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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.02.19 17:46
更新日: 2021.02.19 17:51

“タイヤ交換競争”よりもコスト削減。賛否あるなかピットストップ規定を変更へ/GTWCヨーロッパ

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ル・マン/WEC | “タイヤ交換競争”よりもコスト削減。賛否あるなかピットストップ規定を変更へ/GTWCヨーロッパ

 2021年、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS/エンデュランス・カップにおいて計画されているアップデートの一環として、レース中のピット作業規則が変更となり、燃料補給とタイヤ交換作業が同時に行なわれる見通しであることが明らかとなった。

 昨年、シリーズを主催するSROモータースポーツ・グループは、チームが給油とタイヤ交換を別々に行なうことによって、ピットストップにおける競争のレベルを拡大していた。

 SROの創設者兼CEOであるステファン・ラテルはSportscar365に対し、いくつかのチームの要求を緩和するため、2019年に最後に見られた(給油作業と)統合されたタイヤ交換手順が復活する、と語っている。

「我々は毎年、変化をしている」とラテルは述べている。

「“タイヤ交換競争”の緊張感を取り除くため、タイヤ交換中に給油することになる」

「それはチームからの要求だった。チームの多くは、スピーディなタイヤ交換のために必要な少しのトレーニングをやめることを望んでいた」

「優れたタイヤ交換担当メカニックは、最高のエンジニアよりも市場での価値が高くなった。そこでチームからは『やめよう、我々は正しい方向に向かっていない』との声があがり始めた」

 SROは2021年のスポーティング規則をまだ公表していないが、新たなピットストップ規則は、2019年と2020年の規則のハイブリッドになると理解されている。

 2019年はタイヤ交換と給油を同時に行なうことができたが、各車はピット入口から出口までに要する最低ピットタイムが定められていた。

 2020年、最低ピットタイムは廃止され、最大10秒相当の燃料を給油できるショートストップ時を除き、すべてのピット作業において最低給油時間が定められた。スパ24時間レースでは、さらに4分間の“テクニカル”ストップが導入された。

 2021年は、2019年スタイルのタイヤと給油の同時交換、そしてスパにおけるテクニカルストップとともに、最低給油時間ルールは継続される見込みだ。チームは最低給油時間の間に、余裕を持ってタイヤ交換作業ができることになる。

 元ベントレー陣営のチーム・パーカー・レーシングのチーム代表であるスチュアート・パーカーは、最新のルールがチームのピットストップへの支出を減らすことを促す、と示唆している。

「それは、ピットにおける“軍備拡張競争”を引き起こさない」とパーカーは語った。

「(ピット作業に用いる)これらのホイールガンの価格は、最近の小型車のそれと同じだ。ひとつのホイールガンに8000ポンド(約118万円)を費やす必要がある。他のすべてのレースについてもだ」

「このようなスピードでタイヤ交換を行なっているため、ホイールガンはそれに耐えることができない」

「もしマニュファクチャラーの支援を受けるプロチームであれば、それを買う余裕がある。だが、プライベートチームの場合、(プロチームと)張り合うのは常にとても困難だ」

 ハウプト・レーシングチーム(HRT)の代表である、ショーン・ポール・ブレスリンは、高額な費用がかかるのは装備だけでなく、ピットストップ要員にも及ぶと付け加える。

「レーストラックにおいて我々には10〜12人の固定スタッフがおり、トータルでは30人だ」とブレスリンは語る。

「さまざまな場所に住んでいる彼らフリーランサーをファクトリーへと連れてきて、何日もトレーニングする必要がある。これは非常に高くつく」

 パーカーはまた、最低給油時間内にタイヤ交換を終わらせればいい、という緊張の緩和により、メカニックの安全性が改善される可能性が高いことを示唆する。

「20秒未満のピットストップをしようとして、大急ぎでホイールを持って走り回るメカがいる状況を、私はいつも心配していた」とパーカー。

「どこかの時点で誰かが怪我をすることだろうし、それは起こるべくして起きた事故になる」

「引き続き注意をすることは必要だが、このルール変更はメカニックを物理的な危険にさらさないための、少しの時間を与えることになる」

2020年(第2戦から)は、最低時間の定められた給油作業とは別にタイヤ交換をしていたため、交換に要する時間がピットにおけるロスタイムを決定付けていた。
2020年(第2戦から)は、最低時間の定められた給油作業とは別にタイヤ交換をしていたため、交換に要する時間がピットにおけるロスタイムを決定付けていた。

■次のページへ:「優秀なタイヤ交換クルーを確保」するも、必要なくなり……


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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