Formula NIPPON NEWS 2009.08.09
全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
第6 戦・決勝[ツインリンクもてぎ]

ロッテラー(PETRONAS TOM'S)が2 年ぶりの優勝
ランキング1、2 位のデュバル、トレルイエが2、3 位に

8月9日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6 戦の決勝レースは、スタートダッシュで飛びだした、No.36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)が優勝。ランキングトップのNo.31 ロイック・デュバル(NAKAJIMARACING)は2 位、そしてNo.8 石浦宏明(Team LeMans)がラスト2 周でトラブルに見舞われたため、デュバルを追うランキング2 位のNo.2 ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)がラッキーな3 位を得た。

フォーメーションラップがスタートしたのは、午後2 時半。気温28 度、路面温度32 度というコンディションの中、13 台のスタートがタイヤを温めながら隊列走行。グリッドにつくと、レッドシグナル点灯からブラックアウトし、一斉に1 コーナーを目指す。トップに立ったのは、ポールポジションのNo.32 小暮卓史(NAKAJIMARACING)。続いて予選5 番手からロケットスタートを決めたロッテラー。予選3 番手のNo.8 石浦宏明(TeamLeMans)、デュバル、予選7 番手のNo.2 ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)、No.10 塚越広大(HFDP RACING)と続く。その後、5 コーナーでデュバルが石浦を抜き返し、2 番手に復帰。また塚越はS 字でトレルイエに並びかけるが軽く接触して、若干コースアウトする。これで塚越はポジションを落とした。その結果、1 周目を終えてのオーダーは、小暮、ロッテラー、デュバル、石浦、トレルイエ、No.37 大嶋和也(PETRONAS TOM'S)、No.1松田次生(LAWSON IMPUL)、塚越となっている。トップの小暮はわずか1 周で2 番手に2 秒以上の差をつけ、独走状態となるかに思えた。ところが、小暮はレッドシグナル点灯中にクルマが動いてしまったことで、ジャンプスタートのペナルティーに。これで最後尾まで後退してしまう。
これでトップに立ったのは、ロッテラー。それをデュバルが僅差で追う。次第にこの2 台が抜け出し、石浦は単独走行に。その後方では、トレルイエの背後に大嶋、松田が僅差で迫るが、順位の入れ代わりはなくこう着状態となった。それを打開するべく、まず動いたのは大嶋。大嶋は19 周を終える所でピットイン。給油が長く、30 秒あまりのストップを行なってコースに戻る。その翌周には、No.41 伊沢拓也(DOCOMO DANDELION)、さらにその翌周には松田とNo.7 国本京佑(Team LeMans)がピットイン。松田はここで大嶋の前に出ることに成功した。さらに、24 周を終えるところでトレルイエがピットイン。松田の前でコースに戻っている。
その4 周後に僅差のまま周回を重ねていたロッテラーとデュバルが同時ピットイン。ここが今日のレースではハイライトとなり、どちらが先にピット作業を終えるのか注目された。ここで給油時間が短かったのは、何とロッテラー。デュバルはロッテラーよりも約4 秒ストップ時間が長く、逆転はかなわなかった。コースに戻ったデュバルはピットイン前の塚越に引っ掛かる形となり、トップ2 台の差は一気に7 秒以上に開いた。
このレースは後方から追い上げでオーバーテイクシステム(OTS)を使用し、仕掛けられた側もOTS を使い加速するというシーンが頻発。シーズン終盤となり、各選手がOTS の使い方を心得てきたこともあるだろう。
レースが終盤となると、次々とトラブルが発生。まず36 周目の5 コーナーでNo.40 リチャード・ライアン(DOCOMO DANDELION)がブレーキトラブルのためコースアウト。40 周目には、9 番手の国本にパドルシフトのトラブルが起こり、ピットに戻るとそのままレースを終えた。6 番手の大嶋は、エンジンが吹けなくなりV 字コーナーでストップしてしまう。10 番手の塚越も残り4 周でピットに戻ると、そのままリタイアした。
一方、トップ争いはロッテラーがデュバルにつけ入る隙を与えず、今季初優勝。ロッテラーは07 年の第6 戦富士以来、約2 年ぶり優勝だった。デュバルは2 位。その後方は残り2 周となったところで異変が起こる。3位を走行していた石浦に2 速からギヤが動かなくなるトラブルが襲う。これで最終周のS 字でトレルイエが石浦を抜き、表彰台を獲得した。石浦は必死の走行で、何とか4 位でゴールした。次回、第7 戦は8 月29、30 日、大分県のオートポリスが舞台。そこではシリーズ終盤の激しい争いが行われることになるだろう。

決勝トップ3 ドライバーのコメント
優勝 No. 36 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)
今日は少しラッキーな部分もあったけれど、基本的には完璧なレースができたと思う。まずスタートがロケットのように、いいリアクションで2 番手まで上がれたし、小暮選手にペナルティーで、トップに上がることができ、とてもラッキーだった。でも、すぐ後ろにロイックがいて、彼らのクルマが速いのは分かっていたから、迫ってくるんじゃないかと思っていた。だけど、僕のクルマもすごくいい仕上がりで、どういう風に運転すればいいのかということも分かっていた。さらにレースが進むに連れて、自分のクルマをさらによくマネージメントすることができたし、燃料を重めに積んでいたので、ピットストップも短いだろうということは知っていたよ。だから、このまま前のポジションをキープして、ピットストップ後も前にいれば、もてぎでは抜かれないだろうと思っていた。チームがとてもいいクルマを仕上げてくれたので、ありがとうと言いたい。優勝できて嬉しいね。

決勝2 位 No. 31 ロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)
僕も今日は素晴らしいスタートを切れたよ(笑)。いや、実際には、チームメイトが少し動いたのが見えて、僕はリスクを犯しちゃいけないという気持ちがあって、それがちょっと影響したかもね。小暮選手のことは残念に思うけど、チャンピオンシップを考えれば、これは僕にとってラッキーだったと思う。その後、アンドレより僕のペースは若干速かったけど、このコースはとてもオーバーテイクが難しいし、僕のクルマは高速コーナーの出口でタイムをロスしていたから、前に出ることができなかったんだ。だから、ピットストップで何とか前に出られればと思っていたんだけど、アンドレのストップ時間の方が短くて、それは叶わなかった。後半も一生懸命プッシュしたけど、届かなかったね。でも、2 位で終われたことはチャンピオンシップを考えれば良かった。それに10 日前に祖父が亡くなったので、今日の2 位は祖父に捧げたいと思う。

決勝3 位 No. 2 ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)
僕にとっては、今日はとても退屈なレース(笑)。何も起こらなかったから。スタートではちょっと戦ったけど、その後はタイヤをキープしながら後続を抑えることを考えて走っていたよ。ピットイン前の数周は本当にプッシュした。石浦選手が少な目の燃料でスタートして給油が長いと思ったから。でも、彼も給油はそれほど長くなくて、ピット作業後も彼が前にいた。だから、そこからプッシュしたんだけど、彼はとても速くて差を詰めて行くことができなかった。最終的に、彼がトラブルを抱えて僕が逆転をしたけど、彼はとてもいいレースをしていたから、かわいそうだったなと思う。もちろん僕にとっては表彰台で終われたのはハッピーだけどね。

優勝チーム監督 舘 信秀(PETRONAS TOM'S)
レース前、優勝は考えていませんでした(笑)。アンドレとも言っていたんですが、「表彰台に上がれればベストだね」って言っていたんです。やっぱり予選でNAKAJIMA RACING とはだいぶ差がありましたし、今までの経験上、あのギャップでは1 番は無理だろうなと。ただ今日終わってみて、やっぱり「諦めちゃいけないな」と。そういうことを痛切に思うレースでしたね。ほとんど捨ててましたから(笑)。まぁ、いいスタートをしましたけど、どこかでやっぱり捕まってしまうんじゃないかということを考えていましたね。でも、本当にアンドレががんばって走ったし、作戦も含めて完璧なレースだったんじゃないかと思います。ひとつ勉強しました。“諦めちゃいけない”ってこと、ネバー・ギブアップだね。

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