「コーナーを立ち上がっていきますよね。シームレスミッションはシフトチェンジしたときのショックが感じられないどころか、ペダルを踏むというのではなく触れるだけでシフトアップしてくれるようなすばらしいものなのですが、MotoGPマシンはフルパワーを発揮しながら、ほとんど回転を落とさずに加速していきます」

「その加速力に置いていかれないようマシンにしがみついていると、すぐに次のコーナーがやってきます。カーボンブレーキの猛烈な減速力に対応するため全力を使って体の姿勢を整えつつ車体を寝かせて旋回し、スロットルを開けていく」

「するとRC213Vは再び猛然と加速を始め……でもそこでリヤタイアを滑らせたり、フロントを浮かせたりすると制御が利いてしまうので、冷静にスロットルを開けながらリヤブレーキも操作して……。指先までの全神経を常に使って、マシンをコントロールする必要があります」

MotoGPマシンを駆る大変さを語りつつ、その表情は楽しげだ
MotoGPマシンを駆る大変さを語りつつ、その表情は楽しげだ

 常に全身でコントロールしなければMotoGPマシンを操ることはできない。唯一、シームレスミッションによりクラッチレバーを操作する必要がない左手が少し楽だというが、そのかわり左手には別のやることがある。

「制御モードを走りながら変更する作業をするのは左手です。レース中の状況に合わせてボタンを押してマップを変えていく。これも覚えなければいけません。そういう意味では、(シームレスミッションによって)やることは少なくなっているけど、覚えることが多いんですよ」

 RC213Vの走らせ方や操作に加えて、MotoGPクラスではタイヤ選択が重要な要素だ。2016年からワンメイクタイヤを供給しているミシュランは各ラウンドでソフト、ミディアム、ハードという、基本的に3種類の選択肢を用意する。もちろん、各ラウンドのコースレイアウトや想定される気温、路面温度に合わせたものだ。

タイヤ選択の幅もこれまでとは違ったレースの要素だ
タイヤ選択の幅もこれまでとは違ったレースの要素だ

「Moto2でも前後2種類からタイヤを選ぶことができましたが、非常にシンプルでほとんどのライダーが同じものを選びます。(Moto2タイヤサプライヤーの)ダンロップも『レースで使うのはこっちです』と想定して用意しているんです。もちろんフリー走行で2種類とも確認しますが、その確認作業はすぐに終わってあとはバイクのセッティングに集中できます」

「ところが、MotoGPクラスはまったく違うんですよ。各ライダーがどのタイヤを選んだのかはテレビ放送でも表示されるのでみなさんご存知かもしれませんが、ライダーの走らせ方やマシンの違い、セッティングの違いによってチョイスは様々になります」

「ハードを選ぶ人もいれば、前後ともソフト、というライダーもいる。ソフトだからグリップが高いけどタイヤライフは短い。ハードは温まるまでに時間がかかるけれどライフは長い、という単純な考え方は通用しません」

「僕はまだミシュランタイヤの特性を理解しきれていない段階で、2017年末のテストでは2018年用タイヤのテストを行っていません。開幕戦までにさらに理解を進め、マシンと自分の走りに合わせたタイヤを選ぶことができるような状況まで持っていかなければいけません」

■後編へ続く。チームメイトのカル・クラッチローは熱血アドバイスをくれるよき先輩

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