■監督を押し上げながら、ドライバーを気持ち良くする環境を
こうしてテストをこなしていった織戸エグゼクティブアドバイザー加入後のLEXUS TEAM WedsSport BANDOHだが、富士ではヨコハマのパフォーマンスが高かったこともあり、好タイムを連発。チームの雰囲気も非常に良好なものを感じさせている。
国本雄資と山下健太というふたりのドライバーについても、「今年は国本がリーダーになることで、より国本の良さがピックできていると思う」と織戸の評価は高い。
「それにヤマケン(山下)がいいね。すごいポテンシャルを秘めていると思う。変なこだわりがないから、国本といい関係ができている。兄弟みたいだよ。オレがオレが……って感じはないけど、数字にはすごくこだわっているからね。見ていて本当に面白いよ」
「ふたりとも雰囲気もすごく良い感じ。彼らは岡山、富士はけっこう狙っていくつもりでいるよ」
チームの他のメンバーも旧知の仲で、織戸はすんなりチームに溶けこんでいる。まずは富士公式テストでは、“織戸効果”が出ているのは間違いなさそうだった。
「いい感じでスタートが切れたよね。マサのことも良く知っているし、ずっとGT500でやってきたことも話を聞いてる。とにかくマサの下で、マサを押し上げながら、ドライバーを気持ち良くする環境を作ることだね。マサはそれが得意だからやってきたけど、それをより良くする。表立って数字になって出てきたらいいよね」と織戸。
ただマサ監督にとっては、織戸に期待する部分もありながら、ちょっぴり残念な部分もあるようだ。マサ監督は「いま、新田(守男)さんがスーパーGTではいちばんキャリアが長くて、たしか次が織戸さんのはずなんです」という。
「前に話していたときに、織戸さんは『200戦は乗りたい』って言っていたんです。今回はちょっと急な話でしたが、まだまだ織戸さんにはドライバーとして乗って欲しい部分もあります。スーパーGTに携わり続けてないと、そういう縁もなくなっちゃいますから、そこも叶えてあげたいんですよね……」
とは言え、今季LEXUS TEAM WedsSport BANDOHに間違いなく波及するであろうエグゼクティブアドバイザーとしての“織戸効果”。長年の先輩をドライバーではない役割で迎え入れたマサ監督にとっては、嬉しい悩みのひとつになるのかもしれない。
