2番手に浮上したミルだったが、その背にマルケス弟が迫る。ラップタイムはほぼ変わらないか、マルケス弟の方がやや速い。トップはリンスだが、ミルとの差は0.5秒を切っている。レース終盤に差し掛かる16周目にもかかわらず、次第にトップ3は集団を築き始める。
トップ3はほぼワンパックとなった。リンスがわずかに先行し、ミルとマルケス弟は接戦の2番手争いを展開。しかし、ついに17コーナーでマルケス弟がミルのインに入り、オーバーテイク。マルケス弟が2番手に浮上した。さらにマルケス弟の勢いは止まらない。トップのリンスにも接近し、残り4周で約0.2秒差となる。
すでにその差はほぼないに等しい。しかしリンスはマルケス弟を抑える。マルケス弟は残り3周の16コーナーから17コーナーでリヤを滑らせマシンの挙動を乱し、わずかに差が開いてしまう。その差は0.1秒ほど開いただけだった。しかしレース終盤、開いたその差はあまりにも大きかった。
最終ラップはリンスがトップ、マルケス弟が2番手で迎えた。ふたりの差は変わらず約0.3秒。しかし、マルケス弟は最終セクターで0.2秒にまで差を縮める。最後の勝負のポイントはバックストレートからの16コーナー、そして17コーナーである。
しかし、リンスは最後までトップを守った。ついにマルケス弟の猛追を振り切り、トップでフィニッシュラインを駆け抜けた。リンスにとって2020年シーズン初優勝。スズキにとっても、今季初の優勝だった。
マルケス弟は惜しくも2位フィニッシュとなったが、2戦連続での表彰台獲得。ウエットコンディションだけではなく、ドライコンディションでも表彰台を獲得しただけではなく、優勝争いを展開するポテンシャルを見せた。
3位はミルで、スズキのふたりが表彰台に登壇。クアルタラロがまさかの18位に沈んだことで、ミルがチャンピオンシップのランキングトップに躍り出た。
一方、中盤から6番手を走行していた中上は、5番手のモルビデリとの差を少しずつ詰めた。2秒あった差は残り3周で約0.3秒になり、最終的にはモルビデリをとらえ、5位でフィニッシュ。インディペンデントチームのライダートップとして、パルクフェルメにマシンを収めた。
週末を通じて上位を席巻していたヤマハ勢は、ビニャーレスの4位が最上位。モルビデリが5位だった。ドヴィツィオーゾは7位となり、チャンピオンシップはランキングトップがミル、2番手がクアルタラロ、3番手がビニャーレス、4番手がドヴィツィオーゾとなり、4番手までのポイント差は15という未だ接戦の様相を呈している。