BRZは2015年からダンロップタイヤを履いている。タイヤメーカーによる争いが激しいスーパーGTにおいて、タイヤが及ぼす影響は言うまでもなく大きい。3年目となるダンロップタイヤとのマッチングについて、BRZにダンロップが採用された2015年からチームに加入している山内はどのように感じているのか。

「1年目(2015年)は初めてということもあり、フロント(タイヤ)の径も小さかったので苦労がありました。けれど、2年目(2016年)にフロントの径を大きくしてことでBRZのよさの旋回性能も高くなりましたし、どんどん走ることによってBRZに合ったタイヤも出てきたんです」

「2016年の序盤はタイヤに苦しめられて、リヤの摩耗が激しかったりと大変な部分がありました。でも、ダンロップさんが改善してくれたので、今ではリヤタイヤのみ交換という戦略も取れるようになりました」

 実際、R&D SPORTは第5戦富士でリヤタイヤのみを交換する作戦をとり、表彰台まであと一歩の4位で決勝レースを終えている。また、第6戦鈴鹿1000kmではタイヤ無交換で挑んだスティントもあり、BRZとのマッチングは3年目にして熟成が進んでいると言えそうだ。

 また、山内は今シーズン、スーパー耐久シリーズにもENDLESS SPORTSからENDLESS ADVAN GT-R、つまりニッサンGT-RニスモGT3で参戦している。JAF-GTマシンであるBRZと、GT3マシンのGT-Rにはどのような違いがあるのだろうか。

「GT-Rはジェントルマンドライバーも乗りやすいクルマというイメージです。トルクがある分、少しミスしてもリカバーしやすいんです。ただ、GT-Rには独特の走らせ方がありますね。ロールが大きいし(車重が)重たいので、いかにタイヤに(荷重をかけて)グリップを持っていくかというところを、とても繊細にやっていかないと難しいです」

 一方、コーナリングマシンであるBRZは、旋回とコーナー脱出の速さがドライバーに求められるという。

「(BRZは)富士(スピードウェイ)では圧倒的にストレートが遅いのに、1周回って帰ってくると周りと変わらない(ラップ)タイムなんです。それだけコーナー区間は速いのかなと思いますね」

 BRZのエンジンは2リッターターボ。GT300に参戦するライバル車たちが排気量4000ccほどのエンジンを積んでいるのに比べると、パワー不足は否めない。そんなライバルたちと渡り合うべく、BRZがストレートスピードに代わって備える武器が、コーナリングでのアベレージスピードの高さなのだ。

「ターボ車なのでエンジンの回転数を落とさないようにコーナリングを速くしないといけないし、一度ボトムスピードを落とし過ぎてしまうと、加速が遅れることもあります。そこは他の車両と比べるとコントロールが難しいです」

 山内はBRZをこう表現する。

「乗っている側としては、BRZの方が難しいけれどおもしろいですね」

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

 第6戦鈴鹿1000kmを終え、R&D SPORTはチームランキングで7位。ドライバーランキングでも、井口卓人と山内はともに7位につけている。残るは第7戦タイ、そして最終戦もてぎだ。残り2戦、BRZはさらなる飛躍を目指す。

おまけ

取材後、SUBARU BRZ R&D SPORTの撮影をしていると山内英輝がスマホでパシャリ。さらに山内のために位置を調整してあげる優しいメカさんたちでした。仕上がりは下記に。

自らのスマホで愛機を撮影する山内英輝と、位置を調整してあげるメカさんたち

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