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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.10.11 21:30
更新日: 2020.10.30 13:44

HOPPY team TSUCHIYA 2020スーパーGT第5戦富士 レースレポート

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スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2020スーパーGT第5戦富士 レースレポート

「難しい」と武士監督が指すのは、ボクがすごくオーバーステア傾向のバランスになったこと。ブレーキをちょっとでも残したら、リヤが出てしまうからハンドルを切れないようなセットで予選は走りました。こういうバランスを孝允くんは嫌いだよね?

「そう。孝允が(マザーシャシーで)ばんばんポールを獲っていた時とは真逆のクルマだね。だから右利きなのに左手でお箸を持つようなもの。その修正をこの短期間でしかもプレッシャーの掛かる状況でよくやってくれたと思う。チームとしてもそこから逃げていた部分がある。悩んでいる孝允より公哉を中心で組み立てて……。孝允にとって、先のことを考えたらそのプレッシャーに打ち勝たないとプロの世界で生き残れない」(武士監督)

 Q1は1分37秒412のタイムで孝允くんがB組7番手に滑り込み、Q2進出権を獲得。Q2は1分37秒239のタイムで公哉くんが10番グリッドを確保。連続ポイントゲットに向けて好位置を得ました。ただ、翌日の決勝でライバルたちを押しのけて前に行く力がボクにはまだなかったみたいです。

 単独だといいペースで走れるのに、バトルになって前のクルマにくっついて走ると、特に前側のダウンフォースが効かなくなってしまい、追い抜くところまで持っていけません。そうやってもたもたしていると、BOP(性能調整)もあってストレートは遅いから、後ろからきたクルマには簡単に抜かれてしまう。孝允くんも公哉くんもストレスが溜まったと思うな。

 でも収穫もけっこうあって、ヨコハマ・タイヤのタレはすごく少なくて、今回もボクは左2輪交換で走り切ることができたんだ。決勝結果はポイント獲得まであと一歩の11位でした。

「孝允のペースは落ちないし、本当はもっとピットタイミングを引っ張りたかったけど、ピットを終えたクルマが前に出てきたからピットに入れた。抜けないとロスになるし、空いているところがあったから。ずっと孝允がバトルしていたなかで、ダウンフォースに頼っているからツーリングカーなのにフォーミュラカーみたいなレースになっていたね。パックに入ると途端にタイムが出なくなってしまう。レース中もデータエンジニアの木野(竜之介)くんとずっとこのことについて話し合っていた。こういうクルマだと、こういう展開になるよねと」

「今後、メカニカルグリップとダウンフォースのいいバランスを見つけたい。それにホピ輔が言うようにタイヤが進化して、タイヤ選択で右往左往するような状況がなくなって、プラス方向の開発が進められる状況になったことも大きい。エンジニアとドライバーのコミュニケーションも深まって、ここから一気に前進できる。やりたいことがいっぱいあるし、次の鈴鹿に向けてはもっとネタを仕込みたいから、またスポーツ走行に行くよ」(武士監督)

 えっ!? レースが終わったばっかりなのに?

「獲得ポイントが10点に達していなかったら、スポーツ走行のテストをしていいルールなんだよ。レースウイークだとさすがにできない内容の試したいこともいろいろあって、メニューはもう決まっているんだ」

 データエンジニアの木野さんは自動車メーカー関係の開発経験があって理論の人。対する武士監督は乗って感じてその経験を積み重ねた感性の人。理論と感性、違うアプローチから同じ答えが導き出せることが武士監督にとってすごく面白いみたいです。それにボクがRRレイアウトでけっこう特殊だから、余計に面白いらしい。特殊って他と違うという意味だから褒め言葉だよね!?

「ドライバーふたりは抜いていけないから悔しいレースだったかもしれないし、本当にレースするには疲れるクルマだった思う。でもチームとしてはとてつもないスピードで成長できている実感がある。スポーツ走行のテストを通じて速いだけでなく強いクルマを目指して鈴鹿に向けて準備するよ」

 武士監督の言葉でボクも勇気づけられました。今回、ポイントを獲れなかったことを気にしていたけど、監督にとってレースの中身は確実に進化が感じられるものだったみたいです。10月24~25日鈴鹿で開催される第6戦に向けてボクもさらにがんばりますから、応援よろしくお願いします!

◇松井孝允のコメント


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