復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はトラブル続きで終わった第7戦カナダGPを、ふたつの視点でジャッジ。

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甘口編
現状を再認識できた厳しい現実

「ガラチェンもあるかもしれない……」と語った後で、「もちろん、冗談です。そんなことはありません」と、開発計画の見直しの可能性をすぐさま否定した新井康久総責任者。カナダGPで2台そろってリタイアに終わったホンダの総責任者がいままでにないほど、追い込まれていたとしても不思議はない。

 それも、当然のことだろう。ホンダはカナダGPにふたつのトークンを使用した改良型パワーユニットを投入したにもかかわらず、そのポテンシャルを発揮する前に、次々とトラブルに見舞われたからだ。

 まず、金曜日のセッション後にフェルナンド・アロンソのパワーユニットに「このまま走らせるとレースを走りきれないかもしれない」(新井総責任者)という不具合が発覚。そのため、ホンダは土曜日の朝からアロンソのパワーユニットを交換するが、その交換作業を終えてアロンソがコースに復帰したフリー走行3回目の終盤に、今度はチームメイトのジェンソン・バトンのパワーユニットに問題が発生する。結局、バトンはパワーユニット交換のために予選の出場を取りやめ、最後尾からレースに参加した。つまり、アロンソもバトンも、新しいパワーユニットでレースに挑んだのである。

 にもかかわらず、そのレースで2台ともパワーユニットに異常が発生し、ピットインしてレースを終えざるを得なかった。最終的な原因はさくらの研究所に戻さないとわからないというが、どちらも排気系に異常があったというから、エンジンになんらかの問題があったことは間違いなさそうだ。
 結果だけを見れば、カナダGPのホンダは今シーズン、もっとも厳しいレースだったと言っていいだろう。それは新井総責任者も認めている。
「開幕戦よりもつらいし、2台そろってリタイアしたマレーシアGPよりも、今回のほうがつらい……」

 すべてが未経験の中でスタートした序盤戦とは違い、6戦を経験した後、カナダGPで再び問題に直面。振り出しに戻されたような気持ちになるのも当然だろう。「またスタートラインに立たされたような気分」だと新井総責任者は唇をかんだ。そして、冒頭のセリフが飛び出すのである。

 もちろん、トラブルは起きないほうがいいし、レースは完走しなければ結果は残らないからリタイアしないほうがいい。しかし、いまのホンダに大切なことは、トラブルを恐れてただ完走するよりも、勝つためには現状ではまだまだ不十分であるという自覚をしっかりと持ち、勝つためのパワーユニットにするために、トラブルを徹底的に出し尽くすことである。

 レース後、新井総責任者はこんなことも語っていた。
「場合によっては、いま仕込んでいるものを前倒しで投入することも考えなければならない」
 もちろん、これまでもホンダは本気で戦ってきたのだろうが、カナダGPの結果で、さらにネジが巻き直されたのだとしたら、今回の2台そろってのリタイアは、モナコGPの初入賞よりも価値があるものだと言えよう。

ホンダ辛口評価編:またも赤っ恥
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