2014年のマルケスはいっそう強くなった。18戦中13戦で優勝し、マイケル・ドゥーハンが1997年にホンダのNSR500で達成したこれまでのシーズン記録に並んだのだ。2015年にはマルケスとペドロサがそれぞれ7勝したが、チャンピオンシップタイトルはホンダにはもたらされなかった。それは一時的な後退であり、ホンダは敗北から多くを学んだ。そしてマルケスはそれ以来すべてのライダーに勝ち、コンストラクターズタイトルを獲得している。

 2016年に、MotoGPはさらに大規模なルール改定を行った。ブリヂストンタイヤはミシュランタイヤに切り替わり、ファクトリー製の電子制御は、共通ハードウェアとソフトウェアに取って代わられた。つまりグリッド全体で同じ電子制御が使われることになった。

 この変更で、HRCのエンジニアたちは膨大な作業を行わなければならなかった。MotoGPのローテクの共通電子制御はそれほど効果的ではなかったため、エンジンパフォーマンスを弱めなければならなかった。その後の数年でRC213Vのエンジンは大規模な再設計が数回行われた。クランクシャフトの回転方向を変更したほか、ホンダのハイテクのトラクションコントロールとアンチウィリーソフトウェアがなくなったことから、パワー伝達の管理がしやすいように点火構成を変更した。

 空力がMotoGPでも大きな要素となっていたが、新しい空力デザインはRC213Vのフロントのダウンフォースを増やし、ウィリーをさらに減らすことができた。

 マルケスは、こうしたすべての異なる技術に適応する達人であることを証明した。

 2018年、かつて125ccクラスとMoto2世界チャンピオンだったマルケスは、9勝という素晴らしい成績をあげたが、部分的には再度の大規模なエンジン再設計が大幅な馬力向上をもたらしたおかげでもあった。2019年のムジェロで最速のRC213Vは、LCRホンダ・カストロールのライダーであるカル・クラッチローのもので、時速354.7km/220.4マイルを記録した。初代のRC211Vから時速30.2km/18.8マイル改善されたことになる。

 マルケスは2019年のイタリアGPで優勝できなかった。マルケスは地元イタリア出身のダニロ・ペトルッチから0.04秒遅れでチェッカーフラッグを受けたのだ。だが彼らのレースタイムとMotoGPの初シーズンを比較することには価値がある。2019年のムジェロでのレースは、2002年のレースよりも2分7秒速かったのだ!

 マルケスは2019年シーズン最終戦のバレンシアGPを勝利で締めくくった。これはマルケスのMotoGPでの56回目の優勝だった。また、この8年間におけるRC213Vの81回目の優勝であり、1000cc時代における145回目のレースだった。RC213Vでレース優勝を飾った他のライダーには、ケーシー・ストーナー、ペドロサ、クラッチロー、ジャック・ミラーがいる。

 2020年シーズンのMotoGPが再開されれば、マルケスとともにRC213Vを駆る、アレックス・マルケス、カル・クラッチロー、中上貴晶がホンダのエンジニアたちとともに激しくプッシュし、RC213Vを100回目の勝利へ導くだろう。

MotoGP:2015年 ニッキー・ヘイデン(ホンダRC213V)
MotoGP:2015年 ニッキー・ヘイデン(ホンダRC213V)

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