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投稿日: 2021.06.23 14:24

ThreeBond Drago CORSE 2021スーパーフォーミュラ第4戦SUGO レースレポート

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スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2021スーパーフォーミュラ第4戦SUGO レースレポート

2021 JAPANESE SUPER FORMULA CHAMPIONSHIP SERIES
ROUND.4 RACE REPORT
スポーツランドSUGO

苦悩と我慢

 2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が、6月19日(土)~20日(日)にかけて宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。

 前回、日本の新型コロナウイルス感染拡大防止措置による2週間の自主隔離期間を満たすことができずレース参加を断念したタチアナ・カルデロンは、今回も入国するための時間的余裕を確保できず、残念ながらレース出走を断念した。

 ThreeBond DragoCORSEは、前回に引き続き、代役ドライバーとして塚越広大選手(以下、塚越選手)を起用して本大会のレースウィークを迎えた。

公式予選

 土曜日のフリー走行は午前9時30分から90分間の予定で始まった。

 スポーツランドSUGOはシーズンオフにピットロードを拡幅するためメインストレートとその前後に関わるコースを2mに渡ってオフセットする改修工事を行っており、塚越選手にとって新コースは初めての走行である。

 朝からの雨で路面はフルウェットコンディションとなり、レインタイヤを装着して走行を開始した塚越選手は、リヤの不安定なフィーリングを改善しようとしてピットインと調整を繰り返したが、思い通りの改善には至らないまま25周を走行し、HONDA勢では6番手となる13番手のタイムを記録してフリー走行を終えた。

 今回、雨模様となったことを受けて、公式予選のフォーマットが急遽変更され、出走車両を現時点のポイントランキング順に基づいてA組、B組に分け、それぞれ10分間のQ1セッションで計測し、上位7台によるQ2セッション7分間でA組、B組ごとに計測した後、それぞれ上位4台ずつ計8台でQ3セッション7分間の計測をするという形式でノックアウト予選が行われることになった。

 予選B組で出走する塚越選手のため、フリー走行でのフィーリングを元に、デメリット覚悟の思い切ったセッティングを施してコースへ送り出した。しかし、メリットよりもデメリットが強く出てしまいペースが上がらず、6周を走ってタイムは1分21秒472の8番手にとどまって、Q2進出はならないままに予選は終了し、スターティンググリッドは16番手と決まった。

決勝レース

 6月20(日)のスポーツランドSUGOは、朝から雲が垂れ込めたものの雨は止んでドライコンディションとなった。

 朝9時から30分間で行われたフリー走行で、この週末初めてドライコンディションで走行した塚越選手は、マシンが前日のウェットコンディションから一転、快調となったことを感じ、1分7秒308を記録して出走19台中10番手につけた。

 チームはさらにセッティングを微調整してスタートに備え、塚越選手はスタート前のウォームアップでも1分8秒835を記録して7番手につけた。

 決勝スタート前に空は晴れ、太陽が照りつけ始めた。スターティンググリッドは16番手だったが、チームと塚越選手は追い上げに期待してスタートを待った。

 ところがスタート合図の瞬間、塚越選手の加速は鈍り、後方にいた#4中山雄一選手(以後、中山選手)に先行を許してしまった。

「タチアナ選手のときからスタート加速の感触については課題だったのですが、今回も同じ症状が出てしまいました」と伊与木エンジニア。しかもその後、塚越選手は、ウォームアップまでの操縦性が一変してしまう。横方向のGをかけるとグリップの限界を超えそうになる不安定感に苦しみ、ペースが上げられなくなってしまった。

 1分8秒前半で走行し始めた上位陣に対し、原因不明の不調に陥った塚越選手のペースは1分9秒後半に留まり、#4中山選手に引き離されてしまった。

 その後もマシンの不調は続いた。チームは、後方から早めのタイヤ交換を終えて追い上げてくる車両に追いつかれ、青旗を提示される直前のタイミングを待ってタイヤ交換を行ったが状況は好転せず、本来のペースで走ることができないまま周回を重ねざるを得なかった。

 その後#4中山選手はトラブルで後退したため、塚越選手はスターティンググリッドと同じ16番手で53周を走りきりレースを終えた。

塚越広大 コメント

「前回のオートポリス(AP)に続きチャンスをいただいて嬉しく思います。今回こそ感謝の気持ちは結果で返すことだとレースに臨みました。前回のAPでは雨の中でそんなに悪くない走りができたので雨の予選は良い結果が出せそうと期待をしていました。ところがAPではセットを変更すると良い方向良い方向へ改善されて行ったのに対し、今回は裏目に出てしまい、自分の力も足りずに予選はQ1で敗退してしまいました」

「ただ、ドライコンディションになった決勝については、朝のフリー走行まではまずまずの感触で、自信を持って走れそうでした。しかし、いざレースが始まってみると突然感触が変わってしまってドライブしにくくなり、クルマを走らせることだけで精一杯の状況で終わりました。良い結果を残せず本当に申し訳なく思っています」

道上龍監督 コメント

「残念ながら、全くライバルたちに歯がたちませんでした。去年のSUGOでは(塚越)広大がどんどんオーバーテイクを見せてくれたことを考えると残念です。ウォームアップまでは良かったクルマのバランスが、なぜかレースでは急に悪化してしまったようです。本来のラインを走るとグリップしないのでラインを考えながら走らざるをえなかったと(塚越)広大は言っていました。原因は今の時点ではわかりません」

「もうひとつの課題がスタートで、全然前へ進んでいきませんでした。タチアナ選手が乗っていたときも同じ症状があって、ホイールスピンするわけでもないのに前へ出ていかないんです。クラッチの熱の問題なのかもしれないので、今後は何らかの対応をしなければなりません。いろんなものの積み重ねだと思うのですが、まだ自分たちはベースとなるものを確立していないと反省して、次のツインリンクもてぎでのレースに向け更に試行錯誤して戦って行くつもりです」

伊与木仁エンジニア コメント

「予選では(塚越)広大には申し訳なかったけど、試してみたいことがあって、(塚越)広大とも相談して、思い切ってメリットとデメリットがあるセッティングにしましたが、結局デメリットの方が大きく出てしまいました。そこで、フロントもリヤもかなりの部分を変えてドライの決勝に臨みました。フリー走行、ウォームアップまでは「昨日と違って乗りやすい」と言ってくれてタイムも上がりました」

「ところがスタートしたら、それまでの感触と変わってしまい、自信を持ってコーナーに入っていくことができない状況になり、想定よりも約1秒遅いペースでしか走れませんでした。そこまで状態が激変した理由は今のところわかりません。次戦ツインリンクもてぎでは新しいアイテムを投入するつもりなので、大きく考え方を変えてレースに臨みます」


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