レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2023.03.18 11:23

壊れた車載カメラがキルスイッチ直撃。ユナイテッドAS、LMP2優勝を逃す/WECセブリング

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | 壊れた車載カメラがキルスイッチ直撃。ユナイテッドAS、LMP2優勝を逃す/WECセブリング

 WEC世界耐久選手権第1戦セブリング1000マイルレースで、LMP2クラスの首位を快走していたユナイテッド・オートスポーツの23号車オレカ07・ギブソン。レース中盤、ジョシュ・ピアソンは突如パワーを失ってコース脇にマシンを止めたが、その理由はコクピット内に搭載されていた車載カメラが緩んで外れ、キルスイッチを作動させたからだという。

 チームの共同オーナーであるリチャード・ディーンは事の経緯を説明し、「百万回に一度のできごと」であると表現した。

 オリバー・ジャービス/トム・ブロンクビスト/ピアソンのトリオは予選でポールポジションを獲得し、決勝でもレース前半に力強いペースでLMP2クラスをリード。とりわけピアソンは、4時間目に入ってターン6の先でマシンを止めるまで、ライバルたちに大きなギャップを築くことに成功していた。

 ディーンによれば、ドライブしていたピアソンからは「ダッシュボードに取り付けられていた車載のテレビカメラが壊れ、コクピット内で動き始めた」と報告を受けていたという。

「ダッシュボードのカメラが外れたんだ」とディーン。

「ジョシュは無線で『車載カメラが外れてしまった、壊れた』と言ってきた」

「そして次のターンで、ちょっとしたミラクルが起きてしまった。よりによってイグニッションオフスイッチ(キルスイッチ)の内側に当たり、それが作動した状態になってしまったんだ」

「これは車外からマーシャルが引っ張ることで、マシン(エンジン)を止めることができるスイッチだ。それが内側から押し出されてしまったんだ」

「外側から作動させることもできるが、内側で十分に大きな衝撃を与えたときは、同じ働きをするように設計されている。まさに、その通りになってしまったんだ」

「彼は無線で、カメラが外れたと言った。その5秒後に通信が途絶えたと思う」

 ディーンは、テレビ放送用のカメラの取り付けは、シリーズ側から要請があれば必須であることを指摘し、今後のイベントでは、取り付け作業をより注意深く行う必要があることを示唆した。

「それは我々のカメラではなく、我々のキットでもない」とディーン。

「もし、再発防止に努めるのであれば、取り付けにチームが満足できない場合は、手を挙げて言う必要がある。それが、あのようなことが二度と起こらないようにするための、唯一の方法だと思う」

「我々のチームのために働いていない人がコックピットの中に入ってくるようなことがあれば、他の人の仕事をダブルチェックしなければならない」

「レースはいま終わったばかりだから、クルマが戻ってきたら一連のできごとをきちんと分析する必要がある。信じられないできごとのひとつではあるが、起きてしまったことだ」

「このようなことが二度と起こらないようにすることが重要だ。最終的には、我々のクルマに搭載されるものについては、完全に承認されているということを確認する責任を負わなければならない」

 ディーンは、チームの2台のオレカがレースを通して見せたスピードを賞賛し、ピアソン、ジャービス、ブロンクビストの3人は、このアクシデントがなければ勝利に近づいていた可能性が高いと指摘した。

「彼らには充分なペースがあったので、大変だった」とディーンは述べている。

「その時点でまだ多くのことが起こる可能性があったわけだけど、2台ともクリーンなレースをしていなかったので残念だ。(優勝した)JOTAには敬意を表するが、我々にはこのレースを勝てるペースがおそらくあったはずだ」

「オリー(ジャービス)のポールポジション、オリーのスティント、そしてジョシュのトリプルスティントでのペースを思うと、ただただ申し訳ない。彼にはとても競争力があった。今日、あのクルマには誰も歯が立たなかったと思う」

 ディーンは最後に、この出来事は「100万回に一度のできごと」であり、ハーツ・チーム・JOTAが最終的に優勝したレースで、チームがペースの優位性を生かしきれなかったことを指摘した。

「これは100万分の1の確率ではあるけど、昨年のル・マンではマーブルが飛んできてキルスイッチに当たったことがあった」とディーンは付け加えた。

「100万回に一度のできごとのような気もするが、こういうこともある。クルーにとってはタフなことだ」

「今回のように22号車も23号車もペースが良く、圧倒的な週末を過ごせたとき、その週末にはフルポイントを獲得しなくてはならない。だが、それはできなかった」

LMP2予選で最速タイムを記録したユナイテッドAS23号車のオリバー・ジャービス
LMP2予選で最速タイムを記録したユナイテッドAS23号車のオリバー・ジャービス


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

関連のニュース