決勝レース(173周)8月27日(日)12:30〜

 夏休み最後の週末、そして最後の鈴鹿1000kmということもあって、大観衆が詰め寄せた日曜日。予想どおり例年ほど暑すぎず、程よく“夏”を感じさせるコンディションとなっていた。

 スタート進行の開始と同時に行われる20分間のウォームアップには、まず嵯峨選手が乗り込んでアウト〜インを行い、すぐに久保選手にバトンタッチ。3周の計測の間に2分2秒125 をマークし、再び嵯峨選手が『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』に乗り込むことに。最後の1周で2分2秒448が記されることとなった。

 ひとつ予想外だったのは、決勝のスタートを控えた段階で気温は30度と予想どおりだったのだが、強い日差しが路面温度を47 度にまで高めていたことだ。これはレースウィーク一番。そのことが果たしてどんな影響を及ぼすか。

 今回のスタート担当は久保選手。オープニングアップのうちにひとつ順位を上げて14 番手に。この後2周に渡って1台ずつ抜き続け、早々に12番手に浮上する。そして予定どおり早めのドライバー交代を10周目には行うことに。タイヤ無交換で嵯峨選手はコースに送り出されたこともあり、先にピットを済ませていた車両の1台を除き、前に出ることにも成功する。

 やがてライバル車両が最初のピットストップを行うごと、順位は上がっていくはずだったのだが。しかし、タイヤ無交換策は予想以上の磨耗によって裏目に出てしまう。

 ペースが上がらず、最終的には10秒落ちともなる2分13秒台にまで落ちてしまったことから、やむなく2回目のピットストップを早めに行うことに。ここからはしっかり4本交換とする作戦に切り替える。ラップタイムが回復した後は、まだ我慢の時と久保選手は淡々と周回を重ねていく。

 60周目に再び嵯峨選手が乗り込み、71周目には1台をかわすなど『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』の調子も上々。終盤にはしっかり順位を上げてくることは確実と思われていた。

 だが、16番手を走行中の87周目、130R で嵯峨選手がクラッシュ!クラッシュパッドが吹き飛ぶほどで、ピットに緊張が走るが、まもなく無事な嵯峨選手の姿がモニターに映され、一安心。しかし、レース続行は不可能で、3時間11分で『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』は無念のリタイアを喫することとなった。

 残るレースは、あと2戦。今回のリタイアでランキングトップとの差は35ポイントになってしまったが、まだ王座獲得のチャンスは首の皮一枚ながら残されている。まずはタイ、チャーンサーキットでの第7戦に今季初優勝を誓う。

嵯峨宏紀選手

「自分自身、状況的にはっきりしない部分はあるんですが、何もできなくて、そのままクラッシュパッドへ。チームには申し訳なく思いますし、非常に残念です。そもそも最初にチョイスしていたタイヤが思いの外、磨耗が激しくて当初予定の周回数までつなげられなくて」

「最初の僕のスティントは無交換で行ったんですが、10秒落ちでしか走れない状態になっていたんです。そこから先は4本、新品で無交換もやらないことにして行っている途中でぶつかってしまい悔しいです」

久保凛太郎選手

「もう、タラレバしかないから何とも言えませんが、本当にレースは荒れましたので、最後まで走れていれば、間違いなく上位ポイントは獲れていたでしょう。何はともあれ、大きなクラッシュだったのに、嵯峨選手に怪我がなくて良かったです」

「次のタイはどうか分かりませんが、最終戦のもてぎは絶対に相性のいいコースなので、まだ上に行けるチャンスはあると思うので、頑張ります」

金曽裕人監督

「優勝狙いで、作戦はチャレンジしていこうという傾向だったんですが、最初に履いたタイヤが思いの外、路面温度が上がってしまったことでロング行けるはずが行けなくて、作戦が一発目から崩れてしまった……」

「でも、次に履いたタイヤで完全にリカバリーできて、『よし、これは見えてきた』というタイミングで宏紀が、行き過ぎてしまってクラッシュしてしまいました。怪我がなかったから良かったけど、そこまでプッシュする必要はなかった。もっとレース展開を感じながら走ってほしかった」

「チャンピオン獲得には優勝しかない、というドライバーの責任感が裏目に出てしまったように思います。今年はまだポイントがばらけた状態にもあるので、僕らにはまだチャンスがある。チャンスがあるから、あと2戦ですが精いっぱい戦うつもりです。」

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