今季からのGT500車両にクラッチシステムを供給するゼット・エフ社。そのゼット・エフが、スーパーGT開幕戦の行われている岡山国際サーキットにおいてカーボンクラッチの技術セミナーを開催した。ゼット・エフ・レースエンジニアリング社のテオ・ロッテンバーガー氏が動画やクラッチの実物を使い、システムの概要を解説。その後、質疑応答も行われた。

 DTMドイツツーリングカー選手権との車両共通化により、今季から採用されることとなるこのカーボンクラッチは、トランスアクスル化されたFR車両であるレクサスRC F、ニッサンGT-RニスモGT500の全車が使用。DTMで使われているものと同様のスペックで、性能差は設けていないという。DTMの4リッターV8エンジンに比べ、特にトルク面で高性能なスーパーGTの2リッター直4ターボエンジンの方がハードルが高いように思われるが、ロッテンバーガー氏によると、実はそうではないとのこと。DTMで採用されるスタンディングスタートがクラッチにとっては最も負荷が高く、これに耐えられる性能を持ち合わせれば、スーパーGTでも問題なく使用できるというのだ。なお、ミッドシップレイアウトを採用するNSXではこのクラッチシステムは使われていない。

 スタンディングスタート時の高エネルギー入力に対応するため、プレートには4枚のカーボンを使用。一般的にプレートを多板化するとクラッチ操作がシビアになるが、ゼット・エフ独自のエラスティック・プレッシャ・リング(EPR)の採用により、高いコントロール性も有するという。また、EPRはセッティングの変更も容易で、1カ所のセッティングを変えるだけでトルク伝達特性も調整可能となっている。このカーボンクラッチは耐久性も非常に高く、1レース分の距離を走り終えた後でも摩耗はほとんど確認できないという。設計段階で価格面も重視されているため、そのコストパフォーマンスは非常に高い。

 ボディは統一化されているものの、エンジンもそのレースフォーマットも異なるスーパーGTとDTM。両カテゴリーの駆動系を支えるゼット・エフのクラッチには幅広い性能が求められるが、ドイツで証明済みのその能力を、日本でも開幕戦からサラリと示してくれそうだ。

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