スーパー耐久の最終戦が、鈴鹿サーキットで10月24〜25日に開催され、GAMISAN/星野一樹/吉田広樹組の1号車GTNET ADVAN C-WEST GT-Rが総合優勝。苦戦続きだったシーズンを、最後に締めることとなった。ST-3クラスでは柴田優作/平手晃平/片山義章組の39号車SARD Racing RC350が初優勝を飾り、チャンピオンは長島正明/田中徹/田中哲也組の15号車岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34が獲得。そしてST-4クラスでは、壮絶なバトルの末に番場琢/服部尚貴/平沼貴之組の52号車埼玉トヨペットGreenBrave 86がチャンピオンに輝いている。

 予選では、24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rを駆る藤井誠暢が、2分0秒999という驚速タイムをマーク。従来のレコードタイムをほぼ2秒縮め、藤井自身も「S耐用のタイヤで、まさかこんなタイムが出るとは思わず、自分でもビックリしています」と振り返った。合算タイムでは、永井宏明/佐々木孝太/佐藤敦組の8号車ARN AMG SLS GT3がポールポジションを獲得した。

 決勝では、3周目に24号車GT-Rの高星明誠がトップに立ち、そのまま逃げ続けるのかと思われた矢先に左リヤタイヤがバースト。その後、2度も同じ事態に陥り、完走を果たすに留まってしまう。また、8号車SLSも序盤にミッショントラブルを抱え、修復はなったものの、大きな遅れを取った。

 予選と決勝で、主役がガラリと入れ替わる中、HIROMASA NISHIDA/片岡龍也/阿部翼組の16号車REAF REAL ESTATE KiiVA BMWが終盤までトップを快走。ただ、3回も導入されたセーフティカーランの3回目で、1号車GT-Rの吉田が阿部との差を一気に詰め、ラスト5分で逆転に成功。昨年のチャンピオンでありながら、今年はトラブルが相次ぎ、ここまで優勝はおろか、表彰台に立つことも許されなかっただけに、今回の優勝にはGAMISANと星野、吉田も笑顔。「今日は笑って、明日からはまたチャンピオン奪還に向けて、頑張っていきたいと思います」と星野は話した。

 ST-2クラスでは、予選からまたしても大澤学/松田晃司/吉田寿博組の59号車DAMD MOTUL ED WRX STIが他を圧倒。決勝でもライバルを一歩も寄せつけず、5連勝を飾っている。2位はついにエボXにスイッチした、下垣和也/松本武士/近藤説秀組の20号車RSオガワADVANランサーが獲得している。

 ST-3クラスは、39号車RC350が予選トップ。「S耐では初めてだし、僕の人生でも久しぶりのポール。GTではずいぶん獲っていないから(笑)」と平手。決勝ではスタート直後こそいったん3番手に退いたものの、トップに返り咲いてからはまったく危なげのない展開で、初優勝を飾ることとなった。柴田は「クルマが仕上がってきて、すごく速くなっていたから、普通に作戦を遂行して勝てたという感じです」と振り返った。2位は植田正幸/阪口良平/堀田誠組の38号車ムータレーシングTWS IS350が獲得。金曜日に大クラッシュがあり、一時は出場も危ぶまれたところからの大逆襲となった。

 そして、3位は長島正明/田中徹/田中哲也組の15号車Z34が獲得。一騎討ちでタイトルを争っていた、前嶋秀司/佐々木雅弘/佐藤公哉組の35号車asset ings テクノRC350が接触によってリタイア。5位以上でゴールすれば……という条件を満たして栄冠をものにした。「チャンピオン争いの経験はありますが、その時は僕が台無しにしてしまって。なので、これが初めての獲得ですが、あまり実感は沸かないんです」とコメントしたのは田中徹だ。なお、スポット参戦を果たした脇阪寿一/脇阪薫一組の68号車埼玉トヨペットGB マークX G'sは5位となっている。

 6チームに王座獲得の権利が残されていたST-4クラスは、ポイントリーダーの番場琢/服部尚貴/平沼貴之組の52号車86が予選トップで、貴重な1ポイントを獲得。決勝でもレース終盤をリードした。

 一方、同ポイントで並んでいた山内英輝/村田信博/小河諒組の13号車ENDLESS ADVAN 86は予選9番手に沈んでいたが、決勝では完全に息を吹き返す。SCランを巧みに活かして順位を徐々に上げ、終盤には2番手に浮上。ラスト20分間の服部、山内のバトルは、見ていた者なら絶対に記憶に残る凄まじさで、時に接触も、時に芝生の上を走る(走らされる?)光景も見られた。このバトルの間に植松忠雄/太田侑弥/鈴木陽の93号車TAKUMI×UEMATSU×SKR S2000が「すごいミラクル」(植松)で脇をすり抜けトップに立つが、ふたりの視界には入っていなかったようだ。

 最後は、52号車86がコンマ5秒差で逃げ切って2位に入りチャンピオンを獲得。服部は「レースだからね、行かせるわけにはいかないし、向こうも絶対に抜かなきゃいけないし。そういう意味では魅せられたんじゃないかと思うけど、本当にチャンピオンが獲れて良かった。今年が30周年なんですよ、レース始めて。そういう節目の年に結果を残せて良かった」と語った。

 ST-5クラスでも、大野尊久/梅本淳一/赤星陽太郎組の69号車BRP★J’S RACINGフィットが5勝目をマーク。予選で大野が自らの保つレコードを約2秒更新していたが、決勝も楽勝だったかというと……。ピットロードの信号無視があったため、10秒ストップのペナルティを科せられてもいた。110秒の遅れを取り戻しただけに、“楽勝”ではなかったものの、より速さを強調することもなった。2位は山下潤一郎/山田英二/加茂新組の2号車ホンダカーズ野崎with CUSCO&BOMEX FITが、そして3位は野上敏彦/谷川達也/野上達也組の17号車DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dが獲得。ディーゼルターボ搭載車両が、ついにS耐でも表彰台に立つこととなった。

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