スペインGPで悔しい思いをしたキミ・ライコネン。ファイナルラップまで同郷の後輩であるバルテリ・ボッタスとテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げながら、抜けないまま5位に終わった。そもそもライコネンが予選7位に終わったのは、新しい空力パッケージの投入を断念して旧仕様を選んだことが、ひとつの理由だった。それだけではなく、タイヤウォーマーが燃えてミディアムタイヤを失い、1セット少ないタイヤでの戦いを強いられたこともハンデとなった。
タイヤを失うというアクシデントは予選だけでなく、レースにも影響する可能性があった。Q1、Q2、Q3とミディアムを1セットずつ投入したライコネンには、レースで使用するための新品ミディアムが残っていなかったからだ。ところがライコネンは決勝レースで41周目にピットインすると、新品のミディアムタイヤを装着してコースに復帰した。これは、どういうことだったのか。
ピレリのマリオ・イゾラ レーシングマネージャーに聞いたところ「フェラーリがFIAに損傷したタイヤの交換を申請し、許可を得たうえで、ライコネンにピレリから新品を1セット供給した」という。では、なぜ予選で使用できなかったのだろうか?
「なぜならトラブル発生に気づいたのが、予選開始10分前だったから。タイヤマンがタイヤを管理していたところ、1セットだけタイヤウォーマーがショートして、表面のコンパウンドが直径10cmほど焼け溶けてしまっていた。もし午前中のフリー走行前にわかっていれば、FIAも対応できたかもしれないが、さすがに10分前では……」
このようなトラブルは頻繁ではないが過去に何度か起きたことがあり、基本的には追加のタイヤ供給が許されるという。