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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.03.03 04:30
更新日: 2024.03.03 11:53

ポルシェ963、最終盤のドラマを経て初優勝&表彰台独占。トヨタは7号車が6位【第1戦カタール/後半レポート】

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ル・マン/WEC | ポルシェ963、最終盤のドラマを経て初優勝&表彰台独占。トヨタは7号車が6位【第1戦カタール/後半レポート】

 史上最多14メーカーが参戦する今季2024年のWEC世界耐久選手権開幕戦『カタール1812km』の決勝レースが3月2日(土)、ルサイル・インターナショナル・サーキットで行われ、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963(ケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントール組)が総合優勝を飾った。

 ランボルギーニなどトップカテゴリーへの4社の新規参入をはじめ、LMP2クラスの廃止(ル・マンのみ継続)、LM-GTEアマに代わるLMGT3の創設といった新しい要素が満載となったWECの新シーズンは、これまた初めての開催となるルサイルで幕を開けた。

 カタールの建国記念日である12月18日にちなんだ1812kmレースは現地2日・土曜日の11時に、335周または10時間で争われる決勝レースの開始時刻を迎え、スタート直後の1コーナーでは5番手スタートの50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)が、フロントロウに並ぶ5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)と7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)を大外刈りでかわしトップを奪う。

 しかし約15分後、ニコ・ミューラー駆る93号車がこれをかわし、今戦が“リヤウイングレス仕様”ではラストレースになるとみられるプジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)が総合首位に踊りでた。

 その後、6番手から順位を上げてきた6号車ポルシェが、フェラーリとプジョーを攻略してトップ浮上する。以降このクルマがレースを支配する展開が続き、93号車プジョーが2番手をキープ。その後ろでハーツ・チーム・JOTAの12号車とペンスキー5号車、2台のポルシェ963が3番手を争うかたちでレースが進んでいく。

 中段のグループではJOTAの38号車、スタートで順位を落とした小林可夢偉組7号車トヨタ、ワークス2台が序盤のトラブルなどで後れを取るなか健闘を見せる83号車フェラーリ499P(AFコルセ)などが中心となって5番手争いが繰り広げられた。

レース前半の詳細レポートはこちら(/sports-car/1048616)

 スタートから6時間過ぎ、ニューカマーのうちのひとつである63号車ランボルギーニSC63(ランボルギーニ・アイアン・リンクス)がピットレースでリヤカウルを開けて後部を確認したが、ガレージには入らずにコースに戻る。

 トヨタ7号車のマイク・コンウェイは、7時間目にトラフィックを利用して12号車ポルシェ963のノルマン・ナトを攻略し4番手に浮上する。抜かれたナトは7号車のピットイン後、同門の5号車ポルシェを交わして3番手に。

ポルシェ963、最終盤のドラマを経て初優勝&表彰台独占。トヨタは7号車が6位【WEC第1戦カタール/後半レポート】
7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2024年WEC第1戦カタール1812km

 8時間目に入ると5号車のマット・キャンベルと38号車を駆るジェンソン・バトンの4番手争いが勃発。複数回のサイドバイサイドのバトルのなか、軽いタッチで互いにコース外に押し出すシーンも見られたが、大きなアクシデントには至らず。ポルシェの同門対決はキャンベルに軍配が上がり、先行車のピットインもありポルシェ・ペンスキーがワン・スリーとなる。

 8時間を経過してまもなく、5号車が5コーナー先で飛び出すがすぐにコース復帰を果たす。4番手の順位も守った。レース終盤、10時間のフィニッシュまで残り約90分となると上位勢が続々と9回目のピットインに入ってくる。2番手93号車プジョーがピットインした際にはペンスキー勢が一時ワン・ツーを築いた。この直後、首位を走る6号車と木村武史がドライブするアコーディスASPチームのマシンが3コーナーで接触するアクシデントがあり、87号車レクサスRC F GT3はコースを外れグラベルを通ってコースに戻ることに。このインシデントは審議対象となったが、レースコントロールはGTカー側に非があると判断。87号車にピット作業プラス10秒のペナルティを与えている。

 アクシデントで車両左側のゼッケンを失った6号車は残り1時間ちょうどのタイミングで10回目のピットインを行い、エストーレがフィニッシュに向けて最後のスティントに向かう。一方、長時間にわたり2番手をキープしてきた93号車プジョーは、カラム・アイロット駆る12号車の猛追を受けテール・トゥ・ノーズのバトルに。

 チェッカーまで残り50分、12号車がプジョーに先んじて10回目のピットへ。この間に5号車ポルシェが3番手に浮上する。トヨタの7号車に先行するかたちで6番手につけていた38号車は、最終盤にマシントラブルに見舞われ長時間のピットストップで入賞圏外にダウン。ステアリングを握っていたオリバー・ラスムッセンは感電を防ぐ降り方でコクピットを離れた。

 残り35分を切ってデ・フリース駆る7号車が最後のピット作業を行う。続いて2番手を走るプジョーもピットイン。これで5号車が1分30秒ほど先行するが、5号車も最後のスプラッシュを残している。93号車と12号車のタイム差は約7秒に拡がった。

 プジョーのピットインから約10分後、5号車ポルシェが最後の給油に入る。ピットアウト後、キャンベルのマシンは93号車と12号車の後方4番手となり、この段階でレースは残り10周に。

 328周目、2番手に対して1分26秒の差を築いた首位6号車が燃料的には足りるもののふたたびピットへ向かう。先のアクシデントで失ったゼッケンに代わる簡易ゼッケンを、左側のリヤフェンダーに貼り付けてピットアウト。後続との差は36秒に縮まったが、まだ充分なマージンがある。

 予定外のピット作業があったがポルシェ・ペンスキーのマシンは、その後の7周を危なげなく走り切り、スタートから9時間55分後にトップチェッカーを受け2023年のWECデビュー以来、初めてとなる総合優勝を飾った。ロッテラーにとってはアウディ時代の2015年第2戦スパ以来の優勝だ。

ポルシェ963、最終盤のドラマを経て初優勝&表彰台独占。トヨタは7号車が6位【WEC第1戦カタール/後半レポート】
参戦2年目のシーズン開幕戦でWEC初優勝を達成したポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ6号車) 2024年WEC第1戦カタール1812km
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優勝6号車、2位12号車、3位5号車で表彰台を独占したポルシェ963勢 2024年WEC第1戦カタール1812km
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93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ) 2024年WEC第1戦カタール1812km

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