午後1時40分、全車ダミーグリッドに着いたベルギーGP決勝レーススタート直前。この日、初めてF1のレースをスタートさせようとしていたロッテラーがいる21番グリッドへ行くと、そこにはデビューレースとは思えないほどリラックスする姿があった。エンジニアとの確認作業を終えたロッテラーは、テレビのインタビューを無難にこなすと、マネージャーに渡していたスマートフォンを手に取り、これから乗るケータハムCT05をバックに、自分撮りを開始したのである。それは思い出作りをしているというより、デビュー戦を楽しんでいるという雰囲気だった。

 それはロッテラーだけではない。サーキットを訪れていたロッテラーの家族も同様だった。ロッテラーを応援しようと、この日、サーキットに来たのは恋人のアデル・グイヨさんと母親のロジーさん、そしてロジーさんの兄弟でロッテラーの伯父さんの3人だ。パドックの入口で、ロッテラーを応援しようと日本からやってきたファンを見つけると、一緒に写真に収まるなど、恋人や家族もF1の雰囲気を楽しんでいた。

 しかし、ロッテラーにとっての初レースは、楽しむ前に、突然終わる。

「ターン17(ブランシモン)で少し膨らんだ後、突然パワーが低下して、すべてがシャットダウンした。スタートをうまく決められたから、もっとレースを楽しみたかったから、チェッカーフラッグを受けることができなくて残念。でも、これもレース。仕方がない」

 気になる今後については「それはチームが決めること。ただ、もしチームから要請があれば、またF1を走らせてみたい気持ちはある。特に鈴鹿は僕にとって第二のホームグランプリ。10年間、日本でレースしているし、スパと同様、大好きなサーキットだからね。いずれにしても、レースに出るかどうかは別にして、今年は日本GPを見に、鈴鹿に行くよ。WECやスーパーフォーミュラともかぶっていないから」と、意味深な発言。

 最後に、レースではたった2周で終わったが、それでもF1に今回参戦して良かったかと尋ねると、「もちろん!! 今週末はとてもいい経験になった。だから、それを可能にしてくれたチーム・トムスとアウディにお礼を言いたい」と笑顔で語ってくれたロッテラー。

 日本からやってきたロッテラーが次にレースをするのは、9月5日からのF1イタリアGPか、あるいは9月13日からオートポリスで行われるスーパーフォーミュラなのか。いずれにしても、ベルギーGPに参戦したロッテラーの心の中に、再びこの世界に戻ってきたいと思う気持ちが芽生え始めたことは間違いないようだ。

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