赤旗やクラッシュ、スピンにコースアウトが続発し、波乱の幕開けとなった中国GP。しかし、マクラーレン・ホンダはアクシデントやトラブルに見舞われることなく、粛々とプログラムを消化していった。初日ふたつのセッションで走行した周回数はアロンソ47周で、バトン48周とマレーシアGPの周回数をともに上回った。

 トラブルフリーで金曜日のセッションを終えたにもかかわらず、新井総責任者が表情を緩ませることはなかった。見えない部分で問題が発生していたからではない。この程度の状態で満足しているわけにはいかないという自負が、そこに垣間見えたような気がする。

「トラブルなしで走ることができただけで、喜んでいるわけにはいかない。道はまだ遠いですから」

 今回の中国GPにホンダは対策を講じた仕様の異なるターボチャージャーとMGU-H、MGU-Kをふたりのドライバーに投入してきた。すでにホンダはターボチャージャーとMGU-Hの2基目を使用しているが、この仕様変更はパフォーマンス向上を目的としたものではなく、信頼性を上げるために講じた処置でFIAも承認済みだという。

 パフォーマンスが上がっていないという証拠に、上海インターナショナル・サーキットの約1170mある全19戦中もっとも長いロングストーレートエンドでの最高速では、まだトップチームに対して数km遅れていた。開幕2戦を終えた段階でのホンダの現状を見て、ヨーロッパのある雑誌は、こう報じた。

「ホンダは100馬力、劣っている」

 新井総責任者は、その数字をあえて否定しなかった。

「何を言っても、書かれてしまえば数字はひとり歩きしてしまう。それを我々は背負っていくしかない」

 そこに労力を割くより、ホンダを信頼して一緒に戦っている同志に、少しでも早く、できる限り性能の良いパワーユニットを供給したい。それが偽らざる心境だったのではないだろうか。

 なんとか辿り着いた開幕戦、さまざまな不具合と戦った第2戦。3戦目にして、ようやくホンダはライバルたちとの戦いの舞台に立ったような気がする。

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