MotoGP第4戦チェコGPでのブラッド・ビンダーのライディングにより、MotoGP初優勝を飾ったKTM。KTMがMotoGPクラスに参戦表明したのは2014年。2015年からRC16と呼ばれるV型4気筒エンジンをスチールチューブラートレリスフレームに搭載したマシンの開発に着手。2016年最終戦バレンシアGPでワイルドカード参戦してMotoGPクラスデビューを果たし、2017年よりレギュラー参戦を開始した。MotoGP初勝利までに4シーズンの時間がかかったが、通算58戦目で、新規参戦メーカーとしては初のMotoGPクラス優勝を記録した。

 オーストリアの二輪メーカーであるKTMは、モトクロスやラリーなどで活躍を収め、以前はオフロードバイク中心のメーカーだった。しかし、2003年、KTMはロードレースへの本格参戦を開始。世界グランプリの125㏄クラスにワークスチームでフル参戦すると、2005年には250ccクラスにも参戦。同じ年にはMotoGPクラスにもV型5気筒エンジンをチームロバーツに供給するなど、ロードレース活動を一気に拡大した。

 残念ながら、MotoGPクラスではシーズン途中でプロジェクトが頓挫したものの、125cc、250ccクラスでは勝利を収め、ケーシー・ストーナーやマルク・マルケス、青山博一もKTMのマシンで活躍を収めた。その後、2009年に一度は世界グランプリでのワークス活動を休止したが、2012年のMoto3クラス新設と共にロードレース活動を再開。再開初年度のMoto3クラスでタイトルを獲得し、2013年も連覇。2016年には3度目のタイトルを獲得している。

 MotoGPクラスではレギュラー参戦初年度の2017年にポル・エスパルガロがランキング17位、ブラッドリー・スミスがランキング21位を獲得。2018年にはヘビーウエットの決勝となった最終戦バレンシアGPでエスパルガロが、KTMのMotoGPクラス初表彰台となる3位に入賞。エスパルガロがランキング14位、スミスがランキング17位と前進した。

 2019年にはテストライダーとして、2018年に現役を引退したばかりのダニ・ペドロサが加入。ちなみにKTMのMotoGPプロジェクト初期からレーシングマネージャーとして起用されていたのが、ペドロサとはホンダ時代にクルーチーフとして9年間コンビを組んだ経験を持つマイク・レイトナーだった。レイトナーは1980年代から1990年にかけて世界グランプリ125ccクラスに参戦していたオーストラリア人ライダーでもある。

 RC16と同じV型4気筒エンジンを搭載したホンダのRCVシリーズで豊富な経験を持つペドロサの加入により、マシン開発がさらに進んだことは間違いないだろう。当初、RC16を初テストしたペドロサは、その振動の多さから、評価ができないとコメントしたと言われている。しかし、この1年半でRC16は大きな進歩を果たした。2020年モデルでは、特徴的なスチールチューブラートレリスフレームのサイドパイプの上下幅が広がっているようで、剛性アップを果たしているようだ。トレリスフレーム、KTMのグループ会社であるWP製の前後サスペンションと言った、他のメーカーにないましのオリジナリティを維持しながら、RC16の開発は進められてきた。

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