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国内レース他 ニュース

投稿日: 2024.04.30 19:49

KTMS 2024スーパー耐久第1戦SUGO レースレポート

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国内レース他 | KTMS 2024スーパー耐久第1戦SUGO レースレポート

KTMS

ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE
第1戦 SUGOスーパー耐久4時間レース

2024年4月20日(土)〜4月21日(日) スポーツランドSUGO(宮城県)
入場者数:4月20日:3,500人/4月21日:3,600人

2024年シーズン開幕戦はポール・トゥ・ウイン
最高のすべり出しをみせる

■PRACTICE 有料スポーツ走行/STEL専有走行
4月18日(木)〜19日(金)
天候:晴れ 路面/ドライ
 2020年からスーパー耐久に参戦を開始したKTMSにとって、5年目の開幕がやってきた。今シーズンもGR YARISを投入しST-2クラスに参戦するが、今季はKTMSのスタッフたちが携わり、車両を新造。3月31日に行われた公式テストから 順調な仕上がりをみせており、シーズンへの期待を高めて開幕戦に臨んだ。

 今シーズンの開幕の舞台は、スポーツランドSUGO。KTMSにとって多くの思い出があるコースだ。そんな第1戦は、4月18日(木)の有料スポーツ走行から始まり、今季もドライブする一條拳吾と奥本隼士、そして新たに加入した中村仁と小林利徠斗が交代しながら週末に向けた準備を進めていった。フォーミュラで速さをみせてきた小林と中村にとっては初めてのHパターンのレーシングカーだが、市販車でトレーニングを積んできた。

 走行2日目となる4月19日(金)も午前、午後に1時間ずつの走行が行われ、午前は一條、奥本、中村と周回。午後は小林と一條が周回し、午前は1分30秒850というベストタイムでトップタイム、午後は1分32秒491で2番手と、好調のまま専有走行を終えることができた。一條と奥本は、新車になったことで「すごくしっかり感を感じられます」と好感触。また小林と中村もしっかりとHパターン、そしてKTMS GR YARISに慣れ、確実な手ごたえを得て初めてのレースウイークをスタートさせた。

■QUALIFY 公式予選
4月21日(日)
天候:晴れ 路面/ドライ
 今回の開幕戦は、今まであまりなかった変則的なスケジュール。ST-2クラスはグループ1に分けられ、4月21日(日)に予選、決勝をワンデーで戦う。

 走行がなかった土曜もサーキットを訪れ準備を進めていたKTMSのメンバーは、午前8時から行われた公式予選に臨んだ。この日もKTMS GR YARISは絶好調で、まずはAドライバー予選で一條が1分30秒512を記録。2番手と同タイムながらトップで今回採用されたノックアウト予選のQ2に進み、奥本がQ2で1分29秒852を記録。KTMS GR YARISは今シーズンの開幕ポールポジションを獲得してみせた。

 C/Dドライバー予選でも、小林が1分31秒872、中村が1分31秒790を記録。ベストタイムとしては2番手だが、好調さをしっかりと保ったまま予選を締めくくった。

KTMS 2024スーパー耐久第1戦SUGO レースレポート
KTMS 2024スーパー耐久第1戦SUGO レースレポート

■RACE 決勝レース
4月21日(日)
天候:晴れ 路面/ドライ
 晴天に恵まれた午後1時25分からの決勝レース。KTMS GR YARISのスタートドライバーは予選で好走をみせた奥本隼士が務めた。グリッドではやや緊張の面持ちだった奥本だが、スタートでしっかりとST-2クラスのトップを守ると、序盤前を走るST-Qクラスの#32 GR YARISとのギャップを少しずつ縮め、10周目にこれをオーバーテイク。同クラスの後続とのギャップを引き離していった。ただ、他のST-2クラスがAドライバーでスタートしていること、そしてAドライバーハンディキャップを考えると、少しでもギャップを築いておくことが要求された。

 奥本は16周を終え、まずはドライブスルーをこなしAドライバーハンディキャップを消化する。これでKTMS GR YARISは5番手にドロップするが、ここからが勝負。まずは4番手の#6 ランサーに照準を定め、これをオーバーテイク。上位を占める3台のシビックに迫っていった。

 29周目には1台、さらに31周目には1台と続々とシビックをかわしていった奥本は、37周目の4コーナーで#95 シビックをかわし、トップを奪還。スタートから1時間5分が過ぎたところで4コーナーで発生したクラッシュのためセーフティカーランとなると、この機を逃さずピットインし、小林に交代した。

 レースはスタートから1時間30分強というところでリスタートを迎えるが、戦略の妙もあり、小林が駆るKTMS GR YARISは2番手につけた#743 シビックに対して1周近いリードを築くことになった。

 初めてのスーパー耐久でのレースとなった小林だが、1分33〜35秒の安定したペースで着実に周回を重ねていくと、残り1時間強の最終スティントをAドライバーの一條に託すべくピットインした。

 ここでKTMSは、リードもあったことから最後の一條を送り出す際に四輪交換を行ったが、その際にリヤのブレーキにつくボルトが壊れていることが見つかった。小さなトラブルだが、放置するわけにはいかない。KTMSのクルーは2分に満たない作業時間でこれを交換するが、その隙に#72 シビックに先行を許してしまった。

 しかし、一條はフレッシュなタイヤで少しずつ#72 シビックとのギャップを縮めていくと、127周目の2〜4コーナーの間、クラス違いの車両を挟みながら豪快にオーバーテイク。ふたたびKTMS GR YARISをトップに導くことに成功した。

 そして午後5時24分、夕暮れが迫るなかKTMS GR YARISは歓喜のトップチェッカーを受けた。2023年はもてぎで優勝できたものの、それ以外は悔しい思いばかりをしてきた。わずかなトラブルはあったが、ようやくKTMSがあるべき場所に戻ってくることができた。

 またこの勝利は、オフの間に車両製作に携わってきたKTMSのメンバーにとっても、感慨深いものとなった。2023年の苦労、そしてオフの苦労は、ポール・トゥ・ウインという最高の形で報われた。

KTMS 2024スーパー耐久第1戦SUGO レースレポート
KTMS 2024スーパー耐久第1戦SUGO レースレポート

DRIVER’S VOICE
一條 拳吾 KENGO ICHIJO

KTMSのみんなで新しくクルマを作ってきたプロセスも見てきましたし、そのデビュー戦で良い結果を残したい思いもあったので、こうして優勝できて嬉しく思っています。終盤、僕に交代する際にリヤに気になる点があったのでタイムロスをしましたが、エキサイティングな展開になってしまいましたね(苦笑)。ヒヤリとしましたが、抜くときは『ここしかない!』と思って抜きました。次戦は富士ですが、僕が乗った2回はゴールできていないので、三度目の正直を目指したいですね。

奥本 隼士 SHUNJI OKUMOTO
今回はスタートを担当しましたが、シビックのストレートが速くヒヤヒヤしたものの、事前に動画を観たりイメージできていたので、冷静に対処することができました。そこからはバランスも良かったので、順調に走行することができました。良かったです。昨年のもてぎ以来の優勝ですが、そのときは自分のなかでも課題があったんです。でも今回は自分も成長できましたし、KTMSの皆さんが作りあげたクルマで、走り切れば結果がついてくると思っていたので、本当に嬉しいです!

小林 利徠斗 RIKUTO KOBAYASHI
優勝を飾ることができ、良い週末になりました。雰囲気もそうですし、クルマもすごく乗りやすかったです。基本的に上手に乗ってさえしまえばクルマそのものが速かったので安心していましたし、決勝レースでも安定感という意味では、混戦のなかでの走りも上達できたので良かったと思います。次戦の富士24時間はたくさん走ることになると思いますので、しっかり準備をしていきたいですし、Hパターンもかなり慣れてきました。この調子で富士も頑張りたいと思っています。

中村 仁 JIN NAKAMURA
僕は決勝レースはドライブしていないのですが、3人が素晴らしい仕事をしてくださったと思いますし、KTMSの皆さんが作ってくれたクルマのパフォーマンスがすごく高いので、勝因はそこにあるのではないかと思っています。みんなの仕事の結果だと思います。今回ドライブできていないのでみんなよりマイレージは少ないですが、次の富士はたくさんドライブすると思いますし、Hパターンの操作やクルマの特性をつかみ、勉強を兼ねながら優勝しにいきたいと思っています。

上田 昌宏 MASAHIRO UEDA  神戸トヨペットエンジニア
僕はこのクルマづくりにあたって電気系を担当したのですが、その部分でトラブルが出なかったのでとりあえずひと安心でした。レースについてはまずドライブスルーペナルティをこなさなければと思ったのですが、当初はST-3クラスの前に出たかったのですが、タイム差から考えて厳しいことが分かったので、ST-4クラスの前に出るようにしたのですが、それがうまくいきました。次の富士は24時間ですし格別ですからね。勝ちたいです。ノートラブルで乗り越えたいです!


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