モルビデリはメディカルセンターに運ばれ、CTスキャンの結果、右手、右肩、頭を打ったが大きな怪我はなかったことが確認された。ただ、この日の取材予定はキャンセル。そのため、ペトロナス・ヤマハSRTのプレスリリースよりモルビデリのコメントを確認したい。
「奇妙なクラッシュだった。ヨハンは僕をストレートでオーバーテイクして、ブレーキング中にとてもワイドになってラインを変えてきた。その変更されたラインとスリップストリームで僕は行き場がなくなり、彼を避けることはできなかった」
モルビデリ同様、レース後にザルコと話し合いをしたというロッシも、ザルコのラインがワイドになった、と考えている。
「ザルコはとてもワイドになって、フランコに選択の余地を与えなかった。そして僕やマーベリックを危険にさらしたんだ。大変なことになっていたかもしれない。ザルコと直接話をして、彼にそういうことを伝えた。彼は僕に、わざとではなかったと言った」とロッシはレース後の取材でそう回答した。
彼らのコメントを総合すれば、今回のクラッシュは、ザルコがラインを右に変え(実際のところ、そのライン取りがワイドだったかはともかく)、それがスリップストリーム上に入り、行き場をなくしたモルビデリがザルコに接触した、と考えられる。
弾丸のように飛んできたマシンに危うく当たりそうになったロッシは、心境をこう語った。
「とても怖かった。恐ろしかったよ。非常に危険な状況だった。MotoGPはみんなアグレッシブで、小さなクラッシュもある。けれど、僕にとっては行きすぎないことが重要だ。コース上ではライダー同士、敬意を払わないといけない。このスポーツがとても危険なものだということを、忘れちゃいけないんだ」
誰も深刻な怪我を負わなかったことが本当に幸運な“大クラッシュ”だった。