2012 SUPER GT 第2戦「FUJI GT 500km RACE」(5/3-4)
富士スピードウェイ(1周4.563km)
入場者数:予選26,000名、決勝57,000名 合計83,000名

 5月4日(祝・金)、ゴールデンウィーク決戦となるSUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」の決勝が行われ、予選3番手からスタートしたDENSO KOBELCO SC430は、セーフティカー先導によるスタートから始まった様々な波乱に満ちた展開の熾烈な戦いを見事に制し歓喜の逆転優勝をもぎ取った。

 スタート直後、他車に接触されたコースオフした石浦は一時9位に順位を落としたが驚愕の追い上げで挽回し26周目にトップに立つ。脇阪は第1スティント短めの他車にかわされ4位からの戦いとなったが、巧みなドライビングで襲いかかる2位を一蹴。ピットワーク勝負でも他を突き放す素早さで戦列に復帰したDENSO KOBELCO SC430。最終スティント終盤の戦いで石浦が、小雨が降る中ドライタイヤで鬼神の追い上げを見せ、見事106周目に逆転トップに返り咲きそのままフィニッシュ。チームに2004年セパン戦以来のGT優勝をもたらした。

 ドライバーポイントでは20点を獲得しランキング3位(合計22点)、チームポイントでは23点を獲得し同じく3位(計28点)となった。次の第3戦は、シリーズ唯一の海外戦となるマレーシアはセパンサーキットで、6月9日(土)・10日(日)に行われる。

■公式練習走行
 剛毅果断で臨んだ開幕戦岡山では貴重なポイントを獲得したDENSO KOBELCO SC430。第2戦は昨年2回のポールポジションを獲得した相性の良い富士スピードウェイが舞台。予選方式はスーパーラップで、予選1回目Q1とスーパーラップは別ドライバーがアタックする新ルール。決勝は、約3時間に及ぶ長丁場の500kmでドライバー交代を伴う2回のピットストップが義務づけとなる。また、ウェイトハンディは現獲得ポイントの倍の数値となる4kgを搭載する。コースは1.5kmの直線から急減速の1コーナー~Aコーナー、高速コーナーの100R~ヘアピン、つづら折りの最終セクションと、どこにポイントを置くかが難しい世界屈指のレイアウト。ドライビングも戦略面も、またセッティング面においてもチームの総合力が試される第2戦富士。チームが狙う目標はただ1つ。一丸となって思いを1つに、粉骨砕身、力の限りを出し尽くして勝利を目指している。

 3日(祝・木)午前中の公式練習走行は、気温15度/路面温度15度の時折強く振る雨模様となった。9時から1時間40分の混走セッションが始まり、コースインを若干遅らせて石浦がウェットタイヤを装着し走行を開始。4周目にはその時点でトップタイムとなる1分50秒157をマークして雨中の好調さを維持していることを印象づけた。赤旗中断をはさんで続いて脇阪がコースイン。2回目の赤旗中断まで、その時点の2番手タイムをマークしながら上位タイムで8周を走行。今回も両ドライバー共に雨中のパフォーマンスでの良さを発揮した。11時から10分間のGT500クラス単独走行のセッションでは、2種類のウェットタイヤを脇阪が6周にわたって確認。11番手タイムとなったものの、セクターベストを刻むなど午後の予選に期待がかかる内容となった。

■公式予選
■Q1:脇阪が上位タイムを連発し4位でスーパーラップ進出
 3日(祝・木)13時15分から15分間の公式予選1回目Q1は脇阪がアタックドライバー。雨は午後となっても依然として降り続いて霧も出ており、難しいコンディションに。気温17度/路面温度20度の中でウェットタイヤでコースインした脇阪。アウトラップから他を凌駕するタイムで3周目には1分45秒440のトップタイムをマーク。その後もセクタータイムを常に赤マークのベストタイムで走り続ける気合いの走りで、1番計時か2番計時かというトップ争いを5周ほど演じて見せた。セッション終盤、0.1~2秒ほどラップが落ちたが上位タイムをキープする強さ。最終的に後半ショートで浅溝タイヤでタイムを刻んできた他車にかわされたが、6周目に記録した1分44秒607の4番手タイムで見事にスーパーラップ進出を決めた。

■スーパーラップ:石浦が安定感のある卓越したドライビングで3位を獲得
 予定より早く15時02分から始まったスーパーラップは気温18度/路面温度21度。次第に雨足が弱くなる中で7番目に登場した石浦は、丁寧にウェットタイヤを温め、アタックラップでライトオンと共に戦闘モードに。1コーナーでしっかりと踏ん張って駆け抜けた石浦のセクター1タイムは全車中ベストの21秒990でトップタイム。期待がかかった100Rとヘアピンがあるセクター2でも32秒028とその時点のベストを刻む。シリーズ戦富士で3連続ポールへと挑んだ最終セクターでは、雨の少ない路面コンディションの影響か、ほんの僅かに遅れてしまいセクタータイムは49秒760に。結果、安定感のある卓越したドライビングでスーパーラップを駆け抜けた石浦は、トップから僅か0.079秒差で惜しくも3位となった。

■決勝
■フリー走行
 4日(祝・金)8時30分からの決勝日朝のフリー走行開始時は霧混じりで小雨が舞う天候となり、気温15度/路面温度17度のウェットコンディションとなった。まず石浦がコースインし、5周目には2番手タイムをマーク。その後8周目には1分43秒420のその時点でのトップタイムを刻んでピットイン。続いて脇阪が10周目から走行し、12周目には1分43秒156とトップタイムを更新した。15周目にチェッカーを受けるまでウェットの中、安定したタイムを刻み、フリー走行は結果、脇阪のタイムで2番手となった。その後のサーキットサファリの時間帯では、乾き始めた路面で石浦がドライタイヤの感触を確かめ9周を走行。決勝への準備を終えた。

■決勝スタート
 4日(祝・金)決勝前は晴れ間も見える曇り空。8分間のウォームアップ走行で石浦は、ドライタイヤでトップタイムをマークしながらチェックを行った。その後、天候が一転、スタート直前に雨が降り出し、既に全車ドライタイヤを装着したままであることから、競技団が安全のためにセーフティーカー(SC)先導によるスタートを決定。早くも波乱含みのレース出だしとなった。SCスタート時は気温19度/路面温度23度に。隊列3番目につける石浦が駆るDENSO KOBELCO SC430は、ウェービングしながらタイヤを温めSC退去を待った。だが雨がさらに強くなり2周回を終えてタイヤ交換のためピットイン。GT500クラスは、1周目に入った36号車とドライタイヤのままを選択した8号車以外の13台のがピットになだれ込む異様な状態となった。

第1スティント:驚愕の追い上げでトップを奪取した石浦
 我先に戦列に復帰しようと大混乱のピットレーンで、手押しバック時に後ろを遮られ出遅れた結果、コースに戻ったときには6番手に落ちてしまう不運に。さらにSC退去後のせめぎ合いで他車に接触されコースオフし9番手と厳しい状況に追いやられた石浦。だが逆に闘志に火が付いた石浦は、タイヤが温まると次々と獲物を狩る猛獣の様に驚愕の追い上げを展開した。5周目には8位に、9周目には3台を一気に抜き去り4位にまで挽回。路面状況が良くなった14周目にすかさずピットインしドライタイヤに交換。戦況を見据えて先手を打つDENSO KOBELCO SC430は、19周終了の最終コーナーで目の前でスピンストップした車両に接触しそうになるヒヤリとした場面もあったが間一髪かわした石浦は、攻めの姿勢で集中したドライビングを続けた。21周目には3位に復帰。23周目には第1スティントベストタイムを刻んだ。そして緊迫したトップバトルを展開した石浦は、26周を終えトップ奪取に成功。ピットも応援スタンドも熱く大きく沸き返った。そして2位以下を毎ラップ引き離す力強さを見せた石浦は、45周にわたる最初の大仕事を終えピットに戻った。

第2スティント:脇阪は巧みなドライビングで2位を一蹴
 戦列に戻った際には第1スティントを短めに刻みSC導入中のタイミングでピットインした他車にかわされ4位からの戦いとなった脇阪であったが、トップペースでギャップを縮めていく勢いのあるドライビング。だが62周目にストレートエンドでGT300車両の激しいクラッシュによりSC導入となり仕切り直し。前とのギャップは縮んだが後方との差も無くなった。67周を終えSCが退去となったが、数台の周回遅れが道を譲らず前を塞がれ、後ろに詰め寄られる状況。最初に23号車とのドッグファイトが展開され、ジリジリと引き離しに成功した脇阪に、次は17号車が2位に浮上し襲いかかってきた。だが脇阪はうまく抑え込み、巧みなドライビングで寄せつけず一蹴。一刀両断で追従を振り切り82周を終えピットインする脇阪に、17号車は同時ピットインでピット勝負に挑んできた。

第3スティント:鬼神の走りで逆転劇を演じた石浦
 素早いピットワークで石浦を送り出しピット勝負でも打ち負かしたDENSO KOBELCO SC430。いよいよ最終局面、石浦はピット戦略の違いから先行を許した12号車、100号車を追いかける展開。トップ差30秒あるが相手の燃費とタイヤ次第では逆転は可能。今度は一転、レースは神経戦にもつれ込んだ。石浦は猛プッシュで闘志をあらわに、相手に驚異を感じさせる走りを見せ、毎ラップギャップを削り取っていった。燃料とタイヤを相手に使わせ有利な状況に持ち込むべく全開走行を続ける石浦。さらに天候を味方に付け95周頃から雨が降り出し路面を濡らしていく。ステイアウトかピットインでウェットタイヤに交換かと難しい判断を迫られる状況の中、追いかける立場のDENSO KOBELCO SC430はこのままミシュランタイヤの特長を活かしドライタイヤで行くことを選択。ピットからの檄に石浦も「何があっても頑張る!」と全開で追いかけることに集中した。102周を過ぎるとレースリーダーの12号車がたまらずピットイン。100号車もペースが鈍り、雨が降る中ドライタイヤで鬼神の追い上げを見せる石浦は、106周目に1コーナーでコースオフしかけた100号車を追い詰めオーバーテイク。場内の割れんばかりの歓声の中で見事に逆転トップに返り咲いた。追いすがる隙を与えずに一気に引き離した石浦はペースを緩めず、そのままトップフィニッシュ。様々な波乱に満ちた展開の500kmにわたる熾烈な戦いを見事に制し歓喜の逆転優勝をもぎ取った。

 ドライバーポイントでは20点を獲得しランキング3位(合計22点)、チームポイントでは23点を獲得し同じく3位(計28点)となった。レース後、チームはこのまま富士でメンテナンスを行い、その後スポーツランドSUGOに移動。5月8日(火)・9日(水)に行われるタイヤメーカー合同テストに参加する。そして、シリーズ唯一の海外戦となるマレーシアはセパンサーキットで6月9日(土)・10日(日)に行われる第3戦にシリーズトップを狙って挑む。

■脇阪寿一
「石浦が上昇ムードを高めてチーム力が高くなったサードに今季加入し、手応えを感じていました。シーズンの早いうちに勝てればと思っていたので今日の結果は今後に向けてありがたいし感謝しています。ミシュランさんとも密接なコミュニケーションが出来ており同じ感覚を共有できるのが強み。また今日はレースの神様が雨を降らしてくれた。レース中は以外と気持ちが落ち着いていて純粋にレースを楽しんでいる自分がいました。17号車との戦いでは塚越も素晴らしい選手なので大変でしたが、何とか抑えきることができました。2人のバトルに場内は沸いていたと聞きました。皆さんが喜んでもらえるバトルができたことを嬉しく思うと共に、最高のライバル塚越選手に感謝です。さあ、SARD時代の幕開けです。皆様、これからも更なる応援をLEXUS TEAM SARDによろしくお願いします!」

■石浦宏明
「色んな事がありましたが、とにかく集中して走りました。途中トップのつもりが離された3位とわかり悔しい感じでしたが、攻め続けたのが良かったと思います。ミシュランさんと寿一さんに助けられて、ここにいることが出来ていると思います。今回ドライはぶっつけ本番でしたが自信はあり、石浦ここにありを見せたかった。これまで眠れないほど悔しい思いを何度もしてきましたしね。今は文句が言えない強い体制になってきていて、この富士で勝てたことは弾みになると感じています。今後も頑張っていきますので、ご声援のほどよろしくお願いいたします」

■大澤尚輔監督
「今回は勝つという意気込みで臨んだ一戦で、運もありましたが勝つことができよかった。レースを戦う毎にチームは強くなっていて脇阪選手と石浦選手のコンビも頼もしい限り。またミシュランさんのタイヤにも助けられました。応援して頂いているすべての皆様に感謝いたします。次のセパンも暑いですし厳しい戦いになるとは思いますが、引き続きこの調子を維持して好成績を残したいと思います」

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