10日、決勝レースが行われたスーパーGT第3戦セパン。GT300クラスでは、ファイナルラップに順位が大きく入れ替わる展開となったが、中継映像に展開は映っていなかった。そこで、終盤のGT300クラスの争いをドライバーのコメントで紐解いてみよう。

 第3戦セパンの決勝レースでは、HANKOOK PORSCHEがリードを広げる一方、2番手にタイヤ無交換作戦を敢行したGSR初音ミクBMWがつけ、オープニングラップにスピンを喫したエンドレスTAISAN PORSCHEが、素早いピットストップをこなし3番手を走行。それにS Road NDDP GT-Rが追いつき、表彰台圏内を争った。

「前に0号車が見えていたので、本当ならバトルせずに前を追いたかった。ただ、かなり3号車からプッシュされていて、ポルシェが遅いところは本当に遅かったので、厳しい戦いでした」とこの時の状況を語ったのはエンドレスTAISAN PORSCHEの峰尾恭輔。

 一方、S Road NDDP GT-Rをドライブしていたのは関口雄飛。「バックストレートに出る前の左右のコーナーがあるんですが、そこはポルシェが遅くて、GT-Rがいちばん速いコーナーなんです。それ以外は同じくらいなんですけど、そこで抜けても2本のストレートで抜かれてしまうので、厳しかったですね」と関口が語るように、S Road NDDP GT-Rはいったん前に出てもストレートで抜き返されてしまう展開となった。

 そこへ、1〜2速を失うトラブルのため予選で下位グリッドに沈んだtriple a Vantage GT3が接近する。「最後の数周は前のクルマが見えてきたので、できるだけ抜こうとプッシュしました」と語る吉本大樹が、レース中も2速がない状況ながらプッシュ。少しずつ前の2台に接近していく。

 一方、谷口信輝がドライブし、厳しいタイヤの状況ながら2位を確実なものにしていたGSR初音ミクBMWだが、「乗っている感じでは、ガソリンが来なくなった感じ。ファイナルラップの1コーナー、2コーナーを回って、3コーナーの途中でガス欠症状になった」とファイナルラップでスローダウン。完全に停止する前に、エンドレスTAISAN PORSCHE、S Road NDDP GT-R、triple a Vantage GT3がGSR初音ミクBMWの横を通過する。

 こうして迎えたファイナルラップだが、S Road NDDP GT-Rをドライブしていた関口はセパンの暑さにより判断力が低下してしまう。なんとか表彰台を獲得しようと最終コーナーに飛び込むが、そこへ「最終コーナーで無理をして抜きました」という吉本のバンテージが突っ込んでくる。

「少し油断していたみたいで、『来てるな』とは思って本能的にインを閉めたんですけど、暑さで判断能力が減っていたのか、なぜか1台分ラインを残しちゃったんです」という関口のインに飛び込んだ吉本は、「少し当たったと思うんですけど、そこで僕はタイヤカスの方に行ってしまってダメでしたね」と言う関口をパス。「バックミラーで見た時に3号車から66号車に変わっていたので気付きました」と語った峰尾の911号車が2位、吉本の66号車が3位でチェッカーを受ける形になった。

「表彰台に乗れなかったのは悔しいです(関口)」「これ以上デカい魚はいないんじゃないかってくらいの魚を取り逃がした感じ(谷口)」と悔しさを残すドライバーがいた一方で、「がむしゃらに走っただけです。今もまだ、信じられない気持ち(吉本)」「今日の2位はこの間の悔しい2位よりも、上出来の2位かな、と思っています(峰尾)」と、一度はトラブルに泣きながらも、喜びに沸いたドライバーを生んだ第3戦セパン。今後のシリーズの展開にも大きな影響をおよぼしそうな結果となった。

本日のレースクイーン

葉月美優はづきみう
2025年 / スーパーGT
NGK SPARK PLUGS Ambassador
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年2月号 No.1616

    スーパーGT 20周年記念特集
    激動、勇退、高揚。
    忘れられない20年

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円