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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.09.05 23:12

apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

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スーパーGT | apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round5 SUZUKA GT 450km RACE
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km
8月27日(予選)天候:曇りコースコンディション:ドライ観客数:9,000人
8月28日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:16,500人

スタート前に見舞われたトラブルにより
完走果たすだけのレースに。

 熱闘続くスーパーGTは今回が第5戦で、いよいよシリーズ後半戦に突入。鈴鹿サーキットを舞台に「FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE」が開催された。

 2台体制で挑むaprが、コンビ結成4年目の嵯峨宏紀選手と中山友貴選手に託すのは、お馴染みのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)『apr GR SPORT PRIUS GT』。タイヤは引き続き信頼と実績のブリヂストンを使用する。

 なお、今回も450kmの長丁場とあって、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦中で、スーパー耐久ではチームメイトとして、ともに戦う小高一斗選手を引き続き第3ドライバーとして登録している。

 前回の富士のレースでは、予選で大苦戦を強いられて23番手からのスタートとなったが、決勝では義務づけられた2回の給油のうち、1回目を早々と5周目に行ったことでアンダーカットも可能に。際立った速さはなくとも、安定のラップ刻みで徐々に順位を上げて、11位でゴールした。

 欲を言えば、あとひとつ順位を上げたかったところだが、長丁場のレースに光明を少なからず見出すこととなった。未だ入賞を果たせずにいることにより、サクセスウエイトを積まずにいることをチャンスととらえ、今年一番の結果を残すことが期待された。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)

公式練習 8月27日(土)9時25分〜11時00分

 夏の鈴鹿GTといえば、鈴鹿1000kmがそうであったように、太陽照りつけ、路面を焦がすような暑さの中でのレースを、誰もがイメージするのではないだろうか。

 8月も終わりに近づいてなお、今回も暑さは厳しいのだが、例年とはやや趣が違う。どちらかというと湿度が高くて、太陽に照らされるという感じではなかったのだ。公式練習もスタート時の天気は曇り。気温は30度、路面温度は34度での走行開始となった。前回に引き続き、『apr GR SPORT PRIUS GT』に乗り込んだのは中山選手。

 計測4周目には、2分1秒294が記される。この時点での順位は11番手と順調。だが、これ以降のピット滞在時間は長く、なかなかセットが決まらずにいるのは明白。タイムも伸びずにいるまま、いたずらに時間だけが経過されていく。ようやく小高選手にステアリングが託されたのは、ラスト10分のGT300クラスの専有走行。

 わずか2周の走行だったが、2分2秒986を記す。トータルでのセッション順位は21番手だった。続いて行われたFCYテストから嵯峨選手は走行を開始。一度もピットに戻ることなく周回を重ねることができたが、それでも2分3秒639を出すのが精いっぱいだった。

公式予選Q1 8月27日(土)15時20分〜15時30分

 今回の予選Q1に『apr GR SPORT PRIUS GT』はB組で走行。予定ではQ1を中山選手、Q2を嵯峨選手が担当することとなっていた。Q1開始時の気温は31度、路面温度は39度。おそらく、より暑くなるであろう決勝レースを見据えたタイヤを選んでいたこともあり、ウォームアップは入念に行われ、アタックは計測3周目から開始された。

 まず1分59秒927を記録した中山選手だったが、Q1突破にはもう少し縮めたいところ。だが、続けての走行では2分0秒969に留まり、13番手という不本意な結果に。決勝には26番手から臨むこととなってしまった。

嵯峨宏紀選手
「一生懸命やっているんですけど、非常に厳しい結果だと受け止めています。ハイブリッドもいろいろやっていますけど、相対的なものなので……。まわりと比べると、どうしても戦闘力が足りないかなという状況で。まぁ、タイム的にもあれでいっぱいいっぱいだったので、なかなか厳しいですけど、諦めずにコツコツやっていきたいと思います」

中山友貴選手
「今回も、難題に取り組んでいて、ハイブリッドシステムの方も新しいトライをしていたんですけど……。そのあたりのコンビネーションもあんまりうまくいかなくて、それでも予選に向けて大幅に改善はできたんですけどタイム的には、まだまだ足りなかった、という状況で終わりました。こうやってチームで話し合いできて、お互いアイデアを出し合って、改善できそうなことがいくつかありましたし、レースも通常よりも長いので、追い上げできるように頑張ります」

小高一斗選手
「鈴鹿での、このクルマのフィーリングをとりあえずチェックして、調子良くないのかな、というフィーリングではありました。実際のところ、厳しくなりそうだなという感じで、予選に向けてみんなで話し合って、少しクルマを変えていったんですけど、セットアップレベルでは無い部分がまだ足りなかったですね。明日に向けても、これから話し合うところです」

金曽裕人監督
「相変わらず今年のレギュレーションとハイブリッドの協調に対し、トライし続けている状況です。ブリヂストンさんが新しいタイヤを持ってきてくれたんですけど、そこに合わせ込むことができず、クルマのセットも入れ込むことができませんでした。厳しいですけど、ブリヂストンさんのタイヤの耐久力を信じて、決勝も作戦で、できるだけ上に行けるようにします。唯一無二のハイブリッド車両に対して、レギュレーションの劣勢さを話しても言い訳にしか聞こえなく。必ずレースを取り巻く環境に対して、ハイブリッドは未来に繋がると信じ、明日も、ネバーギブアップ精神です」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗)

決勝レース(77周) 8月28日(日)14時30分〜

 今回もレース中の給油は2回が義務づけながら、ドライバー交代やタイヤ交換に対しての制約は一切ない。ということは作戦の幅も広がるということ。このあたりを駆使することで順位を少しでも上げたい、というのがチーム全体の思いではあった。

 決勝レース直前に行われたウォームアップは、スタートを担当する嵯峨選手から走行を開始。徐々にタイムを上げていく算段だったのだが……。

 3周目に突然、『apr GR SPORT PRIUS GT』はスローダウン。歩むようなスピードでピットに戻ってくる。この時点ではドライブシャフトの損傷かと思われたものの、実際にはシャフトには問題は無く、より奥深い駆動系に問題を抱えていた。

 メカニックの賢明の修復により、なんとかピットスタートが切れたと思われたのも束の間、嵯峨選手は1周でピットに戻ってくる。再び修復が行われ、コース復帰が果たせたのはスタートから40分ほどを経過したタイミング。トップからは実に18周もの遅れとなっていた。

 嵯峨選手は淡々と周回を重ね、26周走ったところで小高選手にバトンタッチ。その直後にセーフティカーが導入されて、絶妙のタイミングとはなったが、勝負権のまったくない状況においては……。ただし、アクシデントの発生に対し、瞬時に下せた判断は今後の糧にもなっていくだろう。

 最終的に56周を走破し、『apr GR SPORT PRIUS GT』は規定周回もクリアでき、26位で完走しポイント獲得はできたのは幸いだった。厳しいレースの中にもデータ蓄積はできた。これが今後に活かされることを期待したい。

 次回のレースは9月17~18日に、スポーツランドSUGOで開催される。

嵯峨宏紀選手
「残念ながらスタート前にトラブルが出て、まともなレースができる状態ではなくなってしまったんですが、何とか修復してもらいました。走ることができたので、データを取るだけのレースに切り替えたという感じで……。その中でもいろいろトライしている部分、方向性のひとつは少しだけ見えたので、次に向けて前向きに頑張るだけです」

中山友貴選手
「トラブルが出たので、僕は走れなかったんです。同じチームの30号車GR86が表彰台に立てたのと比べると、大きな差があるので、ハイブリッドのプリウスも頑張らないといけないです。残り3戦、できる限りの事はやります」

小高一斗選手
「スタート前にトラブルが出てしまったので、とりあえず実験第一で走りました。正直、今回はタイヤのパフォーマンスがちゃんと出せていないのと、ハイブリッドとシャシと合っていなくて、決勝までに大きく変更しても、微々たるものでした。チームもかなりハイブリッドに対してのレギュレーションに苦しんでいたので、今の状況をたくさん話させてもらいました。一歩進めたのか分からないんですが、役に立てたかと思います。今後に向けて解決していかなければならない問題がたくさんあるのは確かですが、僕が乗るのは今回が最後なので、今後少しでも前進できることを祈っています」

金曽裕人監督
「原因不明の駆動系トラブルが起こって、これはまだ我々が理解していない何かが隠されており、次への進歩が見えたのかもしれないので、戻ってクルマを下ろして徹底的に調べなければいけません。いずれにせよ非常に難しいシステムであり、誰もやっていないことをやり続けている以上、いろんなリスクがあるのは覚悟の上ですし、簡単には行けばこんなに夢中になれません。今回も、小高選手を乗せたのは、屈託のないピュアな意見も欲しかったから。実際プリウスPHVは“走る実験室”として絶えずトライし続けているから、順位が全てでは必ずしもなくて」

「でも、本心はレースだから順位は欲しいし……GR86、GRスープラの活躍は嬉しい限りなのですが、複雑な心境……。でも、トライ&エラーが、次の時代につながるはずなので諦めず、突き進めていきたいと思います。応援下さる、ファンの皆様、サプライヤーの皆様のご理解によって成立しているプロジェクトなので、毎戦、心から感謝しております。時代は必ず追いついてくるはずなので」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗(apr GR SPORT PRIUS GT)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 嵯峨宏紀/中山友貴/小高一斗(apr GR SPORT PRIUS GT)


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