2024年シーズンのスーパーフォーミュラに参戦するドライバーは21名で、21台のエントリーがあった昨シーズンから変わっていない。エンジンメーカー別に内訳を見てみるとトヨタ/TRDエンジン勢は6チームから11台、ホンダ/無限エンジン勢は6チーム/10台が出場予定だ。
前者では6チーム中、KONDO RACINGとdocomo business ROOKIEの2チームが体制を維持した。残る4チームは1名、ないし2名のドライバー変更が見られる。
まず、2023年のチャンピオン獲得後FIA F2とELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズへのフル参戦およびWEC世界耐久選手権でのリザーブドライバー就任に伴い、今季は海外へ拠点を移すこととなった宮田莉朋が離れたVANTELIN TEAM TOM’Sには、2019年から5シーズンにわたりCERUMO・INGINGから参戦した坪井翔が加入し、36号車のステアリングを握ることに。37号車は、2023年第6戦から36号車のステアリングを握った笹原右京がレギュラーシートを掴んだ。
一方、坪井が離れたCERUMO・INGINGは新たにVERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGとしてエントリーすることとなり、2020年のSFデビュー以降、昨年までホンダ系チームからシリーズ参戦していた大湯都史樹が移籍加入している。
ITOCHU ENEX TEAM IMPULは2台ともにドライバーが変更となった。19号車には2023年IA F2チャンピオンで、F1チームのキック・ザウバーでリザーブドライバーを務めるテオ・プルシェールが加入。姉妹車の20号車のシートには、昨季Kids com Team KCMGの18号車をドライブしていた国本雄資が座る。2016年王者の国本が離れたKCMGの18号車は今季は8号車となり、ここに昨シーズンまで6年にわたってホンダを代表するドライバーとしてSFに参戦した福住仁嶺が加入。7号車を駆る小林可夢偉の新たなチームメイトとなっている。

ホンダ/無限エンジンを使用するチームも、ライバル陣営と同様に6チーム中4チームにドライバーラインアップの変更があった。
チームタイトル2連覇を達成したTEAM MUGENは、複数年契約を結んだ野尻智紀のチームメイトに、2023年FIA F2ランキング4位と岩佐歩夢を起用。昨季は2台体制でエントリーしていたB-Max Racing Teamは、San-Ei Gen with B-Maxとエントリー名を改めたうえで1台体制となり、2023年の全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権チャンピオンの木村偉織を抜擢している。
引き続き1台体制での参戦となるThreeBond Racingは、昨年からチームのリザーブドライバーを務めていた三宅淳詞がレギュラードライバーに。そしてTGM Grand Prixからは現役女子高校生ドライバー(4月から大学生)として大きな注目を集めているJuju(野田樹潤)のシリーズ参戦が決定。国内トップフォーミュラにおいて初めての日本人女性ドライバーが、史上最年少で誕生することになった。チームメイトはB-Maxからの移籍となる経験豊富な松下信治だ。
一方でDOCOMO TEAM DANDELION RACINGと、NAKAJIMA RACINGは昨季と同じ布陣を継続するが、後者は今季チーム名を変更しPONOS NAKAJIMA RACINGとしてエントリーしている。


●2024年スーパーフォーミュラ エントリーリスト(3月5日時点)
| No. | Driver | Team | Engine |
|---|---|---|---|
| 3 | 山下健太 | KONDO RACING | TOYOTA/TRD 01F |
| 4 | 小高一斗 | KONDO RACING | TOYOTA/TRD 01F |
| 5 | 牧野任祐 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 6 | 太田格之進 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 7 | 小林可夢偉 | Kids com Team KCMG | TOYOTA/TRD 01F |
| 8 | 福住仁嶺 | Kids com Team KCMG | TOYOTA/TRD 01F |
| 12 | 三宅淳詞 | ThreeBond Racing | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 14 | 大嶋和也 | docomo business ROOKIE | TOYOTA/TRD 01F |
| 15 | 岩佐歩夢 | TEAM MUGEN | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 16 | 野尻智紀 | TEAM MUGEN | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 19 | テオ・プルシェール | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | TOYOTA/TRD 01F |
| 20 | 国本雄資 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | TOYOTA/TRD 01F |
| 36 | 坪井翔 | VANTELIN TEAM TOM’S | TOYOTA/TRD 01F |
| 37 | 笹原右京 | VANTELIN TEAM TOM’S | TOYOTA/TRD 01F |
| 38 | 阪口晴南 | VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING | TOYOTA/TRD 01F |
| 39 | 大湯都史樹 | VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING | TOYOTA/TRD 01F |
| 50 | 木村偉織 | San-Ei Gen with B-Max | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 53 | Juju | TGM Grand Prix | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 55 | 松下信治 | TGM Grand Prix | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 64 | 山本尚貴 | PONOS NAKAJIMA RACING | HONDA/M-TEC HR-417E |
| 65 | 佐藤蓮 | PONOS NAKAJIMA RACING | HONDA/M-TEC HR-417E |
■2024年シーズンも全9戦。終盤2大会はダブルヘッダーに
2024年シーズンは、2度の1大会2レース制のラウンドを含む、7大会9レースが開催される。この点や開催サーキットは昨年と変わりはないが、開幕が例年よりも早い3月であることや、2レース制となるラウンドが終盤に固められたことなど、複数の変更が確認できる。
具体的には、開幕ラウンドが富士スピードウェイから鈴鹿サーキットに取って代わり、今週末3月9~10日に実施されることとなった。4月にレースがない一方、5月以降は8月まで毎月1イベントが行われ、5月はオートポリス(大分)、6月はSUGO(宮城)、7月は富士(静岡)、そして8月はもてぎ(栃木)での開催が予定されている。これらはすべて1レース制だ。
9月はふたたび空白の1カ月となり終盤戦に向けて力を蓄える期間に。その終盤2戦はいずれも週末のダブルヘッダーが予定され、10月の富士ラウンドで第6戦と第7戦が、11月に鈴鹿(三重)で行われる“JAFグランプリ”では第8戦と第9戦が実施される。
レースウイークのスケジュールは、1レース制の週末と2レース制の週末とでフォーマットが異なる。1レース制の大会では、90分のフリー走行1と予選を土曜日に行い、日曜は30分間のフリー走行2と決勝が行われる。
これに対して2レース制の大会では、金曜日に90分間の専有走行を行った後、土曜と日曜は午前中に予選、午後に決勝という流れを繰り返すかたちとなる。
各レースにおける点数配分は、予選がポールポジションから3番手まで順に3-2-1ポイント。決勝では1位から10位まで順に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1ポイントとなっている。1大会2レース制で行われる場合、それぞれのレースにおいて同じ分のポイントが発生するという点は昨シーズンと変わらない。そのため、今季も2レース制の大会において好調を維持しつつ、週末の2レースとも良い結果を残せるかという点が、チャンピオンシップを争ううえでのカギとなりそうだ。
●全日本スーパーフォーミュラ選手権 2024年シーズンカレンダー(12月25日時点)
| Round | Date | Circuit |
|---|---|---|
| Rd.1 | 3月9~10日 | 鈴鹿サーキット(2&4レース) |
| Rd.2 | 5月18~19日 | オートポリス |
| Rd.3 | 6月22~23日 | スポーツランドSUGO |
| Rd.4 | 7月20~21日 | 富士スピードウェイ |
| Rd.5 | 8月24~25日 | モビリティリゾートもてぎ |
| Rd.6-7 | 10月12~13日 | 富士スピードウェイ |
| Rd.8-9 | 11月9~10日 | 鈴鹿サーキット(JAFグランプリ) |
■公式アプリ『SFgo』はチーム無線も聞ける。今年もABEMAで全戦無料ライブ配信
ここまでは、スーパーフォーミュラを楽しむための基本情報などをお伝えしてきたが、最後にレースのライブ中継や関連番組の放送情報を紹介しよう。
予選や決勝レースの模様は、テレビではスポーツ専門チャンネルのJ SPORTSで全戦生中継が行われる。また、インターネットを介しパソコンやスマートフォン、タブレットなどで視聴できるJ SPORTSオンデマンドでも同じ内容がライブ配信されており、見逃し配信にも対応。さらに、オンデマンドではフリー走行の放送も予定されている。
2023年にリリースされたスーパーフォーミュラの公式アプリ『SFgo(エスエフ・ゴー)』では、フリー走行、予選、決勝の中継映像に加え、オンボード映像とテレメトリーデータが見ることができるほか、チームとドライバーのやりとりに使用される無線を聞くことが可能に。さらにレース中に誰が、どのタイミングでOTS(オーバーテイクシステム)を使用したかがリアルタイムで分かるようになっており、各車のOTS残量も比較して見ることができるなど、よりマニアックな目線でレースを楽しむことも可能になっている。
上記の視聴・配信サービスはいずれも有料コンテンツとなっているが、インターネット環境があればABEMAでの無料ライブ配信でレースを楽しむことができる(決勝のみ)。また、同サービスでは昨年からABEMAモータースポーツアンバサ―を務めている日向坂46の富田鈴花さんがMCを務める情報番組『サーキットで会いましょう Season2』の放送も決定。2年目となる今季も、参戦ドライバーをゲストに招きレースや選手の魅力を紹介していくほか、グルメ情報や次戦の見どころなど、思わずサーキットに行きたくなる内容の番組になるという。
●番組・出演者情報
| J SPORTS/同オンデマンド、SFgo中継 | 場内放送 | ABEMA | |
|---|---|---|---|
| 実況 | 笹川裕昭 | ピエール北川 | MCコウゼン |
| 解説 | 土屋武士、脇阪寿一 | 和泉風花(声優) | 中山雄一 |
| ピットリポーター | 英美里 | ―― | ―― |
| 現地リポート | ―― | ―― | 富田鈴花(日向坂46) |


