残り周回数10周となって、トップのバニャイアと2番手のビニャーレスとの差が少しずつ縮まり始める。また、4番手のクアルタラロが3番手のエスパルガロ弟に迫っていた。その差はほぼなくなり、クアルタラロがエスパルガロ弟の背に接近する。また、10番手を走行中の中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)と9番手争いを展開。中上は僅差を保ったままドヴィツィオーゾを追う。中上は残り7周で、ドヴィツィオーゾをオーバーテイク。9番手に浮上した。
残り7周、独走でトップを走っていたバニャイアが6コーナーでスリップダウン。バニャイアがまさかのリタイアとなった。代わってビニャーレスがトップに浮上。2番手にポジションアップしたエスパルガロ弟との差は4秒以上で、一転、独走のトップ走行となる。
依然として激しいポジション争いを展開する2番手のエスパルガロ弟とクアルタラロ。クアルタラロはトラックリミット超過に対する警告を受けながらも、エスパルガロ弟を激しく追走する。一方、後方では中上が7番手のアレックス・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)に迫っていた。マルケス弟は序盤から8番手付近をキープしていたが、残り5周を切って中上が0.5秒以内に接近する。
激しい2番手争いはレース終盤まで続いた。クアルタラロに加え、4番手のミルがその争いに加わり始めたのだ。エスパルガロ弟、クアルタラロ、ミルによる三つどもえの争い。ミルは残り3周でクアルタラロを交わすと、3番手に浮上。ミルは残り2周の1コーナーのブレーキングでついにエスパルガロ弟をとらえた。1コーナーでエスパルガロ弟のインに飛び込んだミルは2番手に浮上。エスパルガロ弟はクアルタラロにも交わされ、4番手に後退する。2番手に浮上したミルはクアルタラロとエスパルガロ弟の接近を許すことなく差を広げていく。
迎えた最終ラップ、3番手に浮上したクアルタラロにまさかの事態が発生。トラックリミット超過による、ロングラップ・ペナルティが科されたのだ。クアルタラロは最終ラップにこのペナルティを消化せず、結果に3秒が加算されることになった。
そして、トップでフィニッシュを受けたのは、ビニャーレス。何度も失意のレースを経て、ついに2020年シーズン初の優勝を果たした。2位は後半にすばらしい追い上げとオーバーテイクを見せたミルで、2戦連続の表彰台を獲得した。
3番手でチェッカーを受けたのはクアルタラロだったが、上述のペナルティが科されたために、結果は4位。3位はエスパルガロ弟となった。
そして、5位はミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)。6位は、マルケス弟を交わした中上が入った。12番手スタートからの見事な躍進だ。最高峰クラスのルーキー、マルケス弟としても7位フィニッシュは自己ベストリザルトだった。
チャンピオンシップリーダーのドヴィツィオーゾは8位フィニッシュ。この結果により、チャンピオンシップはドヴィツィオーゾから4番手のミルまで4ポイント差に。混戦であり、混迷のシーズンを象徴するかのようなチャンピオンシップのランキングとなっている。