今年のF1世界選手権は早くも第4戦、中国GPの開幕を迎えました。ここまでメルセデスAMGが圧倒的な強さで3連勝。その勢いは今回も続くのでしょうか? 初日の結果から、中国GPの行方を占ってみましょう。

 フリー走行2回目の結果を見る限り、今回もメルセデスが勝利に一番近い場所にいるのは、間違いなさそうです。ロングランでのベストタイムも、ルイス・ハミルトンが1分42秒8、ニコ・ロズベルグが1分42秒6を記録(いずれもソフトタイヤ)。以降、1分43秒台から44秒台のペースを並べて、10周程度を走っています。また、ミディアムタイヤでのロングランではふたり揃ってデグラデーション(性能劣化によるタイムへの影響)はほぼゼロ。ペースも頭ひとつ抜き出ており、他チームがそう簡単に超えられる相手ではありません。ただ、前回のように圧倒的な差というわけではなさそう。最大の対抗馬として挙げたいのが、フェラーリのフェルナンド・アロンソです。

 アロンソはフリー走行1回目でトップタイム、2回目では2番手のタイムを記録し、好調さをアピールしました。ただ、それ以上に注目したいのがソフトタイヤでのロングランペース。ベストタイム1分43秒0で、メルセデス勢から僅かに後れた3番手でした。デグラデーションの値もメルセデスふたりの平均値(1周あたり0.262秒)よりも若干良い0.247秒であり、今季のチーム初表彰台も十分に狙える位置にいると言えます。ただし気になる点がふたつあります。

 ひとつめは、ソフトタイヤでのロングラン時、4周にわたって1分46~48秒台を記録していることです。これは、実際には前を行くジェンソン・バトンのマクラーレンに詰まってしまったから、ということのようですが、裏を返せば“マクラーレンを抜けなかった”と言うこともできるかと思います。決勝でも他車の先行を許すような事態となった場合、オーバーテイクできないのではないか……そんな不安要素のようにも思えてきます。

 ふたつめはミディアムタイヤでのロングランを行っていない点です。メルセデスのミディアムタイヤでのロングランは前述のとおり驚異的なペースなので、これに肉薄できなければ、メルセデスを打ち負かすことはできません。それを予測できるデータが現時点では無く、予想を非常に難しくしています。

 ところで、フリー走行2回目では、目を疑うようなデグラデーション値を記録したドライバーがいました。それが、レッドブルのダニエル・リカルドです。リカルドは19周にもわたる長いロングランを実施しており、この時のタイヤはFIAの発表が正しければソフト。そしてそのデグラデーション値は1周あたり0.065秒でした。同じ時期に走行していたチームメイトのセバスチャン・ベッテルのデグラデーション値0.318秒に比べると実に驚異的。走りはじめのペースもあまり変わらなかったにもかかわらずです。

 なお、リカルドは実施していませんが、ベッテルのミディアムでのペースはメルセデス勢の約0.2秒落ちと非常に安定しており、こちらもデグラデーション値はゼロ。決勝でも同じペースで走ることができれば、台風の目になるどころか、メルセデスとアロンソを脅かす存在になる可能性もあります。

 フォース・インディアの2台も前回に続き好調。ペースも高いレベルで安定し、デグラデーションの値も低くなっています。ただし、ミディアムタイヤ装着時には若干のデグラデーションが出ているようで、この部分がメルセデスやレッドブルと決定的に違う部分。ここから判断するに、前回に引き続いての表彰台は厳しいかもしれません。

 ウイリアムズはフェリペ・マッサがソフトタイヤでのロングランを担当。これは非常に優れたものでしたが、バルテリ・ボッタスが担当したミディアムタイヤでのロングランは、フォース・インディアのそれに比べて平均1秒遅いもの。総合的な順位は、フォース・インディアの後ろでしょう。しかも、明日の予選は雨の予報。今季のウイリアムズは雨を大の苦手としており、今回ばかりは苦戦を強いられることになりそうです。

 一方、心配なのがマクラーレン勢の不調です。一発アタックではまずまずのタイムを記録していますが、ロングランになると前出のチームはおろか、トロロッソにも後れを取ってしまっていました。

 バーレーンとは異なり、パワーユニットの性能だけがモノを言うわけではない中国・上海。大きく回り込むコーナーや高速コーナーが存在し、マシンのトータルバランスが求められます。そんなコースで、今年初めてフェラーリかレッドブルが、メルセデスを凌駕することができるか? 明日以降も要注目です。

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