「ファンの皆様のご理解本当にありがたいです! 多分、現場のジャーナリストの方達には聞かれると思うけど、本日のインタビューはお手柔らかにお願いします」

 9月3日水曜日、チームからイタリアGP出場の知らせを聞いた可夢偉は、その日の深夜の便で東京を発ち、9月4日木曜日の早朝にヨーロッパに到着。ハンガリーGP以来、約1カ月ぶりにメディアの前で会見を開く前、ツイッターでそうつぶやいた。

 しかし、9月4日に開かれた会見では、質問は当然のように可夢偉の心境に集中した。

「いまの心境ですか? 正直、時差ボケで眠いです」

 と、まずは話題をそらした可夢偉。しかし「正直、すごくうれしいというわけではない」とも語った。それは当初イタリアGPにも可夢偉が出場する予定はなかったからである。

「僕がイタリアGPにいなくても(チームは)大丈夫な理由があった」という可夢偉。ベルギーGP後は英国スコットランドを訪問したあと日本へ帰国。「連絡がなければ、そのまま東京にいる予定だった」と明かす。

 可夢偉は言及しなかったが、チームはベルギーGPに続いてアンドレ・ロッテラーを起用しようとしていたと言われている。ところが、金曜日のフリー走行でケータハムがフォーミュラ・ルノー3.5に参戦中のロベルト・メリを走らせることにロッテラー側が難色を示して、話し合いは破談。チームは急きょ可夢偉を招集したのである。

 だから、可夢偉はメディアに心境を尋ねられたくなかった。「うれしい」と嘘をつきたくないが、だからといって「うれしくない」とも言えないからだ。それでも、ふりかかる不条理にこみ上げてくるものを抑えきることができない。

「僕はここにレースをやりに来ているけど、チームはいま、そういう感じではないような気がする」──という言葉を残して会見を終えた可夢偉は、その日の夜ツイッターでイタリアGPへ賭ける心境を次のように綴った。

「明日から3日間は何も考えずに速く走る事だけに集中! 後は楽しむ事も出来れば十分だな!」

 可夢偉にとって、忘れられそうにない3日間が始まる。

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