今やWTCC最速の称号を手にしたシトロエン“第3の男”ホセ-マリア・ロペス。今週末にツインリンクもてぎで開催されるWTCC日本ラウンドでも優勝争いの中心になるのは間違いない。しかし、今乗りに乗っているロペスも将来に目を向けると、ある発言を境にその活動の行方が揺らぐこととなった。今年7月、シトロエンCEOのリンダ・ジャクソンが「2017年シーズンはWRCかWTCC、どちらかひとつのカテゴリーでのみワークス活動を行う」と発言したからだ。シトロエンによって見出された新チャンピオンは、この状況をどう見据えているのだろうか。

 2013年に母国アルゼンチンのWTCCでスポット参戦(BMW320TC)ながらデビューウィンを飾り、その活躍からワークスデビューを控えるシトロエンのシートを掴んだロペス。ただ、当時のチームはフランス人のセバスチャン・ローブとイバン・ミュラーという母国のスタードライバーふたりを中心に据えた布陣で、ロペスは第3ドライバーとしての加入だった。

 しかし、彼はシトロエンでのデビューレースとなった2014年の開幕戦でいきなりポール・トゥ・ウインを飾ると、そこから一気にチャンピオン街道を駆け上がり、終盤の鈴鹿で早々とチャンピオンを獲得。今シーズンも残り4戦で2位のミュラーに55ポイント差をつけチャンピオンシップをリード。2年連続のタイトルを早くも視界に入れている。

「僕はとても運がいい。本当に素晴らしいチームだ。リーディングチームの一員として参戦しているし、クルマもトップで一流のドライバーが集まっている」
「ライバルは僕が乗っているクルマで走りたいと思っているんだろうね。本当に運がいいと思っているし、すごく光栄に思っているよ」とロペスは今の状況に満足。2度目のタイトルにも、「今年は勝つべきところで勝ってきたし、獲るべきところでポイントを獲ってきた。だから残りはポイントをひとつひとつ重ねていくことが重要だ。これまではレースで勝つたびにリスクもとってきたが、これからは極力リスクを回避しながら慎重にポイントを積み重ねていくつもりだ」と描くシナリオも完璧だ。

 だが、シトロエンが2017年からワークス活動を一本化することについては彼も認めており、自身の将来をどう進めていくか慎重に言葉を選びながら次のように続けた。
「現状はシトロエンとの契約で走っている身だ。シトロエンのシャツを着て過ごし、シトロエンを代表しているということだ」
「しかし、大きなマニュファクチャラーにはこうしたいろいろな動きがあることは分かっている。確かに、ラリーに集中するのかWTCCに残るのか噂になっているし、どうなるかはまだ分からない」

「でも、僕はレースに勝つことに今は集中したい、キャリアを高めていきたいと思っている。そうやってシトロエンのために一生懸命にやっていくというのが僕の今のスタンスなんだ」
「それと同時に、WTCCがこんなにも素晴らしいチャンスを与えてくれた。世界選手権のドライバーとして活躍できる場をね」

「だから、その時が訪れ、決めなければならない時期が来れば、ひとつひとつの要素を慎重に考えて、その上で決めたいと思っている」

 2010年、当時F1に新規参戦を予定していたUSF1のドライバーとして契約したものの、結局はチームの資金難によりF1デビューのチャンスを目前で失ったロペス。しかしその後に、母国アルゼンチンに戻った彼は、国内のツーリングカーシリーズに参戦。それまでのフォーミュラ一本から転向したことが今の成功につながったとも言える。今後、彼がどうキャリアを重ね、どんな決断を下すのか、これからも追ってみたい、そう思わせるドライバーだ。

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