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投稿日: 2022.07.20 12:34

ThreeBond Drago CORSE 2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 レースレポート

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スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 レースレポート

希望の先に

 2022年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第5大会(第6戦)が、7月16日(土)〜17日(日)にかけて静岡県の富士スピードウェイで開催された。

 大幅なセッティング変更に踏み切った前回のレースでスーパーフォーミュラ参戦以来初の選手権ポイントを獲得したチームは、前回のセッティングをベースに持ち込みセッティングをまとめ、富士スピードウェイへ持ち込んだ。

 今回は前回のレースで試すことができなかった、主にフロント周辺の改善に繋がる新しいセッティングを盛り込んだ。

公式予選

 週末の富士スピードウェイは朝から悪天候に見舞われ、午後3時10分からの公式予選は、コンディション不良を考慮して通常のノックアウト形式から30分間の単純計時形式で行われることとなった。

 雨は小降りとなっていたが、コースは依然としてウェットコンディションで、出走全車がレインタイヤでコースインした。

 セッション中に天候悪化が予想されており、各車できるだけ早い段階でタイムを記録しようと走行を開始した。ピット出口から最も遠い位置にあるガレージからピットロードを走り抜けないとコースイン出来ない福住仁嶺選手(以下、福住選手)は、タイムアタックのためにコースインした時にはすでにコースを1周してタイムアタックに入ろうとしている他車に追いつかれて、コースを譲らなければならない状況となった。思い通りのタイミングがつかめないまま、まず1分35秒951を記録して9番手につけた。

 さらにタイム短縮を狙ってタイムアタックに入ったところ、コンディション悪化に足を取られた他の車両がアクシデントを起こし、セッションは赤旗で中断され、タイムを更新することはできなかった。

 更に、その後雨が強まりコンディションが再び悪化したため、セッションは1分30秒を残して打ちきりとなった。この時点で福住選手の順位は10番手だったが、上位2台がペナルティでタイム抹消となったため繰り上がり、スターティンググリッドは8番手となった。

2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

決勝レース

 日曜日は天候が回復傾向となり、午後2時30分、ドライコンディションで決勝レースのスタートが切られた。

 8番手グリッドの福住選手はクラッチミートが鈍く、加速が遅れた隙に後方から数台のオーバーテイクを許し、集団に囲まれた状態で第1コーナーへ進入することになった。

 ところが福住選手をオーバーテイクした車両がコーナーの中で接触事故を起こし、巻き込まれてわずかにフロントウイングを破損してしまった。走行を続行することは可能だったので、福住選手はチームと無線を通して、このままタイヤ交換義務消化のピットインが可能になる10周目まで走行を続け、タイヤ交換とノーズ交換を同時に行う可能性を検討し始めた。しかし、3周目にセーフティーカーが導入されたためノーズ交換のためだけのピットインとなってしまう。

 ノーズごとフロントウイングを交換した福住選手は、この結果、最後尾の17番手まで順位を落とし、9周目にレースが再開されると追い上げにかかった。

 11周目、13番手まで順位を上げたところでタイヤ交換義務消化のため再びピットイン。タイヤを交換して16番手でレースに復帰した。

 その後、福住選手はオーバーテイクシステム(OT)を連発して追い上げ、26周目には12番手にまで浮上したが、26周目に再びセーフティーカーが入ったため、敢えてピットインし2回目のタイヤ交換を行う決断を下した。

 2回目のピット作業は義務ではないが、タイヤ消耗も進んでおりこのままの状態で走り続けてもポイントを獲得出来る10番手まで順位を上げることは難しそうだったので、ピットインでいくつかポジションを下げても新品タイヤを装着して追い上げたほうが、レースを有利に運べるだろうとの判断だった。

 この予定外のピットインで福住選手の順位は最下位の15番手にまで順位を落としたが、前を走る選手たちは消耗の進んだタイヤでの走行に苦しんでおり、新品タイヤを装着した福住選手は猛然と追い上げ、32周目には13番手、34周目には12番手、35周目には11番手と順位を上げていった。しかしレース前半の混戦でOTを使い果たしていたこともあって、これ以上のオーバーテイクは困難で、40周を走りきり11位でレースを終え、惜しくも2レース連続の選手権ポイント獲得はできなかった。

2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

■コメント
福住仁嶺

「今までレースをやってきて一番良くないスタートでした。クラッチのバイトポイントに問題があってクラッチミートがうまくできず、進み出すこともできませんでした。結果的にスタートで順位を落とす形になり、前方の接触に巻き込まれて、何とか避けようとしましたが、少し接触してしまい、フロントウイングが傾いてしまいました」

「それでも、ある程度のペースでは走れてはいましたが、セーフティカーが入ったことでピットに入ってウイングだけを交換しました。すると『ホントに同じクルマなのか?』と思うほどクルマのバランスが変わってしまいました。2回目のタイヤ交換は、それまでの混戦でタイヤを消耗させていましたし、このまま行っても順位を落とすだけなので自ら決断しました」

「ポイントにはあと1歩届きませんでしたが、今シーズン、最もレースらしいレースができて、僕たちがここまでやってきたことが着実にパフォーマンスアップに繋がっていると感じました。ただ、まだまだやらなければならないことがあると思いますので、次戦に向けてチームとしっかり考えます」

2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

道上龍監督

「週末はウェットコンディションから走り始めましたが、第2戦の鈴鹿で雨だった時から比べると、クルマの状態はレベルアップしたと思います。ドライコンディションの状態は、決して満足という状態ではありませんでしたが、4月の富士の時に比べるとストレートスピードも上がって安定感も高まり、クルマとしては良い方向に向いていると思いました。でも肝心のレースではスタートで出遅れて、ウイング交換を含めて3回もピットに入ることになりました」

「順位を落としても2、3位、新しいタイヤで残り10周、プッシュすればポイントに届くかもしれないという計算でした。実際、最初の5周くらいは勢いがあったのですが、OTが残っていなかったので、あと1つでポイントを獲れるところまでは行きながら、結局11位で終わってしまいました。ただクルマの状態が良い方向へ向いているという手応えは確実にあります」

「次のもてぎでは予選でトップ5位に並んでその流れでレースも行きたいと期待しています。現状は表彰台を狙える位置に来たと感じていますので次戦こそは良い結果を出したいです」

2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 道上龍監督と伊与木仁チーフエンジニア(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 道上龍監督と伊与木仁チーフエンジニア(ThreeBond Drago CORSE)

伊与木仁チーフエンジニア

「前回のSUGOでクルマのセッティングを大幅に変え、それをベースに臨みました。予選では、正直ウェットコンディションに自信はなかったのですが、ドライバーが頑張ってくれました。今回は、持ち込みのセッティングに少し工夫を加えていて、明らかに良い感触でした」

「ところが決勝1周目のアクシデントによるノーズ交換でバランスが崩れてしまいました。スタートではクラッチのバイトポイントがうまく決まらないという問題を抱えています。それがなぜなのかがわかっていません。昨年、タチアナ選手が乗っていたときからの課題です。スタート練習で調整しても、実際のスタートではフィードバックされないという現象が起きます。他のチームでも大なり小なり起きている問題だということなのですが、今後の大きな課題です」


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