2009年度のスーパーGTでチャンピオンを獲得したPETRONAS TOM'S SC430、ダイシン アドバン Ferrariのドライバーと監督が今季の戦いについて語っている。2006年以来2回目のチャンピオンを獲得したロッテラーは「チームが素晴らしいクルマを作ってくれることが、今日の結果につながったんだと思う。チャンピオンシップが獲れて本当に最高だよ」とコメントしている。
【GT500】PETRONAS TOM'S SC430
脇阪寿一
「ほっとしているの一言です。それ以外は何もないです。シーズンを通して自分のミスもありましたし、そのミスもシリーズタイトルを獲ったときに笑い話になるとは言っていたのですが、なんとかタイトルを獲ることができて本当にほっとしています。今日はレースをしている最中もほんとドキドキしていました。しかし、グリッドから僕の周りにはSC430がいてくれたので、他のメーカーや1号車が僕のすぐ後ろに迫ってくるよりは気持ちも楽でしたね。アンドレにはお前が相棒じゃなかったら獲れてないよと言ったんですけど、彼がスタートドライバーを務めるということは、ものすごく作戦の幅が広がるんです。予選で得たグリッドからさらに順位が上がることを計算してレースに挑めるのは、ほんとに僕たちにとっては強みですし、彼は走っている時にいろんな情報を伝えてくれるので、とてもレースがしやすい。タイトルは彼がいてくれるからこそ獲れたタイトルだったと思います」
アンドレ・ロッテラー
「本当に最高な気分! こうやってチャンピオンになれることは、僕たちドライバーにとっても、チームにとっても素晴らしい結果。4年間同じチームで戦ってきているけど、本当に最高のチームだと思う。チームが素晴らしい仕事をして、素晴らしいクルマを作ってくれることが、今日の結果につながったんだと思う。そして、レクサスのサポートもとても心強かった。みんなに感謝したい。今日のレースに関しては、とてもいいスタートを決めることができて、その後はリードすることができたので楽しく走ることができたよ。とても落ち着いたレース運びができたけど、それは父が側にいてくれたからだと思っているんだ。先日に父が亡くなったけど、シーズンの後半からリザルトが良くなってきたのは父からパワーをもらっていたような気がする。父が病気になって以来、母国との間を往復することが多くなって迷惑をかけたけど、チームも寿一も協力してくれたので僕も頑張ることができたんだ。とにかく、チャンピオンシップが獲れて本当に最高だよ」
関谷正徳監督
「結果的に言えばうまくいったと思います。途中までは、岡山でタイヤチョイスで結構手痛いミスをしてしまって、その後もペナルティをもらったり、富士では接触してポイントを逃してしまったり、残念なレースが何回もありました。しかし、前回のオートポリスで優勝した時から、大きな流れがこっちに来ているなとは感じていましたし、ここで5ポイント差に詰め寄ったことでかなりプレッシャーをかけることができたと思います。いつもながらトムスのスタッフは、一人一人がいい仕事をしてくれるのでとても心強い。それと、ふたりのドライバーがすばらしい。特にアンドレは、オートポリスも今回もスタートを決めてくれた。我々の期待どおりの仕事をしてくれるというのは、本当にすごいドライバーだと思います。アンドレはお父さんが亡くなるという非常につらい思いをしてきました。ミーティングの時に、きっとアンドレのお父さんが力を貸してくれるよと言ったのですが、その通りになったことを本当にうれしく思っています。寿一もパフォーマンスを引き出せるような環境ではなかったんですけど、それに耐えていい仕事をしてくれました」
【GT300】ウェッズスポーツIS350
織戸 学
「言葉では絶対に獲るとは言っていたんですけど、心の中では大丈夫かなと不安に思っていたので、タイトルが獲れてほっとしています。片岡がこのチームに来る経緯もよく知っていたので、どうせ片岡と組むのであれば、絶対にチャンピオンを獲りたいと思っていたんです。去年はいろいろとトラブルがありましたけど、今年はチャレンジできる環境にあったので、ふたりの力を合わせれば絶対にチャンピオンを獲れるとは思っていました。とにかくチームもドライバーも、今年はチャレンジできるいいシーズンだったと思います」
片岡達也
「ありきたりなんですけど、とにかくほっとしています。このチームに入ることになって、織戸さんも監督もキャラクターが強いので、一緒に仕事をするとどうかなという思いもあったんです。しかし、僕がこのチームに加わった瞬間から、何年もチームにいたかのような暖かい雰囲気で開幕戦を迎えることができて、さらに開幕戦で勝ったことによって、このチームならチャンピオンも見えるんじゃないかと思っていました。実際にはライバルもレベルが高くて、苦しいレースもあったんですけど、力を合わせて諦めない気持ちで戦ってきた結果、ポイントリーダーとして最終戦を迎えることができました。今回のレースも苦しかったのですが、RX-7の様子はオーロラビジョンで見ていて分かっていましたし、フェラーリに抜かれた時点で終わってしまうので、ポジションよりも平中選手とのバトルの方に集中していたんです。とにかくあきらめずに全力の姿勢で戦うことで、この結果を獲ることができました。本当にこのチームに加入することができて良かったなと思っています」
坂東正敬監督
「ほっとしているとともに、目標だったチャンピオンが獲れて非常に満足しています。父親の坂東正明がGT-Aの会長を務めていることもあり、これまでは坂東正明のチームと思われている部分が非常に強かったのではなかったかと思います。まだまだ勉強することばかりではありますが、織戸さんをはじめとしてたくさんの方々から教えてもらったことが生きてきた結果だと思います。このチームには僕より年下の者は片岡しかいません。マネージャーもメカニックも織戸さんも年上で、自分の意見をどうやって通すかという部分では難しい部分がありました。去年から織戸さんと一緒にやって、今年から片岡が入ってドライバーとしては文句ない、クルマも去年から勝っているので、そういう意味ではプレッシャーもありましたが、最終戦を迎えるまでひとつもポイントを落とさなかったことなど、本当に強いチームになってくれたと思います。自分にとってはチームの環境を作ることからはじまったので非常に難しかったけど、本当に勉強になった1年だったと思います」
