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投稿日: 2020.10.06 12:40
更新日: 2020.10.06 17:36

転倒続出の2020年シーズン。変化する路面の対応が難しい17インチタイヤ/ノブ青木の知って得するMotoGP


MotoGP | 転倒続出の2020年シーズン。変化する路面の対応が難しい17インチタイヤ/ノブ青木の知って得するMotoGP

 ワタシもかつてグランプリを戦っていた時、ザクセンリンクの左コーナーが3つ続いた後の右コーナーでなす術もなく転んでしまったことがある。もちろんタイヤの右サイドが冷えていることは分かっているから細心の注意を払って抑え気味にするのだが、一方でレースをしているわけで、攻めなくちゃいけない。その「抑え」と「攻め」のバランスが「攻め」方向にほんのちょっとでもイキすぎると、「アーッ」となるわけだ。これは本当に難しい。

アンドレア・ドヴィツィオーゾ
2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP決勝ではヨハン・ザルコが転倒。アンドレア・ドヴィツィオーゾが巻き込まれる形に

 ただし、誤解なきよう付記しておきたいのだが、こういう事態というのは常にパフォーマンスアップを狙うレースの宿命である。だいたいからして、バイクレースのハードウエアは「アチラを立てればコチラが立たず」の典型だ。さっきの「フロントタイヤを良くすればリヤタイヤが物足りなくなる」じゃないけど、すべてを両立させるのはほとんど不可能に近い。エンジンだって高回転域のピークパワーを狙えば低中回転域が不足に感じられ、低中回転域をパワーアップすれば高回転域に不満が出る。さっきは「レーシングライダーはわがまま」と言ったが、常に限界を極めようとするがゆえに、常に現状に不満があり、常に過渡期なのだ。だからこそ、レベルアップし続けられる。

 言うまでもなく、転倒していいワケじゃない。でも、今与えられたマテリアルで攻め切ろうと思えば、やはり限界を超えていこうとするのもレースの側面だ。何かの限界が下がっているのでは決してなく、常に上がり続けようとしている最中だということ。少なくとも今のMotoGPは、ワタシたちがレースしていた時代に比べるととんでもなくハイレベルになっている。それでも飽き足らずに攻め続けているのだから、いやはや……。

 今年は特に決勝レース中のラップタイムのコンスタントさが凄まじい。ワタシたちの頃は、スタートからゴールまでのラップタイムがだいたいプラスマイナス1秒以内に収まっていれば「よくできたレース」と言われていたが、今はコンマ3秒ぐらい。激しいバトルを繰り広げながらほとんどタイムが上下しないなんて、いやもう、信じられない精密さだ。

 ただ、ちょっと残念なのは、今季は特にあいまいな判断によるペナルティが目立つことだ。その最たるものはトラックリミット。簡単に言えば、「コースをはみ出しちゃいけませんよ」ということだ。トラックリミットを前後タイヤが同時に越えてしまった時、決勝以外の走行セッションでは該当ラップのタイムが抹消される。

 そして決勝では、はみ出したことで不利になった場合はおとがめなし。不利になったか有利になったかハッキリしない場合は、3回を越えるとダッシュボードに警告が表示され、累積5回になると通常コースより大回りするロングラップペナルティが課せられる。さらにトラックリミットの超過が明らかに有利につながった場合は、ポジションダウンやラップタイム加算、ロングラップペナルティなどいくつかのペナルティのどれかを課すことができる。

 どういうことか分かります? 書いていてツッコミどころ満載でイライラするが(笑)、最終ラップに限ってはまた別の判断基準とペナルティが用意されている始末で、もうワケが分かりません。要は、あいまい過ぎるのだ。レースをできるだけ公平、公正、安全に運用したいという気持ちは分からないでもないが、判断基準は明確でなければならない。「有利か、不利か」なんていうのはかなり主観的なものだ。今年はペナルティが特に厳しく、ワタシとしてはレースに水を差してしまっているようにしか思えない。

 連戦が続き、猛烈なペースでレースをこなしている2020MotoGP。第9戦カタルーニャGPではクアルタラロが涙の今季3勝目を挙げ、ランキング争いでトップに返り咲いた。ひたひたと追い上げているジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)にも期待がかかる。コロナ禍に始まり、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)の不在もあって、いろんな意味で史上に残るシーズンになることはもはや確定的。つまらないペナルティがチャンピオンシップの行方を左右するようなことだけは、避けていただきたいものだ。

2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)
2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)

2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP ジョアン・ミルとアレックス・リンスがダブル表彰台
2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP ジョアン・ミルとアレックス・リンスがダブル表彰台


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