WRC世界ラリー選手権の2023年シーズン第8戦『ラリー・エストニア』は、7月21日(金)の競技2日目、デイ2から本格的なハイスピード・グラベル(未舗装路)ラリーがスタートした。今大会最長の一日となったこの日は、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)とラリー・エストニア2連覇中のカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位を争い、僅差でトヨタの“現シリーズチャンピオン”がリードを奪った。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手につけている。
SS2~8まで計7本のスペシャルステージ(SS)で争われたフルデイ初日の朝は、ヒョンデの“エース”であるヌービルがリードを奪う展開となった。シーズン折り返しのラウンドとなった前戦ケニアでは失格裁定を受けたベルギー人ドライバーは、午前中の3つのステージで2番手タイムを記録。SS2終了時点で総合首位に浮上すると、同じく3ステージ連続で3番手タイムを刻んだロバンペラに6.8秒のリードを築いて午前のループを終える。
しかし、SS合計距離133.38kmで争われたデイ2の午後の再走ステージでは形勢が逆転する。2021、22年大会王者はSS5で今大会最初のステージウインを飾り、その差を2.1秒に縮めると続けてSS6も制し、この段階でライバルを逆転してみせた。
直後のSS7は2番手となったヌービルがわずかに差を詰めたが、この日の最後に行われたSS8ではロバンペラがステージ3番手タイムを記録した一方、ヌービルは現王者から0.8秒遅れての5番手タイムに留まったため、両者のギャップがふたたび拡がっている。とはいえ、その差は3秒と僅差だ。
「ミスをしないようにしながらも全力で攻めた。あれ以上できることはあまりなかったので、いい仕事ができたと思う」と一日を振り返ったロバンペラ。
「午後のステージはコンディションが少し良くなり、少なくとも後続の選手たちと同じようなグリップレベルにはなった。ところどころ、わだちを少しならしながら走る必要があったけど、少なくともプッシュすることはできたし、一日を終えてそれほど悪くない状況だと思う」