クアルタラロは、なぜ突然マシンの挙動を乱したのか。クアルタラロのコメントによれば、前方にいたアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)の動きがその原因だった。
「僕の前にいたリンスが少しマシンをスライドさせたので、僕も少し多めにスロットルを閉じた。彼を避けるためにね。そうしてハイサイドが起こった」
クアルタラロが語るように、1コーナー中盤、3番手につけていたリンスが一瞬、バランスを崩してマシンを起こしている。リンス自身もレース後の会見で、「1コーナーではミスをした。タイヤが冷えていたせいかわからないけれど、クラッシュするところだったんだ」と語っている。
リンスがマシンの挙動を乱し、それを見たクアルタラロはリンスを回避すべく予期せぬアクセル操作をしなければならなかった。そしてクアルタラロのマシンが転倒した先は、運悪くドヴィツィオーゾが位置取っていたラインだった……。これが、1コーナーで起こった事の顛末のようだ。
ドヴィツィオーゾは頭を打って一時的な記憶喪失となった。クアルタラロもめまいを訴えたことから、検査のためにメディカルセンターからコンヴェントリー病院に運ばれたと、ドゥカティの公式SNSとペトロナスSRTの公式SNSが伝えた。その後、クアルタラロ、ドヴィツィオーゾのふたりには大きな怪我はないことが確認され、ドヴィツィオーゾはその日中に帰宅したということだ。
クアルタラロとドヴィツィオーゾにとっては不運なレースとなったが、大きな怪我を追わなかったという点では不幸中の幸いだった、と言うべきだろう。