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投稿日: 2023.07.12 17:06
更新日: 2023.07.12 17:07

インディカー/IMSAに日本人ドライバー起用の可能性は? SUGOを訪れたHPD社長に訊く

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スーパーフォーミュラ | インディカー/IMSAに日本人ドライバー起用の可能性は? SUGOを訪れたHPD社長に訊く

 6月17〜18日に宮城県のスポーツランドSUGOで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦。ホンダエンジンユーザーのピットに、普段の国内レースでは見たことのない大男の姿があった。彼の名はデイビッド・ソルターズ。ホンダの北米におけるモータースポーツ活動を司るHPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)の社長である。

 果たして、ソルターズ氏はどのような目的で、スーパーフォーミュラの現場に訪れたのか。決勝日の朝、HRCを通じて取材に応じてくれたソルターズ氏に、来日目的やスーパーフォーミュラの印象、さらには日本と北米のレースとの連携などについて、聞いた。

■「オオユとも話すことができた」

 ソルターズ氏は1995年にコスワースに入り、フォードのチャンプカー(CART)プログラムでデザインと開発に従事。2000年からはイルモアに移り、その後はメルセデスでF1のV10エンジン開発に携わった。2006年からはフェラーリに移籍しV8エンジン(+KERS)の開発責任者となり、その後はV6エンジンも担当。2015年にHPDへと加わり、チーフエンジニア、エンジン&シャシーのテクニカル・ディレクターを歴任した後、2020年12月より社長の座に就いている。

 イギリス出身のソルターズ氏だが、現在はHPDのヘッドクォーターがあるアメリカ・カリフォルニア州をベースとしている。SUGO訪問時はちょうど、世界を巡る6週間もの長期出張の真っ最中だった。

──今回SUGOにいらした目的を教えてください。

DS:今回は(栃木県さくら市の)HRC Sakuraで仕事があったので日本に来ました。スーパーフォーミュラについてはよく知りませんでしたので、私自身の勉強になると思い、ちょうどこのSUGOでの開催タイミングということでこちらに来ることにしました。休暇というわけではありませんが、個人的に「見たい」と思ったので、来たのです。

──サーキットの雰囲気や、昨日の予選のコンペティションなど、どのように感じましたか?

DS:とても楽しみました。まずは、クルマが速いですよね。コーナリングスピードは本当に素晴らしいですし、お客さんもすごく盛り上がっていて楽しそうですね。才能あふれた若い選手もたくさんいますし、ラップタイムもものすごく接近しています。これまでももちろん(スーパーフォーミュラを)フォローはしていましたが、生で見るのは初めて。実際に体験してみることは、常に勉強になるものですね。

──来場するにあたって、どのドライバーを見てみたい、などというプランは立てていたのでしょうか。

DS:全体的に見渡して自分自身の勉強になれば、と思っていました。もちろん、我々には(フォーミュラ・リージョナル・アメリカズ王者をSFに参戦させる)スカラシップがありますので、ラウル(・ハイマン)やB-MAXは見たかったですし、挨拶もしたかった。それも(SUGOヘ来た)理由のひとつです。

──そのハイマン選手の今季のパフォーマンスに関してはいかがでしょう。

DS:彼にとっては非常に新しい環境ですし、チームにとっても2台体制ということで、双方が勉強中ではないかと思います。ご存知のように、非常にコンペティションが激しいシリーズですので、チームとドライバーにとっては大変な環境かと思います。

──このスカラシップの今後については、どのようなプランをお持ちでしょうか。

DS:とても幸いなことに、ホンダはグローバルにモータースポーツ活動を展開していますので、どのようにコラボレーションしていくかは(多くの選択肢のなかから)これから考えていくことになります。

 ただ、すでにホンダ内には素晴らしい環境があります。たとえば昨日(6月17日)、ホンダはスーパーフォーミュラでも、F1でも、インディカーでも、EWCでもポールポジションを獲得して素晴らしい週末となりました。悪くない結果ですよね?(笑) これがホンダで仕事をしている素晴らしさでもあります。それぞれの大陸で、ホンダがトップを走っているわけです。

 こういったことは世界中のカスタマーにとって重要な環境であることはもちろん、ファンが我々の活動を見てくれるというのも重要です。これだけの数のカテゴリーのモータースポーツに取り組み、ファンの方々が夢中になって応援してくれるのは、ホンダだけだと思っています。

──ハイマン選手以外に昨日話をしたドライバー、とくに日本人ドライバーはいましたか?

DS:リアム(・ローソン)とも話はしましたし、ポールポジションのオオユ(大湯都史樹)とも話すことができました。もちろん、彼らはレースに集中しているので、あまり邪魔にならないようにしましたが。あとは、スーパーフォーミュラ・ライツの雰囲気も見ました。

 私は(もともと)エンジニアですので、マシンの内部を覗き見ることも大事です。スプリングのトーションであるとか、エンジンの取り付け方法であるとかの細かいところも……。そのあたりも楽しみましたよ(笑)。アイデアは還元できるものですからね。

──それなら、ぜひスーパーGTも見にいらしてほしいですね(笑)。

DS:そうですね。でももうアメリカに戻らないといけないのです。来週にはIMSA(ウェザーテック・スポーツカー選手権のワトキンス・グレン6時間)があり、そこではGTPカー(アキュラARX-06)が走りますから。その翌週はインディカーのミド・オハイオに行きますし……とても忙しいですね(笑)。

SUGOでラウル・ハイマンのグリッドを訪れるデイビッド・ソルターズHPD社長
SUGOでラウル・ハイマンのグリッドを訪れるデイビッド・ソルターズHPD社長

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