとなった。
グループ1に出走したのはチャンドック、セルビア、トゥルーリ、セルッティ、サラザンの5人。結果、チャンドックが1分42秒461を記録し、この時点でトップタイム。以下、セルビア、セルッティと続く。トゥルーリとサラザンはノータイム。
グループ2は12時16分にスタート。ここには、日本の佐藤琢磨選手をはじめ、バード、ダンブロジオ、ピック、タンが出走。琢磨選手は最初のアタック、ターン9で姿勢を崩してウォールにヒットしかけるも、なんとかこれを回避して1分44秒129を記録。次のアタックではピックに前を塞がれる形となり、タイムアップすることができなかった。結局、グループ1も合わせ、この時点で6番手のタイムとなってしまう。
グループ3は12時31分開始。出走するのはブエミ、ディ・グラッシ、プロスト、アプト、レッグの5人。ブエミとプロストのe.ダムス勢が好調なペースでタイムアタック。プロストが最初のアタックで1分42秒200を記録し、グループ3終了時点でトップに立つ。なお、2回目のアタックはプロスト、ブエミともにミスを犯し、プロストはフロントホイールにダメージ、ブエミもコース上にマシンをストップさせている。なお、同グループのディ・グラッシが全体の2番手、アプトが3番手と、アウディ・アプト勢が上位を占めた。
12時46分にグループ4が開始。出走はアルグエルスアリ、セナ、ハイドフェルド、モンタニー、ピケJr。この中で最速タイムを記録したのはモンタニーだったが、チャンドックのタイムにも及ばず全体の5番手。6番手にハイドフェルドが付ける結果となった。
総合的には、ニコラス・プロストがポールポジション。記念すべきフォーミュラE最初のポールシッターとなった。2位3位にはアウディ・アプト勢のディ・グラッシとアプトが付ける。グループ1でトップのチャンドックが4番手。
予選後の会見でプロストは、「すごくファンタスティックだ。2回目のアタックはとても残念だったけど、最初のアタックはよかった。感触はとても良いよ。
2位のディ・グラッシは「チームの2台が揃ってトップ3に入れるなんて、とても良いリザルトだ。ポールポジションのようにポイントは付かないけど、レースは長いからね。戦えると思うよ。新しいトラックは難しいけどね」と、決勝での巻き返しを誓う。
3位のアプトは「フォーミュラEの最初の写真の1枚に写ることができてよかった。フリー走行ではロングランも行ったので、期待している」と語る。
一方佐藤琢磨は、予選14番手。「準備は完璧には整っていないですから、この順位は仕方ないかなと思います。FP2でも問題が発生していたので、うまくまとめられなかった」と語り、先頭から3.5秒の遅れと、大きく引き離されてしまった印象だ。この遅れの原因は“進路妨害”と“ターン9”でのミス。
「9コーナーでちょっと姿勢を崩したのと、ホットラップでピックに前を抑えられたのが痛かった。でも、こんなもんかもしれないですね。タイム的には残念でした」
間もなく始まる決勝レース。佐藤琢磨は笑顔で意気込みを語る。
「楽しんでやってきます。どこまでできるのか分からないですけどね。ドニントンのテストからは、大きな前進を果たしているはずですから。レースマネジメントの部分でね」
決勝レースでは、一発の速さではなく、いかにエネルギーを使い、距離を持たせるかという部分が非常に重要になってくる。進歩したそのエネルギーマネジメントで、佐藤琢磨はどこまでトップのチームに肉薄することができるか?
フォーミュラE最初の決勝レーススタートは本日16時(日本時間の17時)予定。史上初のフォーミュラEレースのすべてのシーンを、心に焼き付けていただきたい。