ピットインのタイミングはチーム側で計算して決めた。インパルの関口担当の柏木良仁エンジニアが話す。
「ギャップは32秒でカツカツかなと計算していましたが、ペースも落ちていなくてウチの方が速かったので、ガス欠にならないくらいのちょうどいいタイミングだったと思います」
関口は55周目にピットインするまでに2番手に35.4秒のギャップを築いてピットイン。チームもピット作業を完璧にこなし、関口はトップのままコースに戻り、トップチェッカーを受けた。

2番手以下はピットインしてわずかに燃料が多かったとは言え、ワンメイクの現代のトップフォーミュラで、後続に1ピットストップ分のギャップを築いたドライバーは前代未聞。それほど、セーフティカーが開けてからの46周に渡る関口の速さは際立っていた。
柏木エンジニアに今回の速さの原動力について聞くと、「ドライバーじゃないですか(笑)。クルマも悪い訳ではなかったですが、SUGOに向けてチームで考えて準備してきたセットアップがうまくいって、それをドライバーが上手く乗りこなしてくれた」と、あくまで関口の走りを称える。

スーパーフォーミュラ史上に残る名レースとして、後世に語り継がれるであろう今回のSUGO戦。ワンメイク、僅差、接戦というキーワードが並ぶ現在のスーパーフォーミュラで、レーシングドライバーの存在の大きさ、そしてレーシングドライバーの可能性の大きさを、ただただ目の当たりにさせられた1戦だった。
