前戦で得た手応えの結末とは

 2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦が、8月9日(土)~10日(日)にかけて、宮城県のスポーツランドSUGOにて開催された。今大会は土曜日にフリー走行と公式予選、日曜日にフリー走行と第8戦決勝レースが開催される週末1レースの大会である。

 ThreeBond Racingは富士スピードウェイにて開催された前戦第7戦で結果こそ掴み獲れなかったが、レース終盤には全参加車両中ベストラップに近いペースで走行し、手応えを得ていた。今回の第8戦には前戦のセッティングをベースとして、距離が短く高低差が大きいコース特性に合わせた調整を加え、車両が持ち込まれた。

Round.8 フリー走行1回目

 9日(土)、スポーツランドSUGOは夏らしい快晴に恵まれた。事前に舗装や縁石を含めた改修が行われ、新たに舗装が施されたコースで、午前9時から1時間半にわたり行われたフリー走行(FP1)を走り始めた三宅選手は、前回のレースよりも良い感触を得ながら周回し、ラップタイムでは常に上位に名を連ねた。

 しかし、他のチームが車両の調整を進めるに従って、三宅選手の順位は徐々に下がり始めた。路面にラバーが乗った状態にも関わらず、新品タイヤを装着しても他のチームほどタイムアップしないという車両特性はここスポーツランドSUGOでも大きく変わらず、FP1のタイムは最終的にトップから0秒663遅れの、全22台中11番手でFP1を終了した。

 シーズン当初からチームを悩ませているこの車両特性が何故生じるのか、三宅選手とチームは知恵を絞って考え続け、大会の間で走行中のデータを解析し、ミーティングと対策を重ねてきたが、今回もこの傾向は解消しなかった。

Round.8 公式予選

 公式予選Q1A組での走行となった三宅選手は、チームと事前にミーティングを行い、公式予選時の短時間でタイムが出せる様にセッティングを一部変更すると共に、セッション中に2回のタイムアタックを行う作戦を採った。過去スポーツランドSUGOで開催された予選を振り返ると、セッション中に赤旗提示(走行中断)されるケースが多く見られたので、走行開始当初から確実にラップタイムを確保するためである。

 作戦通り三宅選手は10分間のQ1セッション中、2回のタイムアタックを行い、2回目のアタックで1分6秒948というタイムを記録したが、Q1突破までO秒111足りず、惜しくもQ2への進出は叶わなかった。Q2の結果を受け、三宅選グリッドは出走22台中14番手と決まった。

Round.8 決勝

 10日(日)は、前日とは一転して朝から雨となった。三宅選手は、ウェットコンディションとなった朝のフリー走行2回目(FP2)を走って、トップから0秒492遅れとなる7番手のタイムを記録した。チームは天候が決勝レース中に回復し、路面コンディションが徐々に好転することを予測し、それに合わせたセッティングを施して三宅選手を決勝レースへ送り出した。

 レースは雨のためセーフティーカー(SC)先導でスタートした。FP2を走った三宅選手はウェットタイヤの消耗が速く進む傾向を感じ取り、タイヤを少しでも長持ちさせるため、SC先導での隊列走行が続く間はタイヤを冷やす方向で走行を続け、レース後半の勝負に備えた。

 SC先導の隊列走行は5周にわたって続き、6周目に事実上のスタートが切られた。14番手スタートの三宅選手は、前方車両のスピンに伴い6週目中にポジションを13番手に繰り上げた。

 その後は、前方を走る7号車小林可夢偉選手を追いかけつつ、後方から迫る6号車太田格之進選手と競り合うも、最終コーナーからホームストレートにかけて太田選手に追い抜かれたことで、再度14番手となった。

 その後、10周目に前方を走っていた64号車佐藤蓮選手の車がコース上で停止したため、再度SCが介入。SC先導の隊列走行を行った上で15周目からレースが再開された。この時点で三宅選手は13番手につけ、集団の中で快調に周回を重ねていた。

 ところが20周目、16号車野尻智紀選手の背後につき、馬の背コーナーに進入、ブレーキングをしたところ、野尻選手の背後についたことでダウンフォースが抜けていた上、コーナー内側には雨水が溜まっていたこともあり、タイヤをロックさせてしまった。

 ちょうどその時、後方からオーバーテイクシステム(OTS)を使用した14号車大嶋和也選手が並びかかっていたため、コーナーを曲がりきれなかった三宅選手は大嶋選手を押し出す形で接触、ースを外れ、フロントウイングを壊してしまった。

 三宅選手は壊れたフロントウイングを引きずりながらコースに復帰し、ピットへ戻ろうと最終コーナーに差し掛かったところで、引きずっていたフロントウイングの影響もありコーナーを曲がりきれず、コースを外れてタイヤバリアに衝突し、レースを終えた。

ドライバー:三宅淳詞 コメント

「情けないの一言です。決勝レースでは徐々にペースが上がり、チャンスが来ているように感じていました。しかし、自身のミスでチャンスを掴むことができず、本当に申し訳なく思います」

「野尻選手の背後でブレーキを踏んだのですが、(背後についたことで)ダウンフォースが抜けていた上、コーナーのイン側に水も多く溜まっていて、タイヤがロックし、「アッ」と思った瞬間には外側に大嶋選手がいて当たってしまいました」

「その後、ピットに戻ろうとしたのですが、そこまでスピードを出したつもりは無いのですが、おそらくフロントウイングを巻き込んだことで急に車が曲がらなくなり、コースから飛び出してしまいました。レースを台無しにしてしまい、チームはもちろんですが、大嶋選手やルーキーレーシングの皆様にも申し訳なく思っています」

監督:塚越広大 コメント

「前回富士のレースで良い感触を掴んでいたこともあり、前戦のセッティングを元に、今大会の車の方向性を決めて臨みました。走り出しは今までよりも悪くない状況だったと思います。予選のタイムに関しても、あと少しでQ2に進めそうな所まで来ていたので悔しいです」

「決勝は雨になったことでコンディションが変わりましたが、レース前のフリー走行で上位のタイムを記録していたので戦える状況にはあったと思います。決勝では、各車とバトルしながらも前方のグループを追いかけ、後半に向けて勝負を仕掛けられそうな雰囲気でした。しかし、結果としては接触を起こしてしてしまい、大嶋選手には申し訳なく思っています」

「次戦までは2か月のインターバルがあります。今回のレースでは各所に良い部分も見えたので、しっかりとデータを解析して、2ヶ月間で車をしっかりとまとめ上げて次のレースに臨みます。引き続きのご声援宜しくお願いします」

トラックエンジニア:ー瀬俊浩 コメント

「富士の決勝レースでの車の印象が比較的良かったので、前戦の内容を踏まえたセットアップを構築して臨みましたが、実際に土曜日の走行開始時点ではパフォーマンスは高く感じました。日曜日は今シーズン走行経験の無いウェットコンディションでしたが、バランスと車高を合わせたことで、走り始めから上手くパフォーマンスが出て、フリー走行では10位以内のタイムで走行できていました」

「少し欲が出て(天候が回復すると読んで)セットアップを更に攻め込んだ結果、決勝の走り始めは中々パフォーマンスが上がらなかったのですが、パフォーマンスを上げて行けそうな雰囲気が見えてきた所でクラッシュしてしまいました」

「結果は出ませんでしたが、ウェットコンディションでの走行や、ドライコンディションでも走り始め路面では速く走れるという傾向を通して、様々な推論の中で今の12号車に起きている現象の辻は合ってきたように感じます。次戦までの2か月間のインターバルを使い、各部のパーツや車の組み立て方、セットアップなど、もう1度全てを1から精査し直し、次戦は上位に行けるようにします」

三宅淳詞(ThreeBond Racing)
三宅淳詞(ThreeBond Racing) 2025スーパーフォーミュラ第8戦SUGO

本日のレースクイーン

奥西はつみおくにしはつみ
2025年 / スーパー耐久
AutoLabo Lady
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円