BMW Sports Trophy Team Studie
[レポート]
2014オートバックス SUPER GT 第1戦 OKAYAMA GT 300km RACE
デビューレースを2位獲得!
BMW Z4ワンツーフィニッシュ
2014年4月5日予選 (天候:くもり/コースコンディション:ドライ)
2014年4月6日決勝 (天候:晴一時雨・雹/コースコンディション:ドライ一時ウエット)
場所:岡山国際サーキット(岡山県美作市/全長3.703km)
岡山国際サーキットにおいて
GT300のコースレコードを塗り替える
4月5日(土)~6日(日)、2014オートバックス SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300KM RACE」が開催され、2014年シリーズの幕開けとなった。
5日午前、公式練習。開幕直前のシェイクダウンとなったメーカー合同テストでの好調を維持したいチームは、No.7 Studie BMW Z4を慎重にピットロードへと送り出す。ステアリングを握るのは荒聖治。タイヤの感触を確かめるなど着々とメニューをこなして合計44周を走りきる。場内アナウンスにサーキットの歓声がどよめいたのは、その7周目のこと。計測されたラップタイムは1分27秒851。岡山国際サーキットにおけるGT300のコースレコードを塗り替えた瞬間だった。いきなり、No.7 Studie BMW Z4のポテンシャルの高さを証明したのである。
午後の予選Q1。気温は氷点下。雨の予報に対してコースコンディションはドライをキープしているものの、路面温度は依然として低い。Q2に進むトップ10を決めるQ1を荒 聖治が担当する。今やGT300は激戦区であり、実力も伯仲。確実にQ2へと駒を進めるため、コースレコードを樹立した荒聖治にバトンを託す。各マシンが早々にラップタイムを刻み始める中、荒 聖治は3周たっぷり使って、丁寧にタイヤを温める。クリアラップを確保できると読んだ次の瞬間にGO! 1周だけのアタックで記録したタイムは、驚愕の1分26秒750。なんと午前に記録したコースレコードを自ら更新してみせたのだ。
手堅くQ2に進んだBMW Sports Trophy Team Studieは、いよいよヨルグ・ミューラーを投入。WTCCでBMWファンを歓喜させた“ミスターBMW"が、ここ岡山国際サーキットに帰ってきたのである。気温がグッと冷え込み(実際、Q2終了後には激しく雹が降り出す場面も…)、厚い防寒具で防備したオーディエンスが見守る中、ヨルグ・ミューラーも淡々と27秒台をマークする。そのベストラップは1分27秒126。Q1の自陣タイムには及ばなかったものの、手堅く4番グリッドを確保した。
予選ポールポジションは新田守男/嵯峨宏紀両選手のNo.31 Panasonic PRIUS。盟友、谷口信輝/片岡龍也両選手のNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4はセカンドグリッドの好位置に付けた。3番グリッドは高木真一/小林崇志両選手のNo.55 ARTA CR-Z GT。後ろの5番グリッドには昨年の覇者、No.0のMUGEN CR-Z GTが続く。ここぞという場面での瞬発力を武器にするハイブリッド勢は手強いことを再認識させられる。
ミスターBMW、ヨルグ・ミューラーが
0.3秒差のワンツーフィニッシュを演出
6日、決勝。ときどき晴れ間が覗くものの気温は上がらない。未明まで降っていた雨も乾き、ドライコンディションでフォーメーションラップが始まった。隊列の乱れからフォーメーションラップを追加してスタート。1コーナーに飛び込み、トップで出てきたのはNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4。片岡龍也選手がロケットスタートを見せる。見事!
スタートドライバーを務めた荒 聖治は5番手に順位を下げながらも、丁寧にレースへ入ることを優先する。レースが落ち着き始めた4周目には4番手にポジションを回復。9周目、後方からGT500のオーバーテイクが始まると、先行するNo.11 DIXCEL SLSとテールツーノーズに迫るも、ここから膠着状態が続く。再びレースが動いたのは22周目。No.31Panasonic PRIUSがダブルヘアピンでストップ。そのまま3番手へアップ。途中、雨が降り出す場面もあったが34周目。No.11 DIXCEL SLSがタイヤトラブルで戦線を離脱すると、トップを快走するNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4をNo.7 Studie BMW Z4が追いかける展開に。開幕で見られるとは誰も予想しなかった、BMWのワンツー体制となる。
そして中盤の40周目。No.4 グッドスマイル 初音ミク Z4がピットインしたことによって、ついにトップへ浮上。44周目には、No.7 Studie BMW Z4が今度はピットイン。荒 聖治からヨルグ・ミューラーへドライバーチェンジするとともに、タイヤ交換と給油を行う。ピット時間短縮を狙い、タイヤは左側前後の2輪だけを交換する作戦だ。
これは期せずしてNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4とほぼ同じ戦略だが、No.7 Studie BMW Z4はピット作業に手間取り、やや時間をロスしてしまう。ピットからコースに復帰するアウトラップで他車にひっかかったこともあり、再び先行したNo.4 グッドスマイル初音ミク Z4との差は約10秒にまで拡大。ドライバーは谷口信輝選手だけに手強い。同選手のタイヤマネージング能力とZ4は最強のコンビネーションをみせるだけに、デビュー戦でのポイントゲットを優先すれば、ポジションキープでも上出来というムードにピットが満たされたとしても不思議はない場面だ。
しかしヨルグ・ミューラーは、ここから怒濤のプッシュを始める。63周目には6.0秒差。68周目には4.7秒差。そして残り4周となる74周目には、ついに3秒を切る! 75周目には2秒差。そしてファイナルラップの最終コーナーを抜けるとNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4と、ついにテールツーノーズとなってホームストレートに現れた。待望のBMW Z4ワンツーフィニッシュを、ヨルグ・ミューラーはわずか“0.3秒差のドラマ"に演出してみせたのだ。
BMW Sports Trophy Team Studieはデビュー戦を2位で飾り、15ポイントを獲得。初シリーズ制覇へ向けて大きく歩みだした。次戦は5月3日(土)~4日(日)に富士スピードウェイにて開催される。
代表兼監督 鈴木康昭
勝たなければ意味がないと思われがちなモータースポーツですが、欧州では続けることが大切とする文化があります。BMW文化とともに、そういったモータースポーツへの理解も醸成していければと思っています。とはいえ、やはり勝利は嬉しいものです。それが盟友とも言えるグッドスマイル 初音ミクZ4が優勝したとなるとなおさらで、自分のことのように喜んでいます。もちろん、次のチャンスでは我々がポディウムのセンターを目指します。
ドライバー ヨルグ・ミューラー
「モア・ツーラップス!(あと2周あれば!)」(笑)。とても素晴らしいチームメイトやスタッフとともにシリーズをスタートできたことを、本当に嬉しく思っています。次は富士スピードウェイ。日本のBMWファンの皆さん、応援よろしくお願いします。
ドライバー 荒 聖治
とにかくZ4はマシンのバランスがよくて、コーナーでブレーキを奥まで残したり、旋回性能の高さで闘えるように仕上がっています。今回はヨコハマタイヤもバッチリとコースにキマったこともあって、存分に実力を出せました。