スーパーGT第7戦オートポリスは1日、65周の決勝レースが行われ、GT300クラスは予選8番手からスタートしたB-MAX NDDP GT-Rが優勝。2番手にポイントランキング首位のGAINER TANAX GT-Rが入ったため、最終戦を待たずしてアンドレ・クートがドライバータイトルを獲得し、GAINERがチームタイトルも手中に収めている。
午前と同様、曇天が広がるコンディションで決勝を迎えたスーパーGT第7戦。サーキットには場内の駐車場が満車となるほど多くのファンが集まった。気温14度、路面温度17度のコンディションとなったが、GT300クラスはスタート前からグリッドにつけないマシンが3台も出てしまう波乱の展開となった。
予選2番手を獲得したTOYOTA PRIUS apr GTがクラッチトラブルでグリッドにつくことができなかったほか、UPGARAGE BANDOH 86、マネパ ランボルギーニGT3もグリッドにマシンを並べることができなかった。また、VivaC 86 MCは一度マシンをグリッドにつけたものの、その場でトラブルが発覚したため、マシンを再びピットに戻している。なお、PRIUSとUPGARAGE 86はスタートまでにマシンの修理を完了したため、ピットスタートとなっている。
地元県警のパレードラップの後、レースはスタート。オープニングラップは大きな混乱もなく、ポールシッターのシンティアム・アップル・ロータスの加藤寛規がポジションをキープしていく。2番手にARTA CR-Z GTの高木真一が続き、3番手には5番グリッドからスタートしたグッドスマイル 初音ミク SLSの片岡龍也、4番手にAudi R8 LMS ultraの藤井誠暢が続いていく。
トップの加藤が4周目には2番手CR-Zとの差を4秒まで広げ独走態勢を築く一方で、3番手争いが過熱。初音ミク SLSの片岡を先頭に4番手の藤井、5番手SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人、6番手B-MAX NDDP GT-Rの星野一樹までが数珠つなぎとなるバトルが繰り広げられた。一方、15番手を走行していたGAINER TANAX SLSは緊急ピットインし、マシンをガレージに入れたほか、グリッド上でトラブルがみつかったVivaC 86は一旦はコースインを果たしたものの、問題が解決していなかったようで3周で再びピットイン。2台ともリタイアしている。
22周目終わり、5番手を走っていたB-MAX GT-Rが早めにピットイン。ドライバーを星野一樹から高星明誠に交代し、19番手でコースに復帰した。
一度大きく順位を落としていた初音ミク SLSの片岡は24周目、ペースを取り戻し4番手に浮上すると、その翌周の1コーナーで前を走る3番手Audi R8をオーバーテイク。さらに29周目には3コーナーで後ろからくるGT500マシンを巧みに使い、2番手CR-Zを捕らえることにも成功した。
レースが30周を過ぎたあたりから、コースの1コーナーからホームストレートにかけて雨が降り出すが、勢いは弱くすぐに路面を濡らす状況ではなく、各チームともスリックタイヤで走行を重ねていく。
そして32周目終わり、最後尾から11番手までポジションをあげていたPRIUSがピットイン。ルーティンの作業を行い、13番手でコースへ復帰した。ここから各チームとも続々とルーティンのピット作業を迎えていく。まずは6番手を走っていたBRZがピットイン。すべての作業を終え、井口から交代した山内英輝がピットアウトしたが、その直後マシンがピットロードでストップ。自力で動くことができなかったためチームクルーがピットまで押し戻し、そのままガレージにマシンを入れてしまっている。また、36周目終わりにはAudi R8、37周目終わりには初音ミク SLSがピットインし、ルーティンの作業を行っている。
後続が次々とピットインしていくなか、トップの加藤は順調に周回を重ねていく。そして46周目、すでにピットを終えている3番手B-MAX GT-Rに対し1分以上のギャップをもった状態でピットイン。タイヤを4輪交換し、高橋一穂がトップを維持したままコースへ戻っていく。
しかし、アウトラップのロータスはB-MAX GT-Rにジリジリと差を詰められ、登り区間の第3セクターでテール・トゥー・ノーズの状態まで接近。そして48周目のホームストレートで、加速に勝るGT-Rがロータスをオーバテイク。トップへ浮上した。
その後、B-MAX GT-Rが差を広げるかと思われたが、2番手ロータスはペースをあげ1秒以内の差をキープ。また、早めにピット作業を行なっていたGAINER GT-Rの千代勝正が着実にポジションをあげてきており、3番手までポジションアップを果たしている。
接戦の首位争いを繰り広げていた2番手ロータスだったが54周目、1コーナーを立ち上がったところで左リヤタイヤがバースト。マシンをコース脇に止めリタイアすることとなった。これにより2番手に千代が浮上し、GT-Rがワン・ツー体制を築いていく。また、ここでGT500クラスのRAYBRIG NSX CONCEPT-GTと接触があったとしてグリーンテックSLS AMG GTにドライブスルーペナルティが科された。ところが、グリーンテックSLSはペナルティに従わずレースを続行。そのため、黒旗が掲示され失格の裁定が下された。しかしレース後、グリーンテックSLSに対する裁定が誤審であり、RAYBRIG NSXと接触したのはSKT EXE SLSだったことが発表されている。
57周目には3番手を走行していたPRIUSの左リヤから白煙があがる。マシンボディとタイヤが接触していたようで、この修理のためPRIUSにはオレンジボールが掲示された。これにより3番手にはARTA CR-Zが浮上したが、僅差でStudie BMW Z4が続き表彰台をかけたバトルが展開する。そして59周目、3コーナーの飛び込みでStudie Z4がインをついてオーバテイク。3番手を確保した。
その後、2番手GAINER GT-Rの千代は、トップを走るB-MAX高星に3秒まで接近するも追い抜くことはできず。B-MAX GT-Rが第3戦タイ以来となる今季2勝目を獲得した。2位はGAINER GT-Rが獲得しクートのドライバータイトルが確定。3位にはStudie Z4が入り、FIA-GT3マシンが表彰台を独占した。4位にはケーズフロンティア Direction 458、5位はAudi R8 LMS ultra、JAF-GT最上位の6位にはARTA CR-Z GTが続いている。
レース後、マシンを降りた高星はチームメイトの星野一樹と抱き合い、涙を拭いながら勝利を喜んでいた。また、GT500クラスのS Road MOLA GT-Rの本山哲が両ドライバーの肩を叩き、勝利を祝福していた。
