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投稿日: 2023.08.21 10:05

P.MU/CERUMO・INGING 2023スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ 決勝レポート

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スーパーフォーミュラ | P.MU/CERUMO・INGING 2023スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ 決勝レポート

第7戦 モビリティリゾートもてぎ
2023年8月20日(日)

決勝
天候:曇り 路面:ドライ
#38 坪井翔 決勝:リタイア
#39 阪口晴南 決勝:5位

 8月19日(土)の公式予選では2台がそろってQ1突破を果たしたものの、Q2に向けて大きくタイムを上げてきたライバルに対し、11番手、12番手というポジションで予選を終えたP.MU/CERUMO・INGING。

 決勝レースでは、順位を上げて結果を残したいことはもちろん、今シーズン決勝レースペースに課題を抱えていた坪井翔、上位進出のためにさらなる速さを求めたい阪口晴南と、それぞれに抱えた課題を解決する糸口を見出したいところ。

 良いかたちで決勝レースを戦うべく、P.MU/CERUMO・INGINGは午前9時25分から行われたフリー走行に臨んだ。

PRACTICE フリー走行
8月20日(日)9:25~9:55 天候:晴れ 路面:ドライ
ベストタイム#38坪井翔1’36.008/#39阪口晴南1’35.935

 酷暑となった8月19日(土)の予選日に続き、迎えた8月20日(日)のモビリティリゾートもてぎも朝から晴天。気温もグングンと上がり、午前9時20分からのフリー走行は気温31度/路面温度41度という汗ばむコンディションのなかで迎えた。

 決勝ペースの改善を目指す坪井は、まずコースイン後一度ピットイン。再コースイン後1分36秒008というベストタイムを記録すると、11周で再度ピットイン。15周を走りセットアップ確認を行った。

「決勝レースペースをなんとかしようと思って、今までやったことがなかったことを挑戦していましたが、そのフィーリングがかなり良くて。ただまだ合わせ切れていないものの、ここを直せばバランスが合いそうだというところが見えました」と坪井。タイム自体は13番手と上位ではなかったが、好感触があった。

 一方の阪口は、2周でピットに戻った後、コースインした後に1分35秒935を記録。その後一度ピットインを行い、14周を走った。「ロングランの課題解決に向けて、トライしたことが裏目に出てしまった」というが、このことが逆に気づきを得ることになる。

「裏目に出たことに“感度”があったんです。いちばん良くないのは何をしてもうまくいかないことですが、明らかにダメになる原因が分かったんです。それを補うような調整を決勝でやっていこうと、気づくことができました」と阪口。

このフリー走行では「まともに走れないくらい」のセットアップの状態ではあったものの、阪口はしっかりと決勝に向けたヒントを得ることができた。チームはこのフリー走行で得られたものをしっかりとレースに活かすべく、さらなる調整を進めていった。

RACE 決勝レース
8月20日(日)15:15~ 天候:曇り 路面:ドライ
ベストタイム:#38坪井翔1’36.531(6L)/#39阪口晴南1’35.301(12L)

 午前のフリー走行の後も酷暑が続いたモビリティリゾートもてぎ。TCRジャパンやピットウォークを経て、2&4レースのうち二輪のメインレース、JSB1000 の決勝レースが行われたが、このレースでアクシデントによる赤旗中断があったことから、スーパーフォーミュラの第7戦の決勝は当初予定から15分遅れで行われた。もてぎの周辺には強い雨雲が近づいていたものの、幸い曇り空のもとで15時15分にフォーメーションラップが始まった。

 迎えたスタートでは、ストールする車両が2台発生。さらにトップ争いのなかで2番手に上がっていた#15リアム・ローソンがスピン。後続の3台と激しくクラッシュを喫してしまった。その直後につけていたのが阪口と坪井だったが、阪口は瞬間的にアクシデントを回避。

 坪井も避けることができ、幸い2台ともに接触に巻き込まれることはなかったが、車両にはクラッシュ車両のパーツが当たるなどわずかなダメージも。幸い走行に支障はなく、直後アクシデントの処理、ドライバーの救出のため、レースは赤旗中断となった。

 幸い大きな怪我を負ったドライバーはなく、レースは15時50分にセーフティカーランで再開。この時点で阪口は8番手、坪井は10番手につけていた。

 3周目にリスタートを迎えると、坪井は#4小高一斗をオーバーテイク。阪口の背後につけ、6周目には阪口が前、坪井がうしろでチームメイト同士のバトルが勃発した。

 しかしそのバトルは思わぬかたちで終わってしまう。7周目、V字コーナーへ走っていた坪井だったが、ギヤが3速から上がらない状態となってしまった。坪井はピットと交信しながら状態を伝えたが、状況の打開は難しく、ピットインした後、坪井は車両を下りることになってしまった。最終大会の鈴鹿を前に良い手ごたえを得てもてぎを締めくくりたいところだったが、悔しい一戦となってしまった。

 一方の阪口は、坪井が後方からいなくなった後、10周目のピットウインドウオープンとともにタイヤ交換を行う。ここでチームはしっかりと作業をこなし阪口を送り出すと、同じタイミングでピットインしていた#65佐藤蓮が、翌周にピットに入っていた#6太田格之進とピットレーンで接触。阪口は労せずしてポジションを上げることに成功した。

 レースは中盤を迎え、少しずつピットストップを行った車両とそうではない車両と分かれていくことになったが、阪口はピットインを行った“裏”の3番手に浮上。一時、V字コーナー周辺で雨の報告がありウエット宣言が出されたが、幸いレースはドライコンディションのまま進んでいった。

 23周を過ぎるころになると、レース後半にピットインを遅らせていた上位陣が続々とタイヤを換えていく。ここで阪口の前に誰が入ってくるかが焦点となったが、序盤から上位を走っていた陣営は阪口の前に。

 29周目には最後までピットインを遅らせ、後方からハイペースで追い上げていた#37宮田莉朋が阪口の前でピットアウト。阪口は一時は#37宮田をかわしたものの、ニュータイヤを履いた#37宮田のペースが速く、31周目に阪口をパスしていった。

 阪口はファイナルラップまで#37宮田を追ったが、後方からは#4小高も接近。しかし阪口は最後までポジションを譲ることはなく、5位でフィニッシュ。予選日までは苦しい展開ではあったが、チームと阪口の努力の末に、望外の今季最上位を獲得することになった。

 坪井にとっては悔しい週末、そして阪口にとっては最終戦に繋がる週末となった酷暑のもてぎ。10月の鈴鹿で、最後はきっちりと笑って終わりたい。P.MU/CERUMO・INGING はインターバルの間力を蓄え、最終戦に臨む。

ドライバー/監督コメント

#38 坪井翔

「フリー走行では今までにないチャレンジを行いましたが、その内容をウォームアップで合わせ、決勝レースのペースは今シーズンでいちばん良いフィーリングがありました。赤旗中断後にリスタートを迎えてからは、前にもどんどん追いつくことができました」

「ピットインのタイミングも阪口選手とずらせば前にいける感触もあったのですが、ギヤトラブルが起きてしまいました。まだ原因は分かりませんが、もしあのまま走っていれば阪口選手と争っていたでしょうし、ペースによってはさらに上にいけた感触もあったので悔しいです。それに今回得ていた決勝レースのペースの良さが最後まで続くのかをしっかり確認したかっただけに残念ですね」

#39 阪口晴南

「レースではスタート時間が遅くなったり、アクシデントもあったりで気温も下がっていきましたが、クルマはロングランの状況ではかなり乗りやすかったです。ただ、その乗りやすさのなかでライバルたちはさらに速かったので、そこは少し驚きましたね。僕たちよりもさらに抜けたところで走っているということなので、全体的なパフォーマンスを上げるために、次戦に向けてもう一度しっかり考えなければと感じました」

「ただ、僕たちが今もっているものがすべて当たって、周囲の接触などもあったとはいえ、戦略も素晴らしかったですし、今回のレースウイークのなかではこの上ない結果を残すことができたと思います。ポイントを獲れたことには満足しています」

立川祐路監督

「スタート直後のアクシデントによるパーツ飛散で、2台ともわずかにダメージがあったのですが、レースを続けられたので良かったです。ただ、その後坪井選手はペースも良さそうだったのですが、ギヤのトラブルが発生してしまいました。結果的にはリタイアとなりましたが、走り続けていれば上位進出が見えていただけに残念です」

「阪口選手は最後までしぶとく走ってくれましたし、今季最上位なので、結果が残ったことは良かったですね。ペースは厳しそうでしたが、そんななかでドライバーが頑張ってくれました。着実に2台が本来いるべき位置に戻ってきているので、最終戦の鈴鹿では2台が揃って上位で争えるように、しっかりと準備をしていきたいと思います」


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