3月20日にフロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催された第69回セブリング12時間。このレースで最多115周をリードしたキャデラック・チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックDPi-V.Rは終盤、GTLMカーとの接触によって優勝の権利を失うことになった。この件について事故当時ステアリングを握っていたスコット・ディクソンは「とてもフラストレーションが溜まった」ことを認めている。
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦となったデイトナ24時間レースに続き、ランガー・バン・デル・ザンデ、ケビン・マグヌッセン、ディクソンという布陣でシーズン第2戦セブリングに挑んだチップ・ガナッシの01号車キャデラックは、12時間レースの大半を支配していた。
しかしレース終盤、ディクソン駆るキャデラックがルーティン作業のためピットへと向かった際に、最終ターン17でコナー・デ・フィリッピがドライブしていたBMWチームRLLの25号車BMW M8 GTEと接触。01号車はこの時点で優勝争いから脱落することとなる。
アクシデントはキャデラックDPi-V.Rの右サイドと足回りにダメージを与え、修理のためにラップダウンとなった01号車は、最終的にトップから2周遅れの総合5位でフィニッシュ。チップ・ガナッシのキャデラックは349周でフィニッシュを迎えた今レースの内、最多115周をリードしていた。
「とても悔しいよ。ピットエントリーでBMWとぶつかったことは分かっているけれど、どうしてそうなったか理解できないんだ」と語ったディクソン。
「ピットへのコールが非常に遅かったため、僕は時間内にすべてを元に戻そうと必死だった。(最終コーナーのレコードラインから)ピットロードに戻ろうとしたところ、ちょうどクルマがいて僕たちはぶつかった。それは間違いなく大変なことだった」
「みんなが素晴らしい仕事をしていてクルマも速かっただけに、チームには申し訳なく思っている」
「確かに残念だけど僕らはあそこでまで順調にいい走りができた。それはチップ・ガナッシ・レーシングのみんなおかげだ」
チームメイトのバン・デル・ザンデは3番手からレースをスタートすると、早々に先行する2台を交わして序盤戦をリードする。しかし、トラフィックのなかで再逆転を狙ったポールシッター、ピポ・デラーニ駆る31号車キャデラックDPi-V.Rと接触してしまう。
01号車とコンクリートウォールに挟まれる格好となったウェレン・エンジニアリング・レーシングのマシンは、ステアリングラックの損傷に見舞われる。この件についてデラーニとチームは激怒した。
一方、チップ・ガナッシのオランダ人ドライバーは5時間目のピットストップ後にふたたびトップに立ち、2時間後にフルコースコーションが出されるまで後続に30秒以上の大差をつけていた。
その後に起こったBMWとの接触はチップ・ガナッシにとって、デイトナ24時間レース優勝のチャンスを奪った最終盤でのパンクに続く2度目の不運となっている。