一方、ブレスリンはタイヤ交換を給油時間のウインドウ内に再統合することにより、2020年にピットストップがもたらした光景の一部が失われる可能性があると考えている。
昨年の(エンデュランス・カップ)第2戦ニュルブルクリンク以降、タイヤ交換と給油が別々に行なわれるようになった際、一部のドライバーたちは競争の要素が加わったことに興奮を表明していた。
「我々にとって昨年は最高のシーズンではなかったが、私は素早いタイヤ交換が好きだ」と、昨年HRTチームでプロおよびシルバーカップにおいてメルセデスAMG GT3 Evoを走らせたブリスレンは語った。
「それはレースの一部だと思う。たとえばミザノのレースでは36度の暑さのなかでホイールを持ち上げて走る。ピットストップは、そんな印象的なアスレチック・ショーでもある」
シリーズがタイヤ交換競争をやめることで、HRTの場合、彼らの2年目のGTレース・シーズンに向け、ピットクルーを編成する方法に調整が必要になると説明する。
昨年の規則採用により、一部のGTWCヨーロッパの参加チームは、とくにタイヤ交換作業をスピードアップする目的で、人材のトレーニングと投資を行なうようになっていた。
たとえばベントレー陣営のCMRは、ピットワークが迅速なことで知られるチームWRTの元メカニックを雇い入れた。
「ふたりの優秀なピットクルーを確保することが、(チーム編成における)主なトピックのひとつとなっていた」とブリスベンは述べている。
「昨年末からこの冬にかけて、それを達成することができて本当に嬉しい。だが、ここへ来てルールが変更されたので、いまとなっては必要なくなってしまった。なぜならもう、純粋なレースのようなスピードでタイヤを交換する必要はないからだ」
「参戦するチームにとっては、少しイージーになったと思う。エンデュランス・カップでは、そのような高度な訓練を受けたピットクルーは必要ない。WRTが彼らのような(タイヤ交換に長けた)スタッフを維持することに熱心だったのは、そういったことが理由のひとつだったと私は知っている。彼らには、非常によく訓練されたピットクルーが、複数のマシンにいるからね」
「そのようにしなくて済むことは、我々参戦チームすべてにとって、コストの削減になる。だが、スプリント・カップに参戦しているのであれば、とにかくトレーニングをしなければならない。そして、すべての装備を持っている必要もある」
ピットストップが競争の要素を失うことの見通しについて尋ねられたラテルは、次のように述べている。
「我々(シリーズ)は、チームとともに運営しているようなものだ」
「現在、我々はコスト削減プログラムに取り組んでいる」
「これ(タイヤ交換規定の変更)はチームが『イエス』と言ったポイントのひとつであり、間違いなく予算をカットしてくれるものだ。それは圧倒的多数(の意見)だった」