トランスアクスル化したことによるメリットを感じているのはドライバーだけではない。チームの宍戸克幸チーフメカニックによれば、トランスアクスル化は作業時間の短縮にも貢献しているのだという。

「元々、BRZは自分たちで設計から製作までできます。僕たちメカニックがセットアップするのに『アジャスト部分はこうなっていた方がいい』『車高をいじるには、このあたりに調整する場所があった方がいい』ということをある程度反映できたり、整備しやすいように考えて設計から製作までできる。それがBRZというクルマの特徴です」

「2017年からBRZがトランスアクスル化されて、(車体の)エンジンルームから後ろが全部変わりました。2016年までのBRZはトランスアクスルではなかったので、例えばギヤボックスを下ろすためには多くのパーツを外さねばならず、作業量が多かったんです」

「それが、2017年のクルマでギヤボックスを下ろすときは、これまでの半分以下ぐらいの時間で済むようになりました。トランスアクスル化は、僕たちメカニックにとってもメリットがありますね」

 ドライバーやメカニックが、そのメリットを語るトランスアクスル化だが、その一方で山内によれば「まだ改善点を見つけられていない部分がある」という。このレイアウト変更によってホイールベースが延長されたのだが、それによってフロントの回頭性が低下しているというのだ。

「ホイールベースが伸びた分、安定性は増したのですがフロントの入りがよくないんです。でも、それを改善できれば予選でポールポジションを取れるでしょうし、上位で安定できると思いますよ」

■ダンロップタイヤとのマッチング、そしてGT-Rとの違い

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