更新日: 2024.05.08 14:15
横浜ゴム 2024スーパーGT第2戦富士 レースレポート
スーパーGT第2戦/富士スピードウェイ
スーパーGT史上初の3時間レースで、JLOC ランボルギーニ GT3がポール・トゥ・ウインの完璧な戦いを見せた!
2024年のスーパーGT、ゴールデンウィーク恒例の富士大会となる第2戦が開催された。舞台となる富士スピードウェイには、予選日、決勝日合わせて8万8400人(主催者公式発表)のモータースポーツファンが訪れ、サーキット内でのキャンプやイベントなど、大いに盛り上がりを見せた。
今大会の決勝は3時間で争われる時間レース。24時間や12時間、6時間など耐久レースではおなじみのレースフォーマットだが、スーパーGTでは史上初となる。ドライタイヤのセット数は、予選日と決勝日を合わせて6セットに制限されている。
予選前に行われる1時間45分間の公式練習、GT500クラスはWedsSport ADVAN GR Supra (国本雄資選手/阪口晴南選手)が阪口選手の専有走行時間に記録した1分27秒600で6位に。GT300クラスではリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(佐々木大樹選手/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手)がトップタイムをマークしたほか、JLOC ランボルギーニ GT3 (小暮卓史選手/元嶋佑弥選手)が2番手、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI (片山義章選手/ロベルト・メリ・ムンタン選手)とヨコハマタイヤユーザーがトップ3を独占した。
ふたりのドライバーの合算タイム方式となった予選は、GT500クラスではWedsSport ADVAN GR Supraが8位でシングルグリッドを獲得。フレッシュタイヤでの勝負であるQ1では阪口選手がトップから0.5秒差の6番手タイムを記録すると、ユーズドタイヤでの難しいアタックを任された国本選手が力走を見せた。
GT300クラスはJLOC ランボルギーニ GT3がポールポジション、グッドスマイル 初音ミク AMG (谷口信輝選手/片岡龍也選手)が2位、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが3位と、公式練習でも好調だった面々がトップ3を独占。
JLOC ランボルギーニ GT3は元嶋選手がスーパーGTキャリア初、小暮選手もGT300クラスのキャリアでは初ポールポジションと嬉しい結果になった、チームの勢いは翌日の決勝でも衰えることなく、むしろパワーアップしていくことになる。
一夜明けた決勝日も、朝から強い日差しが降り注ぎ、決勝レース直前には気温は24度、路面温度は41度まで上昇した。13時30分にパレードラップが始まり、セーフティカー(SC)先導のフォーメーションラップを経て13時36分に3時間レースがスタート。
GT300クラスはポールシッターのJLOC ランボルギーニ GT3が序盤から後続を引き離す展開で、後ろを走るグッドスマイル 初音ミク AMGとの差を10周で7秒まで広げていった。3番手以降では、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rがオープニングラップで順位を落とすも、2周目以降は前を走るライバル勢に食らいついていく。14周目にUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIがコースサイドでストップしてしまったためにフルコースイエロー(FCY)が出されたが、以後は大きなアクシデントなくレース時間が進んでいった。
今大会は2度の給油作業を含むピット作業が義務付けされており、1時間を経過するあたりから1度目のピットインに向かう車両が現れ始める。上位陣ではグッドスマイル 初音ミク AMGが29周目にピットイン。スタートドライバーを務めた片岡選手は交代せず、そのまま2スティント目へ。その4周後、JLOC ランボルギーニ GT3もドライバー交代はせずに1度目のピット作業を完了する。すでに大きなマージンを築いていたこともあり、1度目のピット作業を終えた車両の中ではトップをキープ。46周目には見た目上でも再びトップに戻り、中盤戦に突入していった。
2度目のピットインは60周を過ぎたあたりから。ここまで実質の2番手を守っていたグッドスマイル 初音ミク AMGは、タイヤ無交換作戦に出たライバルにかわされポジションダウン。その後ろには、ここまで着実にラップを重ねていたリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが順位を取り戻してきていた。無交換でタイヤの消耗が進んだライバルを、グッドスマイル 初音ミク AMGとリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rの2台が急激に追い上げていく。
なかでもオリベイラ選手が最終スティントを任されたリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rは、グッドスマイル 初音ミク AMGよりも後で2度目のタイヤ交換を行っている分マージンがあり、まずは92周目のGRスープラコーナーでグッドスマイル 初音ミク AMGをとらえると、95周目には13コーナーでさらに1台をとらえて2番手までポジションアップ。レース終盤のオーバーテイクの連続に、スタンドやコースサイドの観客も大いに興奮した。
JLOC ランボルギーニ GT3は後続の白熱したバトルをしり目にトップを快走。終わってみれば2位のリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rに17秒という大差をつけ、今季初優勝を飾った。小暮選手、元嶋選手のコンビでの優勝は、昨年の最終戦もてぎ大会に続く2回目で、今回は予選で速さも見せつけた完璧な勝利となった。ポールポジションにも与えられる3ポイントも加わり、今大会で23ポイントを獲得した小暮選手と元嶋選手はドライバーズランキングでトップと1ポイント差の2位につけている。
決勝レース2位はリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rで今季初表彰台。グッドスマイル 初音ミク AMGは最後まで接戦を繰り広げたが、惜しくも表彰台には届かず4位でフィニッシュとなった。また、予選11位のUPGARAGE NSX GT3 (小林崇志選手/小出峻選手/三井優介選手)が7位、予選15位のMETALIVE S Lamborghini GT3 (松浦孝亮選手/坂口夏月選手)が8位、そして今シーズンからスーパーGTで戦うHELM MOTORSPORTS GT-R (平手晃平選手/平木湧也選手/平木玲次選手)が最終ラップに2ポジションアップで10位に滑り込み、参戦2戦目で嬉しいポイントゲットを果たした。
GT500クラスは、オープニングラップでWedsSport ADVAN GR Supraがやや順位を落とすも、粘り強く周回。中盤では上位陣に引けを取らないベストラップもたたき出し、10位でフィニッシュ。今季初ポイント獲得となった。リアライズコーポレーション ADVAN Zは松田選手がスタートドライバーを務め2スティントを担当。名取選手が最終スティントを任され、13位でチェッカーを受けた。
■国本雄資選手(WedsSport ADVAN GR Supra)
【今回の成績 : GT500クラス 10位】
「自分のスタートがあまりよくなかったことと、昨年に比べると改善はみられるもののまだライバルたちに対してはウォームアップという部分で課題があり、序盤に離されてしまいました。それが最後まで響いてしまいましたが、セカンドスティントではペースも良く追い上げていけて、最終的にポイントが取れたことは良かったです。岡山は本当に苦しいレースでしたが、今回は周りと戦えた部分もありましたし、今回見つかった課題をしっかりと埋めて、次戦に挑みたいです」
■阪口晴南選手(WedsSport ADVAN GR Supra)
【今回の成績 : GT500クラス 10位】
「開幕戦が本当に厳しかったなか、チームもヨコハマタイヤさんもいろいろと調べてくれた結果、フリープラクティスからいい雰囲気で走れていました。予選もそこそこの位置につけられたのは良かったのですが、決勝レースは路面コンディションも変わり、思っていたような結果にはならず、残念です。そのなかでもいいものは見つかったので、これらをうまくまとめて、中盤戦に頑張っていきたい。そういう感触を得られたレースでした。次戦の鈴鹿は僕たちもヨコハマタイヤさんも得意なコースだと思っているので、そこを活かしていい結果で終えられたらと思っています」
■松田次生選手(リアライズコーポレーション ADVAN Z)
【今回の成績 : GT500クラス 13位】
「3時間の長丁場の戦いで、いいところも悪いところも見つかりました。結果は良くありませんでしたが、次につながる第一歩だと僕は信じています。一気に調子が上がるわけではなく、段階もあると思うので、しっかりとその段階を経て上位に食い込んでいけるように頑張ります」
■名取鉄平選手(リアライズコーポレーション ADVAN Z)
【今回の成績 : GT500クラス 13位】
「今回も厳しい戦いとなりましたが、チームとヨコハマタイヤさんと協力しながら、どう改善していくのかを考えています。長いトンネルの中に入ってしまったような感じで、悔しい、歯がゆい気持ちもすごくありますが、少しでも早くこの状態を抜け出せるように頑張ります」
■小暮卓史選手 (JLOC ランボルギーニ GT3)
【今回の成績 : GT300クラス優勝】
「予選でポールポジションを獲れて、クルマとしてもタイヤもチームも、すべてがマッチしているような感覚で、勝てるかもしれないという自信はありました。実際、元嶋選手がマージンを作ってくれたおかげですごく気が楽ではありましたが、それでも何かあるかもしれないという危機感は持ちながら、最後まで走り続けました。狙い通りの優勝は嬉しいですし、ほっとした気持ちもあります。この勢いで、今年はより強いチームにしていきたいし、ドライバーとしてもいい仕事をしたいですね」
■元嶋佑弥選手 (JLOC ランボルギーニ GT3)
【今回の成績 : GT300クラス優勝】
「昨年の最終戦で優勝してから、ものすごくチームのモチベーションが高い状態にあります。僕も初めての経験ですが、何も恐れることがなく勝てたのは、やっぱりチームの皆さんのおかげだと思っています。どれだけプッシュしてもタイヤが全部応えてくれる感触で、約1時間45分のドライブでしたが、本当に最後まで楽しんで走ることができました」
■白石貴之(横浜ゴムタイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ・リーダー)
「GT500クラスは、今回、比較的タイムが出るところはあったものの、決勝ではピックアップに悩まされる部分もあり、岡山大会に続き厳しい結果となりました。それでも、5月の富士という時期にしては高温となった今回のレースでタイヤがどういう風に働くのかは確認できましたし、WedsSport ADVAN GR Supraが後半追い上げを見せてくれるなど、先に向けた良い見通しもありました。この結果を糧に、第3戦以降も進んでいきたいと考えています」
「GT300クラスは、88号車が会心の勝利となりました。昨年から開発を進めていたタイヤが徐々に実を結びつつありますが、そのなかでもタイヤの使い方をいろいろとトライしていただいていたので、その効果も出ているのではと思います」
「岡山では想定していたよりも高温になったことで厳しい戦いになりましたが、温度レンジが違うなかでのゴムや構造の振る舞いが確認できた部分があり、それを今回の持ち込みタイヤに反映できたところも結果につながったかと考えているので、この調子を維持して次戦に臨みたいです」
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