「(山下のタイムと順位を見て)本当にホッとしました。セクター1はちょっとタイヤが温まっていなかったみたいでロスして『あれっ!?』と思ったんですけど、セクター2、3、4とうまくまとめてくれたので良かったです。明日はかなりいいポジションからスタートできるので、とにかく接触を避けてミスをしないように行きたいですね」と、大嶋は決勝への抱負を話す。

 ランキングトップとして迎えたこの最終戦、大嶋、山下ともに大きなプレッシャーを抱えることになるが、ベテランの大嶋と若手の山下では、受け止め方はかなり違うようだ。

「ここに来る前からかなりのプレッシャーを感じていますけど、ひとつひとつクリアできているので、あとひとつですね。クルマに乗っている時はあまり気にならないですけど、乗らない時の方がいろいろ考えてしまいます(苦笑)」と大嶋。一方の山下は、まだまだ若さ溢れる心持ちのようだ。

「もうちょっと緊張するかと思っていたんですけど、そこまでではなかったですね。昨日は普通に寝れました。たとえチャンピオンが獲れなかったからと言って、人生が終わるわけではありませんし。でももちろん、明日はチームのためにも頑張りたいです」と、山下節で明日の決勝への抱負を述べた。

 WAKO’Sとしては、ポールのau TOM’S LC500、そして後ろにKeePer TOM’S LC500と、トムスに挟まれる形になり、明日の決勝ではタイトルに向けてチームプレーを懸念する声も聞こえる。だが、その憶測に対し、KeePerの平川がきっぱりと否定した。

「場内放送でも36号車がポールを獲って6号車の前に行って37号車には有利になったと言っていましたけど、ファンのみなさまにとって変な誤解がないように伝えたい。36号車もレースをしていますし、チームとしてもサポートを前提にしているわけではありません。明日はお互いのレースをするだけだと思います」と平川。

 ニッサンGT-R陣営のタイトルの可能性が残っていれば状況は変わっただろうが、今回の予選でレクサス陣営のタイトルはすでに決定していることからも、一騎打ちとなったWAKO’SとKeePerのタイトル争いは、レクサス陣営や同チームのサポートなしに、それぞれ文字どおりのガチンコ勝負になりそうだ。

 レース展開としてはWAKO’S 、KeePerともにタイヤ選択は同じのようで、タイヤのライフも変わらないとなれば、お互い、ピットタイミングは合わせることになるだろう。GT300の絡みでオーバーテイクは十分可能ではあるが、決勝でのレースペースとピット作業前後が勝負どころとなりそうだ。

 これまでメーカー内のGTらしいやり繰りが感じられるレース戦略が最終戦で見らることがあったが、明日の決勝はすっきりとした一騎打ちの戦いが見られそうだ。

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